8月6日、広島でウラン型原爆が、8月9日には長崎でプルトニウム型原爆が爆発しました。
7月7日、九州電力は川内原発1号機の原子炉へ核燃料の搬入を始めました。同機の出力は89万kWですから、何もなく安全に1年間運転されると、広島型原爆890発分の死の灰が生み出されます。セシウムもヨウ素も自然界に存在しますが、放射性セシウムも放射性ヨウ素も人間がわざわざ作りだしたものです。ましてやプルトニウムはもともと自然界にはなく、しかも毒性が非常に強く、半減期も3万年というやっかいなもので、それで「地獄の王」と命名されました。
1人の人間の1年分の電力を生み出すために、数万人の人間を殺せるぐらいの死の灰が作られます。発電装置というよりは死の灰発生装置と呼んでいいでしょう。こんなものを発電機と呼んで、水力発電や火力発電と同列に考えること自体が、精神の退廃だと思います。すでにこの狭い日本に120万発分の死の灰があり、再処理工場は止まったままだし、最終処分地も決まっていません。
6月21日に京都で今中哲二さんの講演会がありました。久しぶりにお会いしたかったのと、ひとつ気がかりなことを質問したいと思って行ってきました。チェルノブイリ原発事故から29年、セシウムの半減期が30年ですから、事故時に2000発分の死の灰があり、そのうち900発分も飛び散ったとはいえ、残り1100発分のその半分がまだ残っています。そのウクライナの東部は内戦状態にあり、EU側についているウクライナ政府も借金でいつつぶれるかわからない状態です。今中さんが言うには「チェルノブイリ原発は首都のキエフの側、つまり西部にあるから今のところ、戦乱の心配はありません。また原発も事故後は安定していて、福島原発よりずっと安心な状態です」とのことでした。
セシウムの毒性が半分になるかならないかのうちにソ連はつぶれてしまい、ウクライナは内戦状態です。国家も政府も永遠不滅ではありません。にもかかわらず、チェルノブイリ原発に残されているプルトニウムは事故当時と全く同じ毒性を保っています。
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