よつ葉つうしん

2014年4月号(NO.037)


 ●土にふれよう 身近で楽しむ小さな農  
 

昨秋、キャベツとブロッコリーの苗を庭の狭いスペースに植えました。まもなく、新芽が出てきて、順調に育ちそうだ、と喜んでいた矢先、葉っぱがレース状になっていました。楽しみを台無しにしようとする正体を確認すると、葉と同じ色に擬態した昆虫でした。次の日も次の日もやってきて、若い葉はすっかり食べられてしまいました。もうこれでは育つまい、殺生も本意ではない、と観念しました。その時、こんな住宅地の狭い空間にあるわずかばかりの「餌」をどうして求めてくるのかな?と不思議な思いがしました。
 やがて関心も失せ、観察もしなくなったのですが、春先にふとみると、なんと!新しい葉が成長し、キャベツとブロッコリーの区別ができるほどに、小さな実をつけているのを発見し、妙に感動を覚えたものでした。作物を育てることは、私自身はほとんど放ったらかしなので、おこがましいのですが、その果実を得るばかりでなく、いのち、自然の営みのさまざまな「不思議」と「感動」に出会います。そして、それは食べる楽しみをまた一味違ったものにしてくれるのです。

  (鈴木伸明)


出逢いや発見こそ収穫
府南産直会員・近藤実里



近藤さんが育てた白菜

私は、大阪に暮らす33歳の主婦です。私の実家は、淡路島の平野部にあり、実家の周りの田んぼには、玉ねぎ、白菜、キャベツ、レタス、稲などがその時々で植わっています。私にとってその光景は、小さい時から見慣れた当たり前の光景です。
 しかし、実家の地元紙の記事には「兵庫県内の農家6割減」の文字。私の同級生で農家を継いでいる子はほとんどいません。私の祖父母や、親の世代が農業をやらなくなったら、これらの田んぼや、私たちの食卓は一体どうなるんだろう? この時初めて肌身に危機感を感じました。
 親の世代から子どもたちの世代へバトンをつなぐ私たちの世代が踏ん張らなければ。『今の私にできることは、何か』と考え、10uの家庭菜園を始めることにしました。
 いざ家庭菜園を始めるとなると、鍬の使い方、畑の土作りとわからないことだらけでした。本を参考にして、石や草の根などを取り除き、とにかくやみくもに鍬で耕しました。
 畳6畳ほどの土地を耕すのが、こんなに大変なこととは、思いもしませんでした。それでも、腐葉土をすきこんだ後に、鍬や足の裏で、土がふかふかに変化したのを感じたときは、なんだか自然に笑みがこぼれました。


よつ葉ビル屋上で(2013年夏)

その後、栽培計画を何とか立てたものの、計画通りにはいかず、生育不良で空きスペースができたり、夏場は、かぼちゃの蔓の勢いが猛烈で、うちの畑は、ジャングルのようになっていました。

畑の作物で食卓を賄うには、ほど遠いのですが、子どもたちと畑へ通う中で、一粒の種から芽が出て成長していく悦び、一緒に夢中になって作業する楽しさ、畑をとりまく人々や、生き物たちとの出逢い、失敗することで得られた発見は、ささやかだけど私にとっては、大きな大きな収穫です。
 まだまだ始めたばかりですが、これからどんな出逢いや学びや変化があるのか、期待しながらまた一歩ずつ歩んでいきたいと思います。



性急な答え求めず無心に

パラダイス&ランチ・高木俊太郎

本業はよつ葉のパン作りですが、4年ほど前から近くで小さな畑をお借りして、夏野菜を中心に栽培をしています。きっかけは世羅協同農場で、ある人に「パン作りだけしていては何も見えてこない。自分で畑をし、野菜でも育ててみなさい。そうすればもっとパン作りの先が見えるようになる」と言われたことでした。
 正直なところまだまだその答えは解らず、素人の域を出ませんが、無農薬、有機栽培で育てた野菜をパン作りにも生かせるようになってきました。でも、正直言って畑作業は身体はきついし、ご存知の方も多いと思いますが、無農薬有機栽培ともなれば雑草や虫との闘いです。パン作りで忙しいのになぜ畑をやっているのかわからなくなることも多く、明確に答えることはできませんが、いったん畑に来て畑仕事を始めれば、いろんなしがらみから解放され、素の自分になれる気がします。
 効率や出来栄えだけを求めず、土を耕し、種をまけば土と太陽の力で育ってくる野菜の生命力を感じることができます。自分たちで食べる野菜を育てる時くらいは食料自給率のため、安心安全のためといった堅苦しいことは忘れて、格好をつけず、土まみれになりながら無心になってもいいのではないでしょうか。プロではないのでおいしかったり、おいしくなかったり、勝手気ままに育ってくるお野菜たちを楽しんでみてはいかかでしょうか。そして、僕もパン作りにもいつかそんな気持ちで向き会えるようになれればと思います。



田んぼに身を置く
淀川産直会員・川井真理


「ウチの園の子はね、団子虫の取り合いでケンカするんです。園の子どもたちをここに連れてきたいワー」。昨年の秋、園での焼き芋大会に使うモミガラをお分けする時に田んぼでおっしゃった吹田の保育士さんの言葉です。
 「生きることは食べること」「あなたはあなたが食べたものでできている」。近頃よく耳にする言葉です。それはそのとおりなんですけど、食べることも食べるものも、あまりにお手軽に便利になってしまっていて…。いえ、私もその恩恵に十分に預かっている者の一人ですし、私が育ち生きてきた時代はまさにそこを目指していたのだと思います。が、その果てにフクシマがあり、団子虫の取り合いがあるのだとすれば…。
 「生産から遠ざかるほどヒトは退化する」(詠み人知らず)。
 かれこれ6年ほど前から自然農(自称)で米づくりをしています。草だらけ、虫だらけの田んぼで収穫量は慣行農法の半分にも及んでいません。でもね、そこに身を置くと帰る頃には元気になっています。これ、ホントです。
 大人(といっても、そろそろシニア)の私ですらこうですから、小さい人がここに入ったらさぞや…と。大人は野に出て生産にちょっと近づくことで、小さい人はその傍らで草や虫と戯れることで、食べること、生きることを少しだけでも自分自身に引き寄せることができるんじゃないかと。そして、そんな人が一人でも増えていくことで、こんがらがってしまったこの時代の糸がほぐれていけばいいなーと思う今日この頃です。

 

農に親しむ取り組みご紹介
 よつ葉は、これまでも「にんじんクラブ」などで、普段は農作業に縁のない人たちが農に親しむ機会を作ってきました。
 そして今年からは、以下のような取り組みが始まっていますのでご紹介します。なお、いずれも今年度の募集は終了していますので、ご了承ください。
●伊藤行裕さんの「野菜づくり教室」
 各産直の職員や会員のみなさんに、実際の農作業を通して野菜づくりの基本を学んでもらいます。
期間:3月〜10月、毎週日曜日。
お問い合わせ:072-743-6820(NPOよつば農業塾)
●JJ26 〜自分で食べるごはんは自分で作る〜
 グループorファミリー向け通年イベントです。なるたけ機械を使わずに、自分の食べるご飯を自分たちで作ります。お問い合わせ:0771-74-0300(アグロス胡麻郷)

地場の野菜苗
お届けは4/28〜5/3
育て方で聞きたいことや困ったことがあるときはよつば農産
TEL.0771-27-7500  FAX.0771-27-7501 までご連絡ください。

 

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