豊橋からの帰り道、関ヶ原を過ぎて米原あたりで新幹線の車窓から琵琶湖が見えてきたので、この話を隣の席のカミさんにしたところ、あまり興味を示さなかったから面白くないかもしれませんが書きます。
滋賀県には数えきれないほどの大小の川が流れていますが、あらゆる川が琵琶湖に注いでいます。つまり県下で降る雨も雪も全てがやがて琵琶湖に集まります。近畿の水ガメとはよく言ったもので、天然の貯水池のようなものです。
そして、琵琶湖に集められた水は唯一の出口である瀬田川から流れだし、宇治川、淀川となって大阪湾へ注ぎます。大阪市内はもちろんのこと、大阪府下へのほぼ全域、さらには尼崎、西宮、神戸までの水道水は琵琶湖の水のお世話になっています。
また京都へは疏水を通じてやはり琵琶湖の水が運ばれ、京都市民の水道水となっています。疏水というと哲学の道あたりを思い浮かべるかも知れませんが、あれは支流のまた支流です。本流は大津からトンネルを抜けて山科区へ入り、区内を10キロ以上も滔々と流れ、再びトンネルをくぐって蹴上へと流れ出します。かつてはここに発電所が作られたほどの水量です。山科区内の疏水べりにも延々と桜並木が続いており、ここは隠れた名所と言っていいでしょう。ぼくは一度、散り際に行ったことがあって、水一面に花びらが敷きつめられ、花筏が流れていく様はそれはみごとでした。
滋賀、京都、大阪、兵庫と近畿4府県の人々の命の水。琵琶湖はその形状ばかりでなく、近畿の水ガメそのものと言えます。もしも、若狭湾にある原発が事故を起こしたら、それも冬場だったら大量の放射性物質が滋賀県下に降り注ぎ、琵琶湖に集まり、近畿の水ガメが汚染されます。
前の滋賀県知事の嘉田さんが「被害地元」という新しい考え方を提起し、関西電力に迫りました。滋賀県ばかりでなく、京都も大阪も兵庫も、そして岐阜も愛知も、若狭湾の原発の「被害地元」なのです。 |