加工食品について
- パンとそのつくり方
- 高木(パラダイス&ランチ):パンは発酵食品ですから“生きもの”なんです。だから気温や温度などにも敏感です。少量ずつ作れば目も手も届きますが、大量になるとどうしても届きにくくなります。それと“生きもの”ですから“流れ”も大切です。少量であれば流れもスムーズですが、大量になると滞る場面が出てきます。大量になっても目と手を十分に行き届かせ、流れもスムーズにするように、これが大きな課題です。
編集部:一般のパン屋さんが添加物を入れるのはそのためですか。
高木:そうです。そうです。人間の力でコントロールするかわりに、薬品の力を借りて生かさず殺さずの状態でパンを作るんです。
編集部:ミキサーの件も、すりばち型にこだわる理由があるんですね。
高木:一言で言って、このタイプの方が粉に対してやさしいからです。それと目も届きます。粉は摩擦熱をきらいますし、練りすぎると酸化して、生地が白っぽくなります。大手はこの点も添加物を使って防ぐから、高速で大型のミキサーでかまわないんです。
編集部:わかりました。新工場の説明をしていただいただけでも、安全でなおかつおいしいパンに対するこだわりがわかりますが、あらためて「おいしいパン」を作るポイントを説明してください。
まずは、やはり材料が決め手ですか。
高木:いえ、パンの場合はちょっとむずかしくて、途中で発酵の過程がありますから、いい材料を選ぶ基準は第一に安全性なんですが、安全な材料がそのままパンに向いているというわけではありません。
まず小麦粉ですが、ウチのパンも含めて日本人が日頃食べているアメリカタイブのフワフワのパンにはオーストラリア産とカナダ産の小麦粉がいちばん向いています。北海道産のハルユタカは比較的それに近いと言えますが、やはり負けます。それでも、安全性を考えてハルユタカとハルヨコイを使っています。従来使われていた南部小麦や農林61号は完全にフランスパン向きです。
もともとフランスの小麦で作ればフランスパン、小麦のとれないドイツではライ麦パンというように、材料にあったパンが作られてきました。日本の小麦を使うなら「日本パン」を作るべきだと思うんですが。でも、固いパンは食べてくれませんねえ。
編集部:あかんでしょうね。
高木:次に塩です。絶対に必要なもので、会の粗塩を使っています。精製塩を使うよりも味がまろやかになります。
砂糖の場合は、会の砂糖を使っていますが、少し味がくどくなります。またカスタードクリームを作ると色が黒ずむのも難点です。玉子は一にも二にも鮮度です。次に油脂です。これはパンをソフトにしっとりするために使います。よつ葉バターが最高なんですが、コストが高いのが難点です。マーガリンやショートニングなら3分の1ですみますからね。安全で品質がよくて、しかも安価なものを研究しています。
編集部:いよいよ、パンに欠くことのできない天然酵母やイースト、イーストフードですね。まず、それぞれの違いを教えて下さい。
高木:まず天然酵母というのは、空気中のどこにでも存在するものでそれを培養してやります。ウチではホシノ式と自家培養のとを使っています。干しブドウを水につけてふやかして何日か置いとくと泡が立ってきます。1過間ぐらいしてから、その水をとって全粒粉にまぜて培養してやります。
天然酵母はいろんな菌がまじっていますから、培養をよほど上手にやらないと、どうしても不安定になります。パン生地が発酵しすぎたり、足りなかったりします。天然酵母パンは酸っぱいものだと思っている人も多いようですが、ライ麦や全粒粉を使わないかぎり、酸っぱくはありません。発酵のしすぎで酸っぱくなっているんです。また、発酵がゆったりしていて、丸一日ぐらいかかります。のんびりと作れるのはいいんですが、失敗すると、また丸一日かけなくてはなりません。むずかしいですね。
イーストはいろいろある天然酵母のなかから発酵力の強いイースト菌だけをとり出して、工業的に純粋培養したものです。単一菌ですから性格がはっきりしていて扱い易いです。
イーストフードというのは酵母菌の種類ではなくて、添加物なんです。これを入れると生地がいたみにくくなるから、器械が生地に対して乱暴なことをしてもいいようになるわけです。それと器械は手と違って単純です。手加減という言葉がありますが、器械にはそれができません。
編集部:天然酵母とイーストと味の点で比較するとどうなんですか。
高木:ぼくはそれぞれのおいしさがあると思います。ホシノ式酵母のパンにはその味が、ウチの自家製酵母のパンにはまたその味が、イーストのパンにも、という具合に違います。だから、パンによって使い分けています。食べるときも料理によって食べわけるのがいちばんですね。
編集部:材料だけでもいろいろと大変なんですね。
高木:いえ、パン屋として当たり前のことですよ。
(パンの製造工程)
編集部:それでは次は、製造工程にそってポイントを話してもらえますか。
高木:まず材料を合わせて(1)ミキシングです。これは、やさしく練ってあげるのと、練りすぎないようにするのが大切です。
次に(2)発酵ですが、これは温度や湿度にも左右されます。それに例えばミキシングの状態が10の状態でなくても、発酵は10に持っていかなければなりません。生地にさわった時の感触で判断するしかないから、経験で覚えるよりほかないんです。ぼくも言葉ではよう説明しません。
発酵がすむと(3)パンチ(ガス抜き)です。発酵によって生じた炭酸ガスを抜いて、かわりに新鮮な空気を入れてやります。こうすると生地が強くなります。手でおさえてガス抜きをするのですが、この時もさわってみた感じで手加減してやります。
次は(4)分割と言って生地を決められた量に分けていきます。これは開始するタイミングが大事なのと、分割した生地をいつまでも放置しておくのもいけません。本当は生地に応じた分割が必要なんですが、器械にはそこまではできません。
そして(5)成型で、いったんロール状にしてここでもガス抜きをしてやります。その後、食パンは型に入れ、その他のパンはそれぞれの形に作ってやります。
最後にオープンで(6)焼きます。ポイントは温度だけなんですが、これも調節がむずかしいですね。
編集部:やっぱり、大変ですね。聞いていると、高木さんとパン生地の愛情関係みたいに聞こえてきます。
高木:いえ、何度も言うようですが、パン屋として当たり前のことだと思います。むずかしいと言ったのは、言葉で説明するのがむずかしいってことです。ばく自身も、もっと経験を積んで、研究も重ねていかなければいけないと思っています。わかっているわけではないんです。 - 「リン酸塩」って何?
- 取りすぎは禁物の食品添加物。
リン酸塩は人の骨の石灰分を作るという重要な働きをしていますが、多くとりすぎると鉄分の吸収を阻害したり、カルシウムが不足したりする原因になります。
現在、我が国では食品添加物としてのリン酸塩の使用基準が設定されていません。
リン酸塩は保水性の維持、タンパク質の変性防止、結着力の増大、変色防止など、さまざまな用途で日常口にする加工食品に添加され、『魔法の薬』とも呼ばれています。だから、知らず知らずのうちに取りすぎになりやすい添加物です。加工食品の増加とともに慢性病が増えていることは周知のことですが、急激な自覚症状があらわれないだけに対策が遅れがちになります。
このようなことから、大北食品では、リン酸塩を添加しないすり身を使って、ごまかしのない天ぷらを作っています。 - イーストとイーストフードの違いは?
- 酵母と添加物でまったく違う物です。
「イースト」とは、パン用に純粋培養された酵母のこと。「イーストフード」とは、イースト菌の発酵を促進させるために加える合成化学物質を中心とした添加物の総称で、いわゆるイーストの食べ物のことです。
「イーストフード」は、微量添加のため個別に表示する義務がなく、どのような添加物が使用されているかはっきりとわかりません。大半のものは毒性が少ないので、少量であれば問題はないと言われていますが、中には毒性が疑われてれている「塩化アンモニウム」もあり、避けたほうがよいと思われます。ちなみに、よつ葉のパンにはイーストフードは使用していません。 - 「果汁100%ジュース」の意味は?
- 「ストレートジュース」と「濃縮還元ジュース」とがあります。
果汁100%ジュースと聞くとどのようなイメージを持ちますか?
果汁100%ジュースには、「ストレートジュース」と「濃縮還元ジュース」とがあります。「ストレートジュース」とは、上記の「蔵本グループのみかんジュース」のように搾った果汁をそのまま容器に詰めたものです。
一方、一般的に「濃縮還元ジュース」とは、搾った果汁を減圧(真空状態)しながら水分をいったん蒸発させ貯蔵します。そして缶や瓶に詰める前に、水分を加え、元の果汁状に戻したジュースです。しかし、完全に元の果汁には戻りません。濃縮する際に、果汁に含まれるビタミンCなどの栄養分は減り、風味が失われます。その中でも必ず失われるのが「香り」です。そこで、なるべく元の風味に近いジュースにするために、一般的に「香料」を添加しています。香料には合成と天然がありますが、製品への表示は香料と一括名で行なわれるため、使用されている香料が何か特定できません。香料以外にビタミンCや砂糖など添加している場合もあります。これらの物を添加する量も含めて、最終的に果汁分が100%であれば、「濃縮還元果汁100%ジュース」という名前になります。 - 市販のお菓子に使われている添加物にはどういうものがありますか?
- 例として市販の洋生菓子、モンブランの原材料に使われている主な添加物を紹介します。
品名:洋生菓子
内容量:2個
原材料名:マロンクリーム、ホイップクリーム、卵、カスタードクリーム、栗、小麦粉、砂糖、植物油脂、洋酒、乳化剤、膨張剤、PH調整剤、香料、着色料(ビタミンB2、カロチノイド)、酸化防止剤(ビタミンE)、糊料(増粘多糖類)、カゼインNa、グリシン、グリセリンエステル、ソルビット、リン酸塩(Na)、(原材料の一部に乳成分、大豆を含む)
【食品添加物】
・カゼインナトリウム
糊料(増粘剤)として使われており、発がん性やアレルギー発病のきっかけになります。水によく溶けるため、いろんな食品に使用されている添加物です。
・ソルビット
砂糖の代わりに甘味料として使われます。大量に摂取すると腸から吸収されにくくなって長時間とどまるため、下痢を起こすことがあります。
・グリシン
食品にうま味をつけるために使われる、うま味調味料です。アミノ酸の一種ですが、動物実験で一過性の完全麻痺、発育の遅れなどの病状が認められています。(『食品添加物危険度事典』より抜粋)
※その他にも、企業秘密を理由にどんなもので作っているか判明できない香料、水と油のように混じりにくい液体を混じりやすくするためにリン酸塩などが含まれています。 - 醤油に使われている大豆にはどんなものがありますか?
- 大きく分けると丸大豆と脱脂大豆(脱脂加工大豆)があります。
・丸大豆……大豆のことをあえて丸大豆と呼んでいます。それは現在の醤油メーカーでは、脱脂大豆を使うことがほとんどだからです。
・脱脂大豆……大豆からノルマルヘキサン(油を効率よく搾るための溶剤。発ガン物質)を使って大豆油を抽出した残りのしぼりかすのことです。醤油メーカーとしては、大豆が砕かれているので早く醤油になり、二次使用なので安く手に入り、大量製品に向いています。しかし、大豆に含まれる油成分はもろみの熟成中にまろやかさを作り出す働きがあるため、脱脂大豆で作った醤油は味気ない感じになります。
どちらの大豆を使うにせよ、市販の醤油のほとんどは輸入大豆を使用しています。主な輸入先はアメリカですが、遺伝子組み換え大豆が多く栽培されているため、安心して使うことはできません。
よつ葉で取り扱っている醤油は、国内産の丸大豆を使い、じっくり熟成させて作る本醸造醤油です。 - おいし~い紅茶の入れ方は?
- (1)
人数分の量の汲みたての水をティーポットに入れて、沸騰させます〈一杯分140~150cc〉。沸騰してすぐに火を止めるのがコツ。酸素のたっぷり入ったお湯の方がおいしい紅茶に向きます。
(2)
ティーカップを事前に温めておきます。
(3)
沸騰した火をとめて、お湯に人数分の茶葉を入れます(一杯分はティースプーン一杯〈3gぐらい〉)。
(4)
2~4分ほど蒸らします。
(5)
カップに注ぐ前に軽くかき混ぜます。
(6)
カップに注ぐ際は、濃さが均等になるように少しずつ人数分のカップに注ぎわけます。
(7)
最後の一滴はゴールデンドロップと呼ばれ、一番おいしい一滴といわれています。注ぐ際は最後の一滴まで注ぎきります。 - 市販のドライフルーツ&ナッツとの違いは?
- よつ葉で取り扱っているものは有機栽培で、原料保管時の薬剤使用や、加工の際の添加物使用はありません。
一般の市販品は・・・
(1)
防虫対策で保管時に臭化メチルなどのくん蒸処理をしているものもあります。
(2)
干しあんずやマンゴー、パイナップルなどは、漂白や色の保持のために二酸化硫黄を使用しています。
(3)
プルーンには季節によりますが、防腐のためソルビン酸Kを使用しています。
干しいちじくはこれも場合によりますが発酵を防ぐため酒精(アルコール)が使われています。
(4)
見栄えと小分けの作業効率のため、遺伝子組み換えの心配がある食用油でオイルコーティングをしてあるものもあります。 - 「本みりん」と市販の「みりん風調味料」は、どうちがうの?
- 「本みりん」はもち米・米こうじ・焼酎を原料に作られますが、「みりん風調味料」は穀物由来の水あめなどの糖化液を加え、グルタミン酸・アミノ酸などの旨味成分を添加して作っています。原料を見てもわかりますが、この二つは全くの別物です。
「みりん風調味料」は甘味も作り物であるため、素材の良さを引き出すはずのみりんが逆に料理の邪魔をしてしまいますが、本物のみりんはしつこくない甘さと旨さで料理のサポートをしてくれます。
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