よつばつうしん
2015年6月号(No.051)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その6)ゴリラやチンパンジーには おばあちゃんはいないんだって

保育士をやっている娘が2人目の子の育休が明けて職務復帰したが、以前にもまして早番は早くなるし遅番は遅くなるし、回数も増えるし、2人の子の送り迎えにウチのカミさん、つまりおばあちゃんが大活躍です。しかも電動アシストのついてない自転車にこだわっていて、それで走り回るのですから頭が下がります。先日2人の孫の誕生日に日頃何もできない僕がせめてものプレゼントにと、神戸からかけつけてコロッケとかかやくごはんを作ってあげたところ、一番喜んだのは日頃忙しくしているおかあちゃんの方でした。
 おばあちゃんというと、私たちにとってはごく当たり前の存在なのですが、実はヒトにしかないというのですからびっくりします。人間とほとんど変わらないチンパンジーやゴリラでもメスは生涯現役で、出産ができなくなれば死ぬ時です。他の哺乳類も全てそうです。人間のメスだけが、生殖年齢を過ぎてからも元気に生きることができて、孫の子育てを手伝うことができます。しかも、自分の経験を生かしてベテランとして。若い母親の経験不足を補うと同時に、若い母親は仕事にも精力を注ぐことができます。このことが人類繁栄につながっています。
 哺乳類は子宮の中で子どもを育て、産んでからは母乳で栄養を与えることで、他の動物にはない繁殖力を獲得しました。しかもメスは胎児のうちに自分の卵巣内に誕生後おとなになってから使う卵子をすべて作ってしまうという用意周到ぶりです。こうして確実に綿々と命をつないできました。これに対してオスの精子は生殖年齢になって初めて作られ、使い捨てられていきます。
 放射線は動物だろうと人間だろうと、オスだろうとメスだろうと等しく襲いかかります。でもその影響となると決して同じではありません。もしも女の子を妊娠中のおかあさんが放射線に曝されたならば、3世代にわたる多くの命が危険にさらされることになります。


水俣たより
 「公害の原点」水俣からE
川内原発 今夏にも再稼働?
企業組合エコネットみなまた 永野隆文

さわやかな季節が巡ってきました。でも私の胸にはとげが刺さったままです。福島原発事故で「想定外」の被害が起き、これで原発エネルギーに頼らない日本になると期待したのですが、そうはいかないようだからです。原子力規制委員会の審査は、九州電力の不備が次々に指摘されながらも進み、今夏には再稼働となりそうです。
 川内原発建設をめぐっては、当初から地元の反対があり、前田トミさんもその一人。1973年から川内原発反対母親グループとして活動開始、2007年82歳で亡くなるまで一貫して反対を訴えました。トミさんは、原発から数百メートルの距離に住み、1994年からは総理大臣、経産大臣、科学技術庁長官へ毎日はがきを出し続けました。
 私は、1976年以降、トミさんと活動を共にしました。「地震国日本に原発はいらない」が口癖でしたが、福島事故では現実のものとなりました。
 しかし、こうした長年にわたる国民の声は、国や電力会社に届くことはないというのが現実です。再稼働で新たな原子力社会の幕が開かれようとしています。過疎地の原発周辺で暮らしている人が棄民にされようとしているのです。

 賢い国に原発はいりません 見直してください地球の未来のために是非 日本はこれでいいのでしょうか 危ぶまれて仕方ありません 見直してください未来のために 「反戦」「平和」「反核ゴミ」は私の「祖国愛」「郷土愛」のモトイであります
 現世は次なる御世の母胎なり とこしえなれと朝な夕なに
トミさんが出し続けたはがき

原発をどうしても動かしたい人たちは、福島事故を過小評価し、犠牲になった人たちのことは真剣に見ようとしていません。このまま再稼働する意味は、私たち国民が、「命より経済」の犠牲になるということです。
 水俣病事件で常に被害者側に立ち続けた故原田正純先生は、福島事故後新聞社の取材に応え次のように言われています。「教訓というのは、そもそも何を失敗したかということを発信すること。反省なしに発信は無理だ。原発事故も水俣病も根幹には豊かな暮らしを支える技術革新のプラス部分だけを求め、マイナスを社会的弱者に押しつけるという風潮があった。でも、そのために命や健康を失う人がいる。幸せな社会だろうか」。



編集委員からの一言


 子どもの頃は夏が好きでしたが、大人になってからは暑すぎる夏が苦手だったはずなのに、よつ葉ビルの屋上で、みんなで一緒に植えた夏野菜の苗に水やりしていると、まるで子どもの頃みたいに、暑い夏が待ち遠しい気持ちになりました。
 「歳を重ねると人はだんだん子どもに返っていく」と誰か言っていましたが、これも歳のせいでしょうか。今年還暦を迎え、いわゆる高齢者に分類される歳になって、自分の中でも変化が起こっています。例えば、「世代交代」という言葉のイメージですが、若い頃は、古い世代は敵であり打倒するべき存在みたいなことしかなかったのに、最近は、若い世代の頼りないイメージが浮かびます。「次を準備できなかった古い世代、人が育たないのは古い世代の問題」などと批判していた昔の自分に今の自分を批判されそうな変化です。
 しかし、何しろ初めて歳をとったのだから、そんな自分に慣れていないのは仕方ないという仲間の言葉が、変に気に入っている未熟な高齢者ライフです。

(連絡会事務局・田中昭彦)


 

INFORMATION

6/6(土) 14:00〜16:00
●大豆くらぶ講演会
講師:高橋保廣さん(ネットワーク農縁)
会場:よつ葉ビル5F
お問い合わせ:よつば農産(0771-27-7500)  

6/13(土)〜7/3(金)
●映画の天才―羽仁進映画祭
キュメンタリー『教室の子供たち』公開から60年
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/




6/7(日)
11:00 〜 オープン 13:00 〜 集会
●ストップ再稼働! 3万人大集会in福岡
主催:原発いらない!九州実行委員会
会場:福岡市舞鶴公園
連絡先:080-6420-6211
http://bye-nukes.com/

6/28(日) 10:30〜12:00
●第206回 住まいの勉強室
 『夏に向けてのコーヒー教室』
場所:マウンテン(JR高槻駅北側)
指導:『マウンテン』西田
予約連絡先:072-671-2284(井上)〆切:6/24


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