よつばつうしん
2015年4月号(No.049)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
(その4)原発と原爆、ドイツと日本

「河合さん、みんな原発反対よ。それなのに安倍さんは私たちの声を聞いてくれない。あの人を何とか辞めさせることはできないかしら」と、先日の配達のとき、この欄を読んだ会員さんから声をかけられました。本当にそう思います。
 世界で最初の原子炉は第2次大戦の終盤にアメリカで作られました。原爆を作るためです。発電とは全く関係ありません。そして2発の原爆、ウラン型原爆とプルトニウム型原爆が作られ、それぞれ広島と長崎に落されました。
 ウランは自然界に存在しますが、そのうち、原爆の材料になったり、原子炉の燃料になったりするウラン235番はたった0.7%しかありません。まずこれを濃縮して純度を高めます。これがウラン濃縮で、もちろん日本は自前でやっていますが、イランや北朝鮮がやろうとすると、アメリカをはじめとする核保有国がよってたかって止めようとします。ウランを濃縮するのは大変ですが、濃縮したウランから原爆を作るのは簡単です。
 プルトニウムの語源は「死の国の王」から来ています。欧米の人たちはプルトニウムと聞くだけでおぞましさを感じると思います。ウラン235番が核分裂するといろんな放射性物質ができますが、その中にプルトニウムがあります。これもウランと同じように核分裂しますから原爆の材料になります。世界最初の原子炉はウランからプルトニウムを製造するためのものです。今でも原発がプルトニウム製造装置であることに変わりありません。
 4年前、福島原発の事故が起きて、民主党政権ははっきりと脱原発を打ち出しました。その時、野党になっていた自民党の幹事長の石破茂さんは「脱原発とは脱原爆であって、絶対に賛成できない」と言いました。当時は野党だったのでついホンネが出たのでしょう。
 ドイツのメルケル首相が来日して、戦争責任と脱原発について発言しました。ドイツは核兵器を持つことなど考えていないからこそ、はっきりと脱原発にカジを切れたのだと思います。


水俣たより
 「公害の原点」水俣からC
海の汚染、フクシマ、ミナマタ
企業組合エコネットみなまた 永野隆文

水俣の海岸には春になると海藻が繁茂する
場所があります。写真はひじきのじゅうたん。

2月26日のニュースです。「東京電力福島第1原発で、放射性物質を含む雨水が排水路を通じて外洋に流出していたことが明らかになった。排水路を通じた流出は事故発生直後から続いていたとみられるが、東電の対応は後手に回っている」
 つまり、事故後は排水路の周辺が、飛散した高濃度の放射性物質で汚染され、流入する雨水と混じり港湾外に流れ出ていて、4年間、ずっとほったらかしの状態だった、ということです。構内の至る所がこの実態ではないかと推測されます。
 政府は、汚染水は「アンダーコントロール」(管理下)にあり、影響は「ブロック」(封じ込め)されているといい続けていますが、まったく事実にもとづかないことが明らかになりました。しかし、汚染水漏れや海への流出については、どれだけの日本人が関心を持ち憂慮しているでしょうか。
 ドイツでは13年秋、毎日のようにトップニュースで、福島原発の汚染水漏れが「世界最大のスキャンダル」として報道されていました。また、投稿欄には、「日本政府の反応の鈍さに愕然とする。今では原発再稼働、推進、諸外国への売り込みなど、被害に苦しむ国民を抱え、同原発周辺を放射能で汚染している国とは思えない。『無責任な決断をしている日本政府』と『それを許している国民』は、ドイツでは理解されません。日本が地球と人間、生物を放射能で汚染していることに世界中が注視し、恐怖を抱いています」ともあります。
 この垂れ流しで思い浮かぶのは、水俣で、チッソが1932年から68年まで36年間水銀を含んだ廃水を無処理のまま水俣湾に流したことです。企業や国、熊本県の責任は裁判などで厳しく問われていますし、今なお多くの人に身体の被害が続いています。
 濃厚な水銀汚染を受けた水俣の海は、現在、甦りの兆しがありますが、かつての豊饒の海を取り戻すには、あとどれだけの歳月がかかるでしょう? 一方、放射能の被害を受け続けている海は、これからどうなるのでしょう? 原発が再稼働すれば、海は、温排水の影響も多大に受けるのです。私たちが今やらなければならないことは、はっきりしています。



編集委員からの一言


 来年3月に能勢町すべての小・中学校が廃校になります。生徒数の減少に何ら有効な手段を講じることなく小学校6校、中学校2校を廃校にしてしまいます。現在来年4月開校に向け旧府民牧場跡地に小中8校をひとつの校舎に放り込むべく新校を建設中です。
 しかしその新校も夢のような当初計画を大幅に縮小し、教育環境としては不満だらけの学校ができそうな気配です。そして廃校後の校舎の処遇についての具体案も何ら示されず、地域に巨大な廃墟が生まれることを不安に思っています。
 とはいえ前代未聞の8校を同時に廃校にして、ひとつにまとめるという強硬策に対し断固反対と声高に叫び白紙に戻したところで存続の不安は常につきまとい、永遠に議論を重ねる時間的余裕もない今となっては、行政への批判を続けていくのと同時に新たな学校が子どもたちにとって大切な場となるよう、今後の町づくりのための財産となるよう一人ひとりが考えなければなりません。

(ハム工場・佐藤雄一)


 

INFORMATION

3月〜5月
●春のおともだち紹介キャンペーン
170号にチラシが入ります
ご紹介くださった方にはプレゼントを進呈
お問い合わせ:各配送センター 

4/4(土)〜
●アレクセイ・ゲルマン監督全作品上映
不朽不滅の遺作『神々のたそがれ』公開記念
シネ・ヌーヴォ 06-6582-1416
http://www.cinenouveau.com/




4/18(土) 13:30〜15:30
●よつばの学校公開講座
講師:大内信一さん(二本松有機農業研究会)
会場:茨木市福祉文化会館303号
※申し込み不要
お問い合わせ:関西よつ葉連絡会事務局
(072-630-5610)


4/26(日) 13:30〜15:30
●第204回 住まいの勉強室
 『エコ洗剤で掃除しませんか』
場所:高槻市立総合市民交流センター
解説:土井けいこ
予約連絡先:072-671-2284(井上)
〆切:4/22


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