よつばつうしん
2015年1月号(No.046)
うまい話まずい話	やさい村	河合左千夫
第1回:数え年とお正月とクリスマスと

ぼく(1951年生まれ)が子どもだった頃、まだ「数え年」という年齢の数え方が残っていました。生まれた年が1才で、次に正月が来ると2才になります。ゼロ才というのはありません。ぼくは11月生まれだから、わりとすぐに2才になったことになります。数え年でいくと1951年生まれのうさぎ年のみなさんはこの正月で、みんな65才になりました。みんないっしょにというのが数え年の最大の特徴です。
 明治生まれの祖母は数え年を普通に使っていました。大正生まれの母は、現在のような誕生日を基準にした年の数え方(満年齢)と数え年とをどちらも使っていました。だからおそらく、戦争に負けたのを境に変わっていったのだと思います。誕生日を基準に年を数えたり、ひとりひとりの誕生日を祝ったりするのは欧米の文化です。キリストの誕生日を祝うことから広がったのか、もともとそういう風習があったのでクリスマスができたのか。いずれにしても主語にこだわる言語を話す人たちの文化でしょう。今では誕生日祝いがごく普通に定着しましたが、ぼくの子どもの頃はまだありませんでした。小学校の同級生に、父親がトヨタのエンジニアの子がいて、この家はハイカラで誕生パーティに招ばれたことがあります。お母さんが手づくりのバースディケーキを焼いてくれて、あのおいしさは今でも忘れません。今から思うとあの家にはオーブンもあったことになります。でもこんなのは例外中の例外でした。
 数え年がだんだん使われなくなって、逆に誕生日祝いが定着していくにしたがって、お正月のめでたさが失われていったように思います。クリスマスも、冬至の次の日に太陽が生まれ変わり、新年を祝う風習とキリストの誕生日祝いを重ねてできたとも言われています。それに対してこちらは、新年にみんながみんな年を重ね、それを祝いあう文化だったわけです。もういちど数え年を復活させたらどうでしょう。


水俣たより
 「公害の原点」水俣から@
川内原発再稼働間近、 反対の声を上げ続けよう
企業組合エコネットみなまた 永野隆文

水俣市は、川内原発から40〜50`の距離にあります。1984、85年に1号機と2号機が稼働、世界最大出力の159万kWの3号機計画は福島事故以降ストップしています。
 一方、2013年9月15日から48基の原発は全く使われていないので「原発なしで暮らしたい」という私たちの願いはかなえられています。しかし、「原発なしでは暮らせない」推進の人たちは、福島事故が起き、収束の予想がつかなくても、子どもたちの甲状腺被害があっても、何が何でも、再稼働まっしぐらです。そこに民意はありません。
 昨年4月、私は脱原発会議の席上で、「命を懸けて再稼働を阻止する!」と思わず口にしてしまいました。日ごろ「命を大事に!」と言っているのにです。


 まかり通る理不尽


 1970年、高校1年生だった私は、文化祭で水俣病被害者の話を聞きました。被害を受けたものが声をあげない限り、問題は解決しないという社会の現実と、これを何とか変えないといけないという思いに、少年の心は大きく揺れました。
 1976年、薩摩川内市の郵便局に就職、地元では川内原発建設反対運動が大きく盛り上がっていましたが、次第に切り崩されていく住民が出て、原発は動き出しました。
 


2014年10月26日 川内原発ゲート前で再稼働反対!

反対運動の先頭に立っていた母親たちは「地震列島に原発はいりません」「子どもや孫の未来のために」という思いを強く持っていたのですが、届くことはありませんでした。みんなで大変悔しい思いをしたことを覚えています。そして今。
 原発なしで暮らすことに何の困りごともないのに、命より経済が大事な人たちが、強引に、「迷惑千万な原発」の電気に頼る社会を、再び作ろうとしています。水俣病事件と福島事故、原発再稼働、理不尽なことがまかり通っています。未来のために、ダメなものはダメ、という意思表示が今こそ必要です。



編集委員からの一言


 近いうちに引っ越しをすることになりました。母が高齢になり病院通いも増えたので、実家近くの住宅を探し、やっと引っ越しが決まりました。
 いま住んでいる所には、ちょうど十年暮らしました。住み始めた頃は子どもたちも小さかったので2DKでも十分でしたが、寝るときはいまでもお布団を2枚ひいて川の字で寝ています。今回、少し広いところに移れるので、やっと川の字は卒業です。母と私と娘たちと親子三代の日々は、大変なこともありますが、楽しいことばかりで、これからも仲良く生きていければと思っています。
 2年前の11月に連絡会事務局のホームページ担当として働くようになりましたが、私はあまり世の中に批判的なことを言うタイプの人間ではなかったので、「やっていけるかな?」と心配していました。でも、以前は気にしていなかったことが少し気になるようになりました。もう少し、母のような高齢者や私のようなシングルマザーに優しい世の中になってくれるとみんなが助かるのにと最近は思っています。

(連絡会事務局・山田まゆみ)


 

INFORMATION

1/2(金)〜
●映画『365日のシンプルライフ』
ご好評につきアンコール上映
シネ・ヌーヴォ 
http://www.cinenouveau.com/

2/14(土)〜
●映画『リトル・フォレスト 冬/春』
 生きる 食べる つくる 春夏秋冬の4部作
全国松竹系映画館で上映
『life』50号3ページをご覧ください。



 

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