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2013年7月号(NO.028)
山戸孝さんを招いて交流会・自然に寄り添い地域の自立へ
生産者紹介:林業を守り地域活性化・喜多製材所、子どもたちの未来へ種まき・桐島畑、旬をそのままアイスに・久保田食品
生産者から:たべもの生産と人のつながり・北海道アンの会、北摂協同農場がめざすもの・北摂協同農場/山里でくらす農漁村でくらす
会員から:京滋会員・福井陽児、池田会員・藤木康夫/会員しゃべり場・お金―心躍る使い方を
よつ葉職員から:「大豆くらぶ集会」に参加して・ひこばえ・森田智佳子/NPO法人「よつば農業塾」総会を開催・池田産直・稲原裕/よつ葉生産者の会 発足・生産者会員募集中!
視点論点:お金と借金―お金の「常識」を疑おう・森野榮一(経済評論家)
ひとこと言わせて:村と町をつなぐには・やさか共同農場・佐藤隆/下北たより:三浦雄一郎氏、エベレスト登頂に成功・(有)みちのく農産・哘清悦/編集委員からの一言




山戸孝さん(祝島島民の会)を招いて交流会
自然に寄り添い地域の自立へ

 よつ葉の職員で運営する「研修部会」では、年に2〜3回、お付き合いのある生産者に出向いていただいて話を聞く「生産者交流会」を実施しています。今回は、山口県から、昨年末まで本紙8面の連載を書いていくれていた山戸孝さん(上関原発を建てさせない祝島島民の会)をお招きし、島での暮らしと上関原発問題の現状について語ってもらいました。山戸さんは、よつ葉の配送現場を中心となって担う職員と同世代ということもあり、「交流会」というのにふさわしい、相互理解と共感が生まれる場となりました。

ぜひ島を訪ねてください
山戸 孝

収穫時期を迎えた祝島のびわ畑で

 先日、関西よつ葉連絡会の若手職員の方々中心に島の暮らしや上関原発問題の現状などの報告をさせていただく場をいただきましたので、5月の半ばに久しぶりに大阪に足を運びました。
 報告の中では、島の一次産業の現状、原発反対運動と原発のお金に頼らないで自立していくための特産品づくりや、最近特に各地で提唱されている6次産業化につながる取り組み、上関原発計画にかかる予定海域の埋立免許を失効させようとしない山口県知事の対応、漁業補償金をめぐる島の漁業者の状況などを伝えさせていただきました。
 話が長くなり、十分な質疑応答の時間がとれなかったという反省もありましたが、その後の交流会も含め、個人的にもたいへん良い経験、また刺激になりました。高齢化が進む島に生きているとなかなか難しい同年代とのざっくばらんな交流や、同年代ではあっても都市に住む人の意見や視野がどのようなものなのかを知ることは、私には大変貴重です。
 そしてなにより島に来られた経験のない方にも島の生活をより身近に感じていただくことで、つながりをより強くしていくこと、また消費者との間に立つ流通を担う方たちに現地の状況を理解していただくことは、生産者としてもこころ強いことです。そのためこういった島の「今」をお伝えする機会は今後も大事にしていきたいと思います。


講演中の山戸さん

 その今の島の状況ですが、島の特産であるびわの出荷の最盛期を迎え活気づく中、上関原発の漁業補償金の受け取り・配分を山口県漁協本部が島の漁業者に迫ってきています。大勢は近日中に開催される総会で明らかになりますが、前段に開催された総会では受け取り拒否が少数でした。
 福島原発の事故を経た今になってなぜ、と思われる人も多いかと思います。漁協の経営不振による漁業者の個人負担の増加に加え、「補償金を受け取っても、どうせ原発はできやしない。だから受け取らないと損だ」と言う推進派の漁業者の話も耳に入ってきます。現在の政権を見れば原発の再稼働はおろか新規建設もあり得ないとはとても言えない状況であるのは明らかなのですが。
 「絶対に原発の金は受け取らん」とはっきり言いきる漁業者も多いのですが、残念ながら決して楽観できる状況ではありません。
 30年にわたって続く祝島の原発反対運動の大きな柱の一つ、これまで補償金の受け取り拒否を貫いてきた漁業者の判断は、反対運動全体にも大きな影響を与えます。今、島が大きな岐路に立っているのは間違いありません。

 

暮らしの中の原発反対運動

 山戸さんは、よつ葉で扱っている「びわ茶」「もずく」「干したこ」「鯛」などの生産者です。そして、そうした糧を島にもたらす自然を守るために、上関原発建設計画に反対する運動を担ってこられました。
 祝島には、海上交通の要衝としての、とても長い歴史があります。近代的な価値観を相対化してしまう歴史と文化の蓄積が土壌となって、原発を拒否し続けられたのだろうと、私は思っていました。古い良さを残すことのできている貴重な場所だと思っていたのです。
 しかしこの交流会で、これは私たちの未来を問う話なのだと思い直しました。日本の人口はすでに減少局面に入っています。経済成長はもはや望めないでしょう。島は人口500人弱、反対運動が始まった頃の半分以下だそうです。そのうち65歳以上は70%以上。そこでは週1回の原発反対デモ(山戸さんによると寄り合いでもある)が30年も続けられ、人々は株価の動向など気にもかけず、助け合って楽しく暮らしている。いい話だと思いませんか?
 島の様子は、『ミツバチの羽音と地球の回転』と『祝の島』という二つのドキュメンタリー映画に描かれています。ご覧になっていない方はぜひ。そして、可能なら現地を訪れてみてはどうでしょう。きっと私たち自身のこれからを考えるきっかけに出会えます。
 最後になりましたが、「『公有水面埋立免許を即刻不許可に!! 上関原発建設計画中止!』を求める署名」にご協力ありがとうございました。署名提出の様子や、その後の島の状況は、分かりしだい報告します。

(編集部・下村俊彦)