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もくじ2014年2月号(NO.035)
アンケート特集:環境汚染・環境汚染・TPPにどう立ち向かうか―食と農をわたしたちの手に―
生産者紹介:冬の風物詩 駒打ちの音(もろっこはうす)、喜ばれる事業 自然体で(ヨコノ食品)、琵琶湖の環境考え肥培管理(近江農産組合)
生産者から:環境変化で毎年一年生(高生連 若水会)/山里で暮らす農漁村で暮らす:土佐清水から 伝統の製法で宗田節(新谷商店・新谷重人)
交流会から:沖縄本島と久米島―沖縄の生産者と文化に触れる旅(京阪会員・奥村宏子)、ヤマヒサ 醤油蔵とオリーブ畑―発酵の不思議と出会う(大阪会員・濱岡美砂)/読書クラブ─わたしのオススメ:『菜食整腸の奇跡』( ひこばえ・河村はづき)
視点論点:危険度増す遺伝子組み換え(印鑰智哉 オルター・トレード・ジャパン)
ひとこと言わせて:島野菜(シマヤサイ)を守ろう!( (有)ティーダ有機・高橋正弥)/二本松たより:そして、3月11日(里山ガーデンファーム「二本松農園」・齊藤登)




アンケート特集 環境汚染・TPPにどう立ち向かうか
食と農をわたしたちの手に
 昨年末に、@原発災害をはじめとする環境汚染の食品への影響。ATPP交渉の成り行きが懸念される輸入農産物の問題。これらをどう考え、対処しておられるのかアンケートを実施させていただきました。多くのご回答の中から一部を紹介します。(編集部)
【アンケート質問内容】
@福島での過酷な原発災害は、食べものを扱う上で、食品の放射能汚染という難題を現実のものにしました。政府はほとんど検出されることのない高い数値を「安全基準」と定めました。それを信ずる人はまずいないでしょうが、そのおかげで、実際どうなのかを考える材料の提供はほとんどありません。「正しく恐れましょう」という姿勢で臨むのが最良であろうと考えますが、正しく認識するための材料が少ない状況では不安感がなくならないのも当然です。ウソやゴマカシが罷り通る社会的な条件ともなっています。
 そこで、今、原発災害と食べものについて、どのように考え、対処しておられるのか?率直にお聞かせください。なお、食べものと環境汚染について幅広い視点からのご意見も併せてお願いします。
Aもうひとつ、直近の問題で「TPP問題」があります。その全容は「秘密交渉」ということでよくわかりませんが、私たちの食に関わる事柄が大きく関係しています。主には、アメリカとの交易関係の問題ですが、車などの工業製品の輸出と引き換えに、国内の農業潰しをすすめてきた流れを完成させるというものでしょう。
 極端に工業に依存した社会のために、原発災害を引き起こした根にある問題とも考えますが、農業・漁業の生産基盤を破壊して止まないのでは、将来の食がますます不安定な状況に陥ることは確かなことです。
 「輸入農産物」の問題について、どのように考えておられるのか?
 また、国内の食の生産基盤をますます壊して将来の禍根を増大させる、その流れを止めるために、今、私たち一人ひとりにできることはなにか?


リセットのときは来るはず

@口に運ぶものが、子どもに食べさせるものが放射能に汚染されているかどうか、よつ葉さんの放射能検査の数値をいつも見て参考にしています。案外、検出されないものだと感じていますが、最近では、干しいもの数値は悲しかったです。
 生産者のことを思い買いたいという気持ちと、いや、少しでも子どもには避けてあげなければという考えの板ばさみです。学校給食や外食まで考えると、やはり、身体の機能をどう健康的に保つかが一番重要だと思います。きちんと運動する。新鮮なものを食べる。怒らない。ストレスをためない。明るく楽しく毎日をすごす。その上で発酵食品や玄米を食べるなど、プラスアルファの気づかいをする。京都に住む消費者としての視点から言えば、考え方一つで大きな問題ではないです。
 それより、問題は福島に住む人たちにとって、今のままでどうなのか。福島の農業は、三陸の漁業はどうなのか、です。もう、頭をかかえます。行政は頼りにならないので、よつ葉の会員であることが救いです。生産者側の事情が伝わることは、とても大きいです。そうでないと、見方、判断を誤ってしまう。
ATPP問題に関して、自衛しかないと感じています。生産者と消費者がなるべく顔を合わせ、お互いのことを考えて選択していく。だからここでもよつ葉の会員であることは救いです。大きな課題は、モノを買うときの判断基準を価格にしないで、誰が作ったか、どのように作られたかを基準にし続けられるかどうかです。
 暮らしの中でどこに重きを置くかだけでは解決できないところまで、輸入品が国産を押し、自らの収入も安価の大量生産のものに押されていくと、どうなるんだろう。怖いですね。
 わたしたちがこのまま日本銀行券に依存している限り、不安は増すばかりです。本当に将来のことを考えるなら、代替案を本気で議論するしかないと思います。それは地域通貨とか物々交換のようなものだと感じます。世界的に中央銀行や複利のダークサイドに押しつぶされている時代です。
 リセットは何らかの形で来ると思うので、それができる限り穏やかな形で現れるように、ささやかでも、今から準備が必要です。

(日吉会員・片山勇子)


福島の有機農家を訪ねて

 11月に福島の有機農業を見学してきました。
 @「福島」といっても広く、全てを「福島産」でくくるには、広すぎる。A県内農家の皆さんの大きな努力がある一方で、消費者まで1つ1つの農作物の線量が不明確なため購入しにくい。逆に線量がわかれば安心して購入できるものたくさんある。B有機農業によって、野菜への放射性物質移行が低減できる+農地の線量も下がる、ということを知りました。
 文字の情報だけでは不安ばかりでしたが、実際の状況を知ることで少し未来を感じることができました。同時に「食の安全」は生産者と消費者の信頼関係により成りたっており、TPPで生産者の方々からますます遠くなっていくことを危惧しています。
 環境が悪くなる中でも、有機農業の可能性を消費者である私たちも学び、とり入れていくことが、まず第一と考えています。
 よつ葉でも放射線の勉強会などを開いてほしい。その中で何ができるか、私たちの行動で何が変わるのか見出せるかもしれないので。

(淀川会員・本屋敷朝梨)


小さな単位の経済を

@本当に心苦しいことなのですが、選択の余地がある場合は1:4ぐらいの割合で西日本の食品を多く選んでいます。また、その前提として国産のものを購入しています。
 食べざかりの息子(中1)や、仕事の関係で食事を一緒にとれない夫は「野放し」状態です。むろん関心も薄いというより全くなく、「売ってるんやから大丈夫や」と訳のわからん理屈で各自が購入している状態です。摂取する食品の、せめて何%だけでも信頼できるものをと思っていますが、現実は厳しいです。
A不勉強でTPPについてはきちんと理解できていません。しかし、行きつけのお肉屋さんのおばさんのお話が心に残っています。
 「畜産農家でも大きいところは残るが、小さいところはみんなどんどんやめていく。高齢化などが大きい。年末の需要増加時にはいいお肉が不足する。この状況で、外からお肉が入ってきたらますます小さい畜産農家の廃業に拍車がかかるのではないか。私たちのような小さい小売りもつぶれてしまうのではないか」と。
 このお肉屋さんは、正直を絵にかいたようなご家族でやっておられます。お肉のおいしさはもちろんのこと、息子がお腹にいる時から知ってくれてはって、その成長に共感してくださったり、よもやま話に花が咲いたりします。仕事帰りの疲れた顔でお店によっても、出るときにはニコニコになるようなお店です。
 経済発展の前では、このようなことは些細なことなのでしょうか。人が生きていくうえで、これまで当たり前だったつながりが経済発展の掛け声の中で壊れていくように思えます。金銭感覚だけで物事が突き進んでいるように思えてなりません。


 もっと小さな単位での経済と言えばいいのでしょうか、小売業や小中の生産者が活性化できる道をつくるべきだと思います。そこには、今まで切り捨てられてきた、人間が社会生活を営むための大切な事柄がたくさん詰まっています。数字やデータに表わしきれない蓄積された人間の知恵に、もっと目を向けるべきです。
 さらにそれは、地域の安全や社会の安定に結びつき、子育てや教育の問題にも関わっていく事柄だと感じるので、結果的に社会生活のボトムアップがはかられ、経済にも好影響を与えるのではないでしょうか。景気回復に向けて遠回りのように見えても、実は一番堅実なのではと思います。
 地道に商店街で買い物をしていますが、個人の努力では限界があります。どうしたものか悩むところです。

(高槻会員・大橋公美子)

福島から移住して

 原発事故後に福島から引っ越してきました。たった数百キロ離れた所の事故が、関西ではまるで遠くの他人事のように扱われていることに今でも不思議な感じがします。
 おじいちゃん、おばあちゃんが、なるべく農薬を使わずに…より良いものを…と子ども(孫)たちに作ってくれていたお米やお野菜は、多分もうずっと食べられなくなってしまいました。
食べられない という現実があるのに(実家では作った作物を測定しています)責められるのは生産者であったり、苦しい思いを押しつけられるのも、全てくやしいばかりです。
 今までは、あたりまえに身近にあった安心・安全でおいしい食材を失うことで、はずかしながら食について、よく考えるようになりました。汚染や添加物をさけることはもちろんですが、さけきれない時に対応できる体づくりを心がけています。今後、子どもたちが生きていくうえで、避けられないことなので、子どもにもしっかり事実を教えていきたいと思っています。

(滋賀会員・匿名さん)


編集部から
 年末のあわただしい時期にお願いしたアンケートだったにもかかわらず、多くのご回答をいただきました。ありがとうございます。
 放射能汚染への自分なりの対処法について書いてくださった方が多かったです。多数派の、細部では多様な意見をあえてまとめると、政府の発表や基準は信用できない。そんな現状で、自分の判断で食材を選ぶと西日本産中心にならざるをえない。被災者の方々のことを想うと胸が痛むけれども…といったところでした。
 その政府が、原発にせよ、TPPにせよ、民意を無視する方向に暴走していくことへの無力感を吐露されている方もたくさんおられました。端的に、議会制民主主義という名の「独裁」だと書かれている方が複数いらっしゃいました。私たちは、暮らしの転換点と同時に、「民主主義」の根本的な見直しが必要な岐路をも迎えているのだと思います。
 その一方で、原発災害をきっかけに、自分たちの暮らしは、自分たちでつくろうと考え始めた人は多いようです。家庭菜園に取り組み始めた方も何人かいらっしゃいました。私たちもまた、自分たち自身の手で、自分たちの望む暮らしを足元からつくり出していくために、会員さんととともに議論し、行動していきたいと考えています。引き続きご意見やご要望、また今回のアンケート報告への感想などを編集部にお寄せください。
 ご意見をいただいた方以外にも、思いが先走って結局何も書けなかったと白紙にメモを貼ってくださった方、いっぱい書きたいことはあるけれど手が不自由で書けなかった方、ご提出ありがとうございました。

新年への想い(1月号から続く)
シンプルにオープンに

 和歌山県の北部、かつらぎ町四郷という山間部の集落に移り住んで、今春五年目を迎えます。天然素材で熟成にじっくり時間をかけて石鹸を作り、生業にして暮らしています。子どもが3人いるので、毎日ドタバタ泣き笑い、叫んだり(笑)にぎやかすぎて、もう街中では暮らせません(笑)。この状況をとてもありがたく思います。
 自然の中で子どもたちと暮らしているとたくさん気付きを与えてもらいます。コントロールできることなんて何もなくて、自然な流れにまかせてたら生きやすい。ひとつひとつのご縁を大切にていねいに、よりシンプルにオープンに過ごしていきたいです。
 今年やりたいことは、お味噌や梅干しと同じように、皆さんで一年分の石鹸を仕込む会を各地でできたら楽しいな、と思っています。ご興味のある方はぜひ一緒につくりましょう! 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

(府南会員・岩井志乃)
暮らしの工房 ことり舎
ブログ/ http://kotori1464.exblog.jp


みんなのデータサイト
アドレス/http://www.minnanods.net/
 このサイトは、全国の市民放射能測定所の中で、プロジェクトメンバーとして参加している測定所のデータ(測定結果)が検索閲覧できます。今回のアンケート回答の中にも、利用をすすめてくださっている会員さんがいらっしゃいました。
 同サイトについては、本紙2013年11月号で紹介しています。よつ葉のホームページ『よつばつうしん』バックナンバーでご覧いただけます。