よつばつうしん
2015年8月号(No.053)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その8)もうこれ以上死の灰を作らないでほしい

8月6日、広島でウラン型原爆が、8月9日には長崎でプルトニウム型原爆が爆発しました。
 7月7日、九州電力は川内原発1号機の原子炉へ核燃料の搬入を始めました。同機の出力は89万kWですから、何もなく安全に1年間運転されると、広島型原爆890発分の死の灰が生み出されます。セシウムもヨウ素も自然界に存在しますが、放射性セシウムも放射性ヨウ素も人間がわざわざ作りだしたものです。ましてやプルトニウムはもともと自然界にはなく、しかも毒性が非常に強く、半減期も3万年というやっかいなもので、それで「地獄の王」と命名されました。
 1人の人間の1年分の電力を生み出すために、数万人の人間を殺せるぐらいの死の灰が作られます。発電装置というよりは死の灰発生装置と呼んでいいでしょう。こんなものを発電機と呼んで、水力発電や火力発電と同列に考えること自体が、精神の退廃だと思います。すでにこの狭い日本に120万発分の死の灰があり、再処理工場は止まったままだし、最終処分地も決まっていません。
 6月21日に京都で今中哲二さんの講演会がありました。久しぶりにお会いしたかったのと、ひとつ気がかりなことを質問したいと思って行ってきました。チェルノブイリ原発事故から29年、セシウムの半減期が30年ですから、事故時に2000発分の死の灰があり、そのうち900発分も飛び散ったとはいえ、残り1100発分のその半分がまだ残っています。そのウクライナの東部は内戦状態にあり、EU側についているウクライナ政府も借金でいつつぶれるかわからない状態です。今中さんが言うには「チェルノブイリ原発は首都のキエフの側、つまり西部にあるから今のところ、戦乱の心配はありません。また原発も事故後は安定していて、福島原発よりずっと安心な状態です」とのことでした。
 セシウムの毒性が半分になるかならないかのうちにソ連はつぶれてしまい、ウクライナは内戦状態です。国家も政府も永遠不滅ではありません。にもかかわらず、チェルノブイリ原発に残されているプルトニウムは事故当時と全く同じ毒性を保っています。


水俣たより
 「公害の原点」水俣からG
あきらめず再稼働反対の意思表示を
企業組合エコネットみなまた 永野隆文


いよいよ再稼働か?
 この文章が読まれる頃、川内原発再稼働は秒読みに入っているかもしれません。かつて原発は30年定年制(?)が言われ、その後解体に向けて余生を送ることになっていました。今回原子力規制委員会の新基準では、誕生したばかりの原発を想定してさまざまなハードルを設けクリアさせようとしています。退職間近な老体に、若い頃のような体力、気力を求めるのは無理な話、ゴーサインが出ても、川内原発は稼働に相当苦労をすることが予想されます。
九電説明会を求める陳情
 川内原発から40キロの距離にある水俣市、私たちは再稼働をやめてほしいとさまざまな活動を行ってきました。2月9日九州電力福岡本店に「核廃棄物が溜まる一方の原発は動かさないでください。川内原発再稼働をしないでください」と水俣病の患者の人たちと行きましたが、きちんとした答えをもらえませんでした。そこで3団体で6月水俣市議会に「住民への十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う電力事業者として、責任のある態度とは思えません。九州電力に対して水俣市での住民説明会の開催を求めることを決議し、関係機関に働きかけてください」という陳情をしました。7月2日本会議にて全会一致で採択されました。西田水俣市長は、NHKのインタビューに答え、九電に説明会の開催を求めることを明言しました。
川内現地では
 6月28日、炉心から一番近い集落久見崎町で、170人が集まり、6・28再稼働「不同意」住民、川内原発正門前抗議集会が開かれました。水俣からは、中年・老年行動隊が参加しました。町内デモでは、廃校になった滄浪小学校前も通りました。ここの体育館奥には、過酷事故の時30人が4日間避難できるシェルターが作られています。逃げ遅れた人たちを想像すると胸が痛くなりました。人通りのない過疎の町内を経て、原発正門前にて集会。8月中旬にも再稼働と言われていますが、簡単にはさせないという人たちが、最後まであきらめず、現場にて反対の意思表示を続けることを確認しました。



編集委員からの一言


  子育て世代のよつ葉の会員さんも多くいます。子どもはよく喧嘩をします。小学低学年の子どもたちの喧嘩、兄弟喧嘩、些細なことで口論となり、最後は取っ組み合い。見ていると子ども同士の喧嘩は意外と激しいですね。
 家の中での兄弟喧嘩で取っ組み合いになると、そっとテーブルを端に寄せたりするくらいで親は不介入。叩いて叩かれて痛みがわかってくるんでしょう。大喧嘩の後で何事もなく楽しそうにまた遊ぶ、子どもにとって過去は過去、今を楽しんでいるので親が余計な事は言わないほうがこじれずに平和に過ごしています。
 夏に、小学校で全校生徒の平和発表会が体育館でありました。広島に修学旅行にいった6年生を始め、各学年で平和の大切さを発表していました。全学年の子どもたちが戦争はいやだ、の声をあげていました。楽しく平和に過ごしたい子どもたちを将来戦地に送り込みかねない安保法案には反対です。

(ひこばえ・上加世田裕司)


 

INFORMATION

8/15(土)〜〈戦後70年企画〉
●映画『ひとりひとりの戦場
 最後の零戦パイロット』
99歳の元零戦パイロットが語る
太平洋戦争の真実!
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/ 

9/6(日)13:00〜プレ・イベント
●さよなら原発全国集会in京都
会場:京都市・梅小路公園 芝生広場
下京区大宮七条下ル西側
お問い合わせ:075-465-2451



8/22(土) 19:00〜
●中村哲さん(ペシャワール会)
講演会in箕面   水と緑で平和をつくる
会場:箕面市立メイプル大ホール
前売1000円
当日1300円(高校生以下500円)
連絡先:072-722-9914


9/19(土) 13:30〜15:00
●第209回 住まいの勉強室
『木の香りいっぱいのオフィスビルを見学しに行きませんか?』

場所:大阪木材仲買会館(大阪市西区)
案内人:大町洋三氏(事務局長)
連絡先:072-671-2284(井上)
〆切:9/12


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