「2014秋 よつ葉交流会」
大澤真幸さん講演会にて(7面に関連記事) |
年末年始にかけて、テレビで世界の出来事についての特集や解説が増えるのは、たまには視野を広げるような時間も必要だと思う人がいるからでしょうか。
去年の暮れ、フランスの経済学者トマ・ピケティという人が書いた『21世紀の資本』の日本語訳が日本でも発売されました。アメリカで発売されたときには、売り切れとなる書店が続出したほどのベストセラーになったそうですが、日本でも話題となり、年明けからNHKで特集の番組も始まったようです。
ここ数年、「経済格差」を直接の原因とした抗議行動や、直接の原因ではなくても背景に「経済格差」が考えられる「数万人、数十万人単位のデモや集会」が世界中で起きています。この『21世紀の資本』という本が注目されているのは「資本主義では歴史的に所得分配の格差が拡大する傾向があり、それは今後も続くだろう」という主張が、各国の統計データをもとに説明されているからです。
しかし、そんな本が売れても売れなくても、私たちの「食や暮らし」「地域の農業・畜産・漁業」が世界中で壊されていっているのは紛れもない事実、私たちの実感です。資本主義経済システムの猛威は相変わらず止まることを知らず、地球上のあらゆるものを飲み込んで、大自然さえも蹂躙しながら拡大を続けている、といったところでしょうか。
現在の資本主義経済のシステムは人の社会で生まれたものですが、21世紀に至っても未だに人(社会)が制御できないまま拡大を続け、国境を越えて利潤を貪り続けています。
人(社会)自身が作ったシステムに翻弄され、崩壊していく「国民国家」。世界中で広がる国家主義や民族主義への回帰。新たなナショナリズムの興隆は国内でも右翼の台頭という形に現れてきています(ヘイトスピーチ、戦争国家へのアナクロニズム)。
いきなり、日常の生活や仕事とはかけ離れたような抽象的な話ですが、「いまこの世界をどのように捉え、どんな社会を目指していくのか」について考えることはすごく大事だと思っています。
私たちは、こうした動きに対抗していこうとしている人たちと連携していくことでしか、「1%の経済エリートと99%の貧困層」という世界的な流れに抗することはできません。
人々が普通に働き生活していく世界を取り戻していくこと、原発事故を生みだした構造を壊し等身大の世界を再確立していくこと、そのためにはまず足下(地域)から対抗していく力をつけていくこと、そしてより多くの人たちとつながっていくことが大事だと考えています。
2015年の関西よつ葉連絡会総会で提案した具体的課題は、以下の6点でした。
@ |
生産の現場では分野ごとに課題を整理して取り組んでいきます。食品加工の現場では職場運営や職員の意識の問題、食品加工の将来展望や商品企画への主体的関わりなどについて具体的に取り組んでいきます。畜産の現場では「よつ葉がめざす畜産ビジョン」に沿った現場づくりが課題です。農業の現場では、経営的にはどこも厳しい状況がありますが、今後もよつ葉全体で協力していきます。 |
A |
配達の現場では職員の育成に取り組み、地域のより多くの人たちに私たちの取り組みを理解してもらえるように働きかけていきます。 |
B |
昨年から、高槻・能勢・箕面の3地区でスタートした「移動販売車」の取り組みは、まだ始まったばかりです。2015年は、さらにエリアを広げて、高齢化・独居が進む都会で「移動販売と御用聞き」を基本としながらも、それを越えた「コミュニケーションツール」として各地域に広げていくつもりです。 |
C |
『よつばの学校』の原点に返って、各社の責任者(職員)を対象に「事業理念を培い、事業構想力を豊かにし、それを具体化する実践力を身に付けること」に役立つ『よつばの学校』を目指します。また、公開講座を新設し消費者会員も参加できるようにしていきます。 |
D |
生産者・消費者会員・よつ葉職員の交流を図ることを目的として、「2016春よつ葉交流会」の開催を目指して準備していきます。 |
E |
商品企画物流部門では、「よつ葉の物流センター構想」について、さらに議論を深めながら、次世代の物流について考えていきます。
私たちが目指していることを少しでも実現していくためには、それぞれの現場でしっかりと課題を担う主体を育むことこそ最重要の課題だと考えています。また、今後も共通する問題意識を持つ生産者や地域の人たちとこれまで以上につながりを深め、現状を変えていく努力を続けていくつもりです。 |
|