よつ葉つうしん

2014年3月号(NO.036)

アンケート特集

 経済成長優先の社会から
 自然に根ざした豊かさ
 震災と原発事故から3年をむかえるにあたり、昨年3月号1面に寄稿していただいたみなさんに、その後の状況を報告していただきました。2・3面も東北の生産者特集です。二度とかえらない人々や風景を記憶に刻みながら、また見えない放射能への想像力を働かせながら、私たちはこの出来事を、経済成長最優先の社会や暮らしのあり方の転換点にしていかなければならないのだと思います。
(編集部)


3・11原発事故と農の価値
福島県有機農業ネットワーク代表・菅野正寿


市民団体や学生との稲刈り


 東日本大震災原発事故から3年目にあたり、汚染水は海洋に流れ続け、いまだに福島県内外に14万人が避難しているという異常な状態は原発の収束どころではない。災害関連死は1500人以上にのぼっている。さらに低線量被ばくと内部被ばくの科学的検証があいまいのために健康への不安は続いている。
 進まない住宅除染、手つかずの山林除染は放射能とくらす県民にとって精神的圧迫となっている。山菜のワラビ、たらの芽、ゼンマイなどのセシウムの数値はいまだに高い。キノコ、落ち葉、炭焼きなど循環型の山林の汚染は深刻である。この豊かな里山の再生のために世界の英知を福島に結集していただきたい。
 しかしながら13年の福島県産の玄米全袋検査の結果、99・99%が25 Bq/s以下(ほぼ不検出)、野菜類についても不検出となっている。3年にして、耕して作付した農産物には放射能はほとんど移行しないという驚くべき結果である。しかも腐食と粘土質の肥沃な土壌ほどセシウムが土中に吸着固定されることが、日本有機農業学会との共同調査で実証された。つまり暴走した科学に対峙する道は、土の力を信じて耕した有機の力と農民的技術であった。
 福島第一原発から16`の居住制限区域の有機農家は、周囲が雑草だらけのなかに試験田をつくり、無農薬のすばらしい稲穂をつけた。その試験田の上にだけトンボが飛んだのだ。この感動はまさに農の持つ価値と多様性を教えてくれた。農の営みは米や野菜を生産することだけではなく自然の治癒力を引出しながら、どんな災害も乗り越え、約3500年という日本の稲作文化を育み、美しい田園と里山の原風景をつくりだしてきたのだと思う。
 競争による経済成長にピリオドを打ち、持続可能な農の営みの多様な価値を都市の市民と共有して、新しい生き方の選択を教えたのが福島の原発事故ではなかったのかと問い直したい。



その後の陸前高田

八木澤商店・河野光枝


頻繁に往来する工事用車両

復興の掛け声とともに、三陸沿岸の被災者はこの3年間、精いっぱい頑張ってきました。瓦礫は片付けられ、消えた町並みは一人ひとりの思い出の中にしまわれ、今は、広大な荒野が広がっています。高台移転のための土地を確保するため、次々と山の木が切られ、ショベルが土を削っています。
 高さ130mの裏山を削り、40mの高台を作る予定だそうで、90m分の土砂をベルトコンベアーで運ぶためのつり橋が3月からの稼働に向けて今盛んに建てられています。地盤沈下したこともあって、八木澤商店の建っていた土地は8m嵩上げし、商店街が作られる予定のようです。こんなに自然を破壊してよいものか?という思いと、仮設に住む人たちが一日も早く終の棲家を建てて、落ち着いた生活ができるように願う気持ちが複雑にからみあっています。
 しかし、福島の方々の今置かれている状態を考えると、贅沢な悩みなのでしょう。放射能という目に見えないお化けに脅かされ、何時になったら戻れるのかわからない不安感とそこに住むか別な土地に行くのかの迷い、想像もできません。
 特に子育て中の若いお父さんお母さん方の思いは計り知れなく、電気を使いながら生活をしてきた一人として申し訳なく思っています。今の日本は、後始末をしないまま経済問題に夢中になって、前に突き進んでいる危うさを感じているのは私だけではないでしょう。



遅れる復興のなか前向きに
丸友しまか・島香友



低気圧の影響で海は大荒れ。
どの船も休業状態。(2/14)

早いものであの震災から3年になります。時の流れと復興の速度が同じ位のスピードであれば、いいなぁと思います。正直、時間だけが早く過ぎ去り、復興のスピードはその3割程度のスピードなのではないかと思ったりもします。
 あの震災で、福島原発事故だけが無ければ…。けれど、今になって「あの時どうだった、こうだった」と言っても、状況が変わることはありません。この状況下で、当社ができうることを行い、少しでも会員の皆さんの不安が無くなるよう、従業員一同取り組んでいきたいと思います。
 また、以前に「マガキのオーナー制」でもお世話になった宮古湾北部かき養殖組合の方々も、日々作業に追われております。海に出て、養殖筏から出荷できるカキを採り、作業小屋に戻りむき身作業に取り掛かります。多い時で一人の生産者が1日約50sのむき身を仕上げ、出荷しているそうです。ただ、昨夏の台風の影響を受け、養殖していたマガキが4〜6割程度、落ちてしまい、出荷作業と並行してその片づけも行っているそうです。なかなか厳しい状況ではあるが、「支援してくださった方に、いいものを届けたい」という想いを強く抱いております。
 状況としては、あまり良い状況ではありませんが、生産者をはじめ多くの漁業関係者が前向きに進んでおります。

 

 

 

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