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2013年3月号(NO.024)
特集:震災から2年、不条理の時代に希望を紡ぐ
生産者紹介:大木代吉本店、岩手缶詰、遠藤蒲鉾店、
古舘製麺所、 南部ぴっつあ、長根商店
生産者紹介:高橋徳治商店、木村商店、岩泉産業開発
山里でくらす農漁村でくらす
会員から:アジアの旅と味 DejaVu/会員リレーエッセイ♪しゃべり場・藤田由美子/おたより掲示板・クリーンエネルギーで生活したい
よつ葉職員から:会員紹介キャンペーン
年間予約米会議に参加して・やっぱりお米が好き
視点論点:「風評」被害と真の放射能汚染対策・小山良太(福島大学)
ひとこと言わせて:北方の叫び・尾田川勝尾(尾田川農園)
下北たより:青森の脱原発トマト農家から―実効性のある原子力防災計画は作られるのか?(有)みちのく農産・哘清悦
編集委員からの一言




特集 震災から2年 不条理の時代に希望を紡ぐ
 震災から2年にあたり、東北の生産者の皆さんに近況を報告していただきました。2・3・7面も関連記事です。2年を経ずして原発推進派が復活してくるなか、私たちは2011年3月の出来事を深く記憶に刻んで、被災地の皆さんとともに歩んでいきたいと願っています。

(編集部)


農の力と市民の力による
持続可能な共生の時代へ

福島県有機農業ネットワーク理事長・菅野正寿


東京の市民団体の皆さんとの田植え
 東日本大震災・原発事故から2年が経つのに未だ福島県内に10万人、県外に6万人が避難する異常な事態が続い ている。低線量被ばくや内部被ばくについても科学的な検証が明らかにされないことが不安を増している。住宅除染においては大手ゼネコンに丸投げという状況があり、住民参加型ではない復興のありかたが問われている。山林の除染は手つかずである。さらに汚染の実態調査がきめ細かに進められないまま、原発から20q、30qという線引きが損害賠償における地域の分断を起こしている。
 こうしたなかで復興の歩みが進んだのは、耕して米と野菜をつくった農地と農産物だった。福島県の玄米の全量全袋検査の結果、99・9%が25 Bq/s以下、野菜についても95%が検出限界(10 Bq/s)以下である。茨城大学名誉教授の中島紀一先生は「土の力と農人の耕す力で『福島の奇跡』が検証された」(現代農業12月号)と感動を伝えている。しかも粘土質と腐植の複合体による有機的な土壌ほど放射性物質(セシウム)が土中に固定化され農産物には移行しにくいことが検証されてきた。
 私は放射能に汚染されてあらためてこの地域資源循環型の農業と地域づくりが大切であると感じている。有機農業を安全安心論に矮小化してはならない。放射能の問題を「食べる、食べない」「逃げる、逃げない」ということに矮小化してはならないと思うのだ。地方に押し付けてきた、ゴミ、基地、水俣病、そして原発。この都市と農村、過疎と過密という日本の構造こそ見直していかなければならない。原発の時代をつくってきた大人の責任として、食べ物とエネルギーの地域自給による新しい都市と農村の関係と地場産業と雇用をつくる地域のありかたが問われていると思うのだ。

 

あれから2年
八木澤商店・河野光枝


八木澤商店の新工場(一関市)

 2年があっと言う間に過ぎたような、随分昔の出来事だったような不思議な感覚で過ごしています。皆さまには、たくさんのご支援を頂いてきました。早々と瓦礫の中を掻い潜ってお見舞いにかけつけてくださり、支援物資を次々と送っていただきました。ボランティアにも来ていただき、どんなに助かり、励まされたことか感謝に堪えません。
 陸前高田市は、瓦礫がかなり片付けられ、今年度内に主要な建物が取り壊され、何も無い広々とした荒野になります。未だに52カ所に作られた2000軒余りの仮設住宅には、避難者が不自由な生活を余儀なくされています。子どもたちの学校のグラウンドは全て仮設住宅で埋まり、思う存分走り回って遊ぶ場所も無く、庭で花や野菜を育てながら余生を過ごしていたご高齢の方々は、その楽しみを無くして久しくなります。肉親、親しい友人を失った心の傷が癒されないまま閉じこもっている方々を慰める術もなく見守る日々です。
 まだまだ復興が実感として感じられない中ですが、八木澤商店の醤油工場・つゆ・たれ工場を、隣町に建てることができ、本社機能をやっと陸前高田に戻すことができました。これからは、元に戻す復興ではなく、新な価値を創造できるような再生を若い世代に期待しているところです。

 

いまだ遠い「復興」
丸友しまか・島香友一

 震災から2年が経とうとしています。被災地のニュースも少なくなってきたのではないかと思います。しかし、「復興」という言葉を使うには、まだまだ程遠い現実がある感じがします。
 現状として、養殖事業を行っている方々は、「がんばる漁業」のサポートを受け、マガキ、ホタテ等の養殖を行っております。マガキは、既に皆さまにもお届けしておりますが、今シーズンの水揚げが行われています。ホタテは、海中に居る浮遊幼生を採取し、養成している状況です。ワカメは、1カ月程度の遅れはありましたが、順調に生育。間引きした若いワカメ「早取りわかめ 春いちばん」を皆様に提供できました。また、定置網・底曳網・延縄他の各種漁師の方々も例年通りの水揚げを行っております。
 生産者が頑張っている一方、2年が経った今でも、福島原発の影響による風評被害が根強く残っています。弊社でも、冬に食べてもらう「真鱈」が扱えなかったり、商品製造するに当たり、放射性物質検査を行った上でなど、各種制限が続いております。また、東電への賠償請求も継続中です。
 そんな中、 宮古市水産業共同利用施設復興整備事業 の募集があり、プレゼンを行った結果、認定してもらうことができました。この事業を活用し、より衛生面に配慮した第二加工場の整備を進めております。
 原発事故による放射性物質問題、いつまで続くかわかりません。が、丸友しまかとして、三陸の海産物をより安全に安心に提供していけるように、今後も努力していきたいと思います。