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2013年11月号(NO.032)
「子育てと食」アンケート特集―キチンと食べよう
生産者紹介:口福を届ける(津乃吉)、障がい当事者が職人として(ぷくぷくワールド)、日本の森を育てるモノ造りを目指して(オークヴィレッジ)
生産者紹介:南島原の段々畑と海風がおいしい農産物を育てます(長有研)、こだわりの舞茸づくり(大阪・熊取町の西川さん)/農村で暮らす農漁村で暮らす(へちまや群生舎 相良明宏・苓子)
交流会から:よつ葉乳業―工場見学と酪農家訪問(西京都会員 M・Y)、やさか共同農場―産地交流(奈良会員・大畑桂子)/読書クラブ─わたしのオススメ『ふんどし育児』(ひこばえ・松尾章子)
よつば職員から:「よつ葉の工場CLUB」報告 アロン(パン)編/「みんなのデータサイト」がネット上に公開されました/配送員の僕は言いたい(大阪産直・初田亜希彦)
視点論点:免疫力をあげる子育てを―安保 徹 (免疫学・新潟大学名誉教授)
ひと言いわせて:早くしないと(平澤農園・平澤充人)/下北たより:縄文遺跡群と栗の木―(汲ンちのく農産・哘 清悦)




「子育てと食」アンケート特集

キチンと食べよう

でも、おいしく、
楽しく、いっしょに
 

 近年「子育てと食」をめぐる状況を危惧する声をよく耳にします。欠食、食事のお菓子化、肥満などは社会問題化し、マスメディアでも取り上げられていますが、よつ葉の会員さんはどんなことに悩み、どんなことを意識しながら子どもの食と向き合っているのか答えていただこうとアンケートを実施しました。子どもの育て方に一般的な答えなどありませんが、「食」が大切な事柄のひとつであることは確かなことだと考えています。また、このアンケートが会員さん同士の意見交換や、交流のきっかけになればとも考えています。悩みも楽しみも含めた子育て世代の共感が生まれることを期待して、回答の一部を紹介しました。ご意見・ご感想・アドバイスなどをお待ちしています。なお、できるだけ多くのご意見を紹介するために原文を要約しています。ご了承ください。ご回答くださったのは40代44%、30代41%、以下50代、60代、20代、70代の順で、永遠の25歳がお一人でした。ご協力ありがとうございました。いただいた回答は、私たちが会員さんのよりよい食生活のお手伝いをしていくための参考資料としても使わせていただきます。(編集部・下村)

質問項目@ 文末の( )内は所属産直名です。
子育てと食をめぐる状況についてどのように考えておられますか? また、他の会員さんに伝えたいことや聞いてみたいことがあればお書きください。
編集部・状況は「とにかく最低最悪なことになっている」(広島)に代表されるご意見が圧倒的に多かったです。もっとも、「まったくオッケイ」と思っている方は、そもそも回答を寄せてくれないでしょうけれど。ともかく、回答を読む限り、子どもの食をおろそかにしたくない親にとって、状況はとても厳しいと認識されているようです。
悪化する食の状況

コンビニおにぎり、コンビニ弁当を利用される方が多い(部活や行事など)。そして飲みものはペットボトル。時間をお金で買うということでしょうが、体も心もつくる食はやっぱり大事にしたい。さまざまな病気(身体的にも精神的にも)の増加、不機嫌な顔をしている人が多いと思いませんか?(やさい村)

添加物、農薬、遺伝子組み換え作物などが入っていないものを子どもに食べさせることが難しくなってきている。その恐ろしさを知ることもできず、アトピー、花粉症、科学物質過敏症などの病が多くなっていく気がする。今の世代が気づくことが大事。(日吉)

選択肢が多すぎて、何がよくて何が悪いのか分からなくなっている。(近江)
学校が休みに入るたび、スーパーで低学年の小学生がカップめんとおにぎり、菓子パンを手にしてレジに並んでるのを見るとゆううつな気分になる。(阪神)

いろいろ心配事が多すぎて…大きくは日本の教育とマスコミかな。TPPも原発(放射能)問題も、ものすごく自分や子や孫に関わる問題なのに、そう感じないように仕向けられている意図がありあり。(淀川)

経済的な二極化が進んでいる。食べるだけでやっとの生活を余儀なくされている人々にとって食の選択肢は限られる。そういう人々は輸入食材に頼らざるを得ないが、その原産国の生産者も貧しいと思われる。食が貧困ビジネスになっていると感じる。(京都南)

3・11以降、一体何を信じてよいのか、自分の考えを深めたり、変化があったりしながらの子育てです。子育てと食をめぐる状況について、軽々しく本音が言えない状況≠セと感じていて悲しいです。(西京都)

子どもにはなるべくそうした神経質な暗い側面は感じさせたくないので母の悩みは深い。(西京都)


編集部・
子どもをもつ親は、企業の金儲け主義やそれを後押しする政府によって、添加物や放射能などについて学ばざるを得なくされるとともに「気遣い」や「悩み」まで強いられています。理不尽な強要だと思います。どのように身を守るか、どのように反撃するか、皆で智恵をしぼりましょう。

社会の風潮の変化

子どもまで経済の渦に巻き込んでいく世の中…お金で何でも手に入れられると勘違いしてしまっているのでは? 便利なものと大切なものは異なる場合が多いように思う。(奈良)

中学生が夜「焼肉食べ放題」の店に集まり、打ち上げ(!?)をする悪しき環境が出現している。(西京都)
欠食や偏食は言うまでもないが、3食規則的に食事していても「手軽に」「楽に」済ますことをよしとする風潮が残念。(滋賀)
のどがかわいた時には「水」が一番。コンビニや自動販売機が多すぎる。(東大阪)
保育園の朝食メニューを記入させる表で、8〜9割の家庭がパン派。これを疑問視する人々はまだまだマイノリティー。(日吉)
給食・お弁当
悩みは保育園の給食とおやつ。特におやつが甘くてやわらかいものかフライなど油ものが多い。(奈良南)
小学校の給食に洋食や多国籍食が多く、さらに化学調味料や砂糖が多用されていて残念。将来メタボの人の味覚をつくっているようで心配。(近江)
学校給食のおかげで、子どもが家の食事を食べなくなった。いっそお弁当にしてほしい。(川西)

「給食試食会」で栄養教諭に「魚や煮物を食べられるようにしてください」と言われたが、給食のメニューは肉・肉・肉…、パン・パン・パン…。(川西)
(注)川西市内は米飯給食。





仕事や家計の都合
今のお母さんは大半が仕事持ち。子育ては保育園任せ、帰宅も遅くなり、手作りの料理ができない。身体に悪いと分かっていても添加物だらけの食品が食卓に並ぶ。しかし、子育て時期は長い人生のわずかな時間。大切にしてほしい。(近江)
何でもかんでも安全・安心な食べものを揃えようと思うと、食費がかさんで家計を圧迫。線引きが難しい。皆さんは子どもや家族、自分のためにどこまで購入されていますか?(能勢)
食べざかりの子どもたちが多いご家庭はどうしておられますか?(京滋)
野菜を食べない
3歳の娘が野菜を食べない。健康に影響がないか心配だし、家族皆で同じメニューで食べたいとも思う。あまり気にしなくてもいいんでしょうか?(広島)

「野菜を食べさせないと」とむきになりがちだが、「子どもはおにぎり=ごはんを食べていたら間違いない」と聞いた。マヨネーズやケチャップで野菜の味をごまかすより、ちゃんと食材の味を伝えたい。(川西)

伝えたいこと

私は農家。家の畑に街の保育園の子どもたちがさつま芋の植え付けや芋ほりに来るが、採れたての人参を「にがい」と言ってポィと捨てる子どもが何人もいた。食の大切を知っていれば捨てることはできないはず。今の子どもたちにはもっと「日本の農」に触れる機会をつくり、食べものに「ありがとう」という心を大人が教えていくべき。(日吉)

聞いてみたいこと
子どもに与える水はどうされてますか。水道水そのまま? さゆ? 浄水器の水?(広島)

みんな、今、食品の「何」を恐れているのだろう? 千葉や茨城の産物の値段は妙に安い 状態が続いてる。でも、添加物てんこもりのお菓子は売れてる状態。加工食品の産地は気にしているの?(滋賀)

質問項目A 文末の( )内は所属産直名です。
子どもさんの食事について、日頃から意識して取り組んでおられること、工夫していることがあれば教えてください。また、食を通して子どもに伝えたい、教えたいことは?

編集部・全体を通して多かったのは
・本当の味を覚えさせる(「うす味」「砂糖控えめ」を強調された方が多数)
・ごはんとみそ汁を基本に
・手間をかけお家で手作り
・添加物や農薬を避ける
・出汁をとる
・地場のものを
・旬のものを
・感謝していただく
・子どもといっしょに作る
・伝統的な食を伝える
などでした。
こうしたことを子どもに伝えたいという思いは、皆さんに共通していましたが、そのような気持ちとは裏腹に、現状が厳しいことは、多くの会員さんが使っている「できるだけ」「なるべく」という言葉に表れているように思われました。

意識していること
いつも考えていることは五感を育てること∞創造力を育てること∞体だけでなく心を育てること≠ナす。(京阪)
今こそ「ごはん(穀物)を中心にした食事」「愛のこもった手料理」を。(近江)
不自然な食品は、なるべく買わない。目的は体への悪影響もさることながら、「商品化=需要」にもとづく消費者の意識を変える一員として行動したいという願いから。(近江)
9歳までの子どもの舌は、大人が守ってやらねばなりません。@空腹が一番のごちそう。A身体をつくるモトになるものを与える。Bおやつと言っても大人のような嗜好品は不要。(川西)
悪いものが世の中からなくなるように、皆で買わないようにしたい。(大阪)
もらったお菓子
地域の行事などで、市販の駄菓子が袋に一杯セットされ子どもに配られる。私一人の声では、なかなか現状が変わらない…(日吉)
子どもを「お菓子で釣る」という状況がある。お祭り・地蔵盆・クリスマスほか。大人の意識改革が、食育にはまず必要。(京滋)
祭りや子ども会行事等でもらったお菓子を喜んで食べるので、やめさせられない。多数の方が良しとしていることにNOというわけにもいかず…(やさい村)
子ども会からもらう駄菓子に、一時すごく神経質になった。でも添加物ゼロは子どもの世界、今の社会では無理なこと。少しでも減らせていければいいと考えるようになった。(近江)

編集部・
安全なものを食べさせたい、ということは前提で、次のようなご意見も。
完全であるべきとは思わない。好きなもの、ジャンクフードを食べる機会はあってもよいと思う。(府南)
考えすぎると疲れるので、気を抜きながら…(広島)
離乳食は遅い時期から
できるだけ遅い時期から始めるようにした。腸の成長が未熟なうちから食べさせないように気をつけた。1歳前から離乳食をスタート。その歳は、素材の味を活かし、味付けは塩を少し使う程度。(兵庫いきいき)
東北の生産物について
東北を避けるのはどうかと思う。日本人はいつから食べものを産地で選ぶようになったのか?(川西)
「食べて応援」を考え直してほしい。(西京都)
おいしく・楽しく
一番大切なことは「楽しむ、喜ぶ=食事」ということにつきる。(近江)
食べることが楽しいことだと実感してほしい。一緒におやつ作りをしたり、おいしいものを食べたとき、「これは○○さんが作ってくれたんだよ」と話して話題を広げたり…。(能勢)
質問項目B 文末の( )内は所属産直名です。
よつ葉や『よつばつうしん』に望むこと。
コミュニティ。(近江)
京都府北部でもいろいろな交流の場を。(日吉)
子ども向け農業体験ツアー。(広島)
子どもが参加しやすい現場体験イベント。(大阪)
選択するかしないかは消費者。提供する側は嘘や偽りのない本物を。(西京都)
TPPや原発、自給率について勉強できるような活動の場がほしい。(池田)
よつ葉会員の「これはおいしい」「これは必須」「これ使ってのGOOD献立」「家族に人気」のベスト5が知りたい。(阪神)
今は、「正しいこと言ってる」だけじゃ通用しないと思う。じゃあどうすれば伝わるの?って、私にも分からないんだけど。(滋賀)
こんなのほしい、これは良くなかった、とかオープンに伝えられるようになれば。何でもOK、言いたい放題の通信がたまにあれば…。(大阪)
米を中心とした食生活、昔の伝統料理・豆・豆腐など日本人ならではの食材を使った食生活に戻っていけるような内容のものに取り組んで欲しい。(川西)


編集部・
「子育てと食」を真剣に考えている多くの会員さんから回答を頂きました。世間ではいまだ少数派、とのご意見もありましたが、食べることを大切に思う人が増えて、やがて大きな変化につながるように、私たちもまた食にかかわる仕事を続けていきます。
その他、通信については、内容がカタい、文章量が多すぎる、イラストを入れるなどして気楽に読めるように、などのご意見がありました(ちなみに今回に限らず、ですが)。他方で、今までのあり方を続けてほしいという声もいただきます。編集もまた子育てと同様、一般的な答えなどないところで、会員さんの声に耳を傾け、しかし流されず、議論を重ねながら模索を続けるしかないと思います。