よつ葉つうしん

2015年3月号(No.048)

特集	震災から4年

ともに手をたずさえて 東北―関西
震災・原発事故を忘れない

災害を乗り越えて輝く、食と農
―農の力と市民の力による共生の時代に─

NPO法人福島県有機農業ネットワーク理事長 菅野正寿

天明飢饉の碑

230年前の天明の大飢饉の惨状を記した石碑が、福島県二本松市東和地区の木幡山隠津島神社境内にあります。「為民」と題する天明飢饉の碑には、『同三(天明)夏より霖雨降続き、奥羽二国五穀実らず山里は種をも失ふ故に、わらの粉のもち又草木の根葉まで食すれども、飢えて死ぬ人数知らず(以下略)』(東和町史T)と刻まれています。
 6月は大洪水、土用寒く、8月中旬に出穂したものの、北風が吹き荒れ大寒中のように寒さが続き、ついに耕作物すべてが実らなかったと記してあります。旧東和村をはじめ千人もの餓死者がでました。その後も冷害、旱魃、大雨災害に遭い、二本松藩にその窮状と年貢の免除を求め、1万5千人余の農民一揆を何度も起こしていくのです。  

この教訓から江戸後期から明治、大正、昭和と農村復興策として特産物(養蚕、葉タバコ)、酪農、綿羊の振興と大豆、小麦、じゃがいも、あわ、きびなど雑穀も奨励して開墾と食糧増産を官民あげて図ったとされています。まさに先人の血のにじむ努力によって多様な日本型食文化が受け継がれてきたし、どんな災害をも乗り越えて、約3千5百年の日本の稲作文化が脈々と営まれてきたのだと思いあたります。  


市民、学生と稲刈り

福島第一原発から16`の南相馬市小高区の避難指示準備区域で、仮設住宅から毎日通い、有機米の試験田を栽培してきた根本洸一さん(76歳)は、「あの戦中でも米づくりを止めなかった。だから放射能でも米づくりをやめるわけにはいかない」と。周辺がセイタカアワダチソウの雑草のなか、無農薬のすばらしい稲穂を稔らせました。そしてその試験田の上にだけトンボが飛んだのです。「春が来れば耕す」根本さんの農民の魂を受け継いでいきたいと思うのです。
 放射能に汚染された福島だからこそ、環境保全型農業の価値をしっかり伝え、地域資源を活かした食とエネルギーの自給をめざし、市民とともに協働と共生の関係をつくりあげていく新しい時代のステージをはじめたいのです。


阪神・淡路大震災から20年

川西産直会員 中川智子(トレテス創業者/宝塚市長)
 あれから20年。毎年1月17日はあの日に時間が戻り、今でも胸が苦しくなる。多くの命が失われ、被災者の人生は茨道へと余儀なくされた。
 私は被災はしたが家族や家屋が無事だったため、すぐにボランティア活動に走った。近畿一円からリサイクル電化製品(テレビ・冷蔵庫・洗濯機など)を集め、仮設住宅に届けた。その活動でこだわったことを箇条書きで記してみる。
@ 思いを添える。寄付品はきれいに磨いてもらい、手紙を添えてもらった。
A
無料で渡すのではなく、5円でも10円でもお金を受けとった。「買った」ことが大切。被災者が失っていくのはプライドである。自立への一歩は自分の力で歩きはじめることだと思う。
B
被災地の人間が活動することのメリット。地の利があること。自分の家にボランティアを宿泊させることができる。車の手配も簡単。
C
困ったことでは、日頃の教えが「人に迷惑をかけない」ということなので、遠慮されることが弊害になった。「困ったときはお互いさま」の浸透に苦慮した。
 まだまだあるが、私の人生も激変した。「被災者支援法」を作りたいと衆議院議員になり、1998年5月に議員立法が成立した。3009年に宝塚市長になった。東日本大震災後、宝塚市は脱原発の町づくりのため自然エネルギー課を作り、市民と共に取りくんでいる。また、南三陸町に2人、女川町に2人、職員を長期派遣し、これからも支援を惜しまない覚悟である。

「よつばの学校」のご案内

4月より「よつばの学校」を開講します。
 1970年代の後半から始めた食の仕事も40年近くになります。第一世代から次の若い世代につないでいくべき時期です。
 食の課題は他の社会的なさまざまな課題と密接に関連しています。社会の歩みにきちんと向き合いながら、大切にする事柄、今すべきことはなにかを求めていかねばなりません。終わりのない学びを楽しみ、実践につなげ、実践の中で検証する、そんな繰り返し、積み重ねがなければ意味ある仕事は作れません。
 主には内部向けの研修の場ですが、生産者と共に歩んできた私たちの仕事です。
 生産者を招いた講座、識者を招いた食の講座などを定期的に開催する予定です。これからの食を広い視野の中で会員の皆様と一緒に考える機会にしたいと考えています。
 その都度ご案内しますので、ご参加いただければ幸いです。(鈴木伸明)
◎よつばの学校公開講座 「大内信一さん(二本松有機農業研究会)講演会」
 4/18(土) 13:30〜15:30 茨木市福祉文化会館303号
※詳しくは『今週のお知らせ』120号をご覧ください。
 3面「『百姓クラブ』のお誘い」もお読みください。

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