(その30)もっともっと「みんなの学校がほしい」
木村泰子さん、大阪市立大空小学校の元校長先生です。大空小学校は2006年に住吉区に新設された学校で木村さんは志願して校長に就任して一から学校づくりに取り組んできました。しかも教員、用務員など全教職員ばかりでなく、地域の人や保護者も対等な立場で学校をつくってきました。みんなでつくるみんなの学校。映画『みんなの学校』や木村さんが書いた『「みんなの学校」が教えてくれたこと』などを通じてご存知の方はたくさんいると思います。週刊エコノミスト4月18日号にもインタビュー記事が載りました。
この学校では全校児童260人のうち支援の必要な子が50人もいます。それでいて特別支援学級はありません。学校に通えなくなった子や支援が必要な子が校区を超えて転入してきています。「その子のためになることは、必ずほかの子のためにもなる。その子にとってわかりやすい授業は、ほかの子にとってもわかりやすいのです。支援の必要な子を排除すれば、その子自身の学びのチャンスを奪うと同時に、周りの子のかけがえのない学びを奪うことにつながります」。
毎週月曜日の朝は「全校道徳」の時間で、全校児童と全ての大人が集まり、時事問題や学校の問題など「正解のない問い」を考え、学び合います。月1回「バースデーメッセージ集会」があって、「障害があると診断されている子」も含めてみんな誕生月の子がノー原稿でそのとき自分が伝えたいことを話します。知的障害と診断されていて言葉をしゃべれない子がみんなの前に出て、体を揺らして自分の考えを伝えます。周りの子は誰一人動かず声も出さず、その子が何を伝えようとしているのか想像し、その子が伝え終わると拍手が鳴り響きます。「これを6年間体験した子どもたちってすごいですよ」「中学では遅いんです」「大人の世界でいじめがなくなったら、子どもの世界でもなくなります」。
相模原市の障害者施設でむごたらしい殺人事件がありました。犯人は障害者を社会のお荷物と考えて究極の排除に乗り出しました。殺人まで考えなくても、私たちの中にも「迷惑な人たち」とか「可哀想な人たち」とか「福祉を施される人たち」とか、犯人の考えに通じる考えがあるように思います。あの事件はぐっさりと胸につきささりました。
アベ政権の閣僚たちから次から次へと問題発言が出てきます。いずれも「上から目線」で「排除」の論理が共通しています。相模原事件の犯人の考え方は決して特殊なものではなく、今の世の中の主流になっています。
昔から何の変哲もない道路でもちょっとした段差があるとすぐに足をくじいて捻挫してしまう。どうもクセになっているようで、かかりつけの接骨院に行くと「またですか…。今度はどちらの足ですか?」と院長先生からも呆れられ、挙句に「足を降ろす瞬間はヘリコプターが降りるように慎重に着地すること」と妙なアドバイスまで頂戴している。
このクセというのが本当に厄介で、自分では気付かないうちに何度も繰り返してしまい、いいかげん自分の学習能力の無さに嫌気がさす。
ところが、おエライ先生方もいろんなクセを持っているようで、昔からその失言〝癖〟のお陰で辞職した大臣も数多く、最近の海外では暴言〝癖〟のアメリカ大統領と、ひたすら我が道を行く暴走〝癖〟の北朝鮮。これがただのクセのレベルで終わればいいが、ともすれば日本はおろか世界を巻き込んでの大騒動になりかねず、痛めた足首にシップを貼りつつ、ただただ平穏な日々を祈る毎日です。
(兵庫いきいきコープ・田中一彦)
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