バックナンバーはこちらから。


2013年 2月号(NO.023号)
つながる力で社会の再生を
生産者紹介:トレテス、自由学園工芸研究所、ナイアード)
生産者紹:レインボーグループ、淡路島おいしい玉葱研究会
山里でくらす農漁村でくらす
会員から:―こどものためのアトリエ「booka」、「大豆くらぶ」
会員リレーエッセイ♪しゃべり場・来田美保
よつ葉職員から:イタリアより生産者を迎えて
2012もんじゅを廃炉へ! 全国集会報告
視点論点:アラル海環境問題とフクシマ―石田紀郎(NPO市民環境研究所代表)
下北たより:青森の脱原発トマト農家から―選挙結果は開票者を決める人が決める(有)みちのく農産・哘(さそう)清悦 編集委員からの一言




つながる力で社会の再生を
関西よつ葉連絡会事務局長  田中昭彦

楽観できない状況下で

 今年は2013年、当たり前ですが21世紀になった年に生まれた人が12歳になる年です。そして、日本で最初の原発が作られてもう50年以上 が経過し、私たち関西よつ葉連絡会の活動がスタートして約40年が経過した年でもあります。
 戦後復興から高度経済成長の昭和の時代は、農業や漁業が衰退し、環境汚染などの公害問題や食品公害による健康被害が蔓延、全国で消費者運動が盛り上がった時代でもありました。そんな活動の初期の頃に生まれた人も今では40歳。「親子二世代でよつ葉の会員です」という産地交流会などでの自己紹介が、「親子三世代で」と変わる日もそんなに遠くないのかもしれません。
 つながりの深い全国の生産者、「自分たちで生産すること」にこだわった農場や食品工場、地場野菜の取り組みの現場、そしてそれらを配達する各センターなど、今や次の世代を中心に運営しているところが多くなり、将来にむけて夢いっぱいに進んでいくことを願うばかりですが、これからの時代、何が起きるかわからないことも確かです。
 例えば原発銀座と言われる福井県で原発事故が起きたら、その放射能の拡散によって、私たちの生産工場や農場も地場の農業も継続できなくなるだけではなく、地域の生活基盤が根こそぎ破壊され、その時の風向きによっては、福島原発事故のように京都・滋賀・大阪などの多くの地域で誰も生活できない地域が発生するかもしれません。原子力規制委員会による各地の原発の敷地内・周辺の活断層調査ばかり報道されていますが、この50年間、人的ミスによる事故も頻繁に起きていることを思えば、それほど楽観視できない状況が続いていると考えています。
 もうじき3月11日。あの震災と原発事故から2年が過ぎようとしていますが、被災地の人たち、とりわけ福島原発事故の直接的な被災地域の人たちにとって、およそ「復興」らしきものはますます遠いものとなってきているのではないでしょうか。
 チェルノブイリ原発の事故の数年後には周辺地域で放射能汚染による健康被害が大きな問題になりましたが、避難されている福島の人たち、とりわけ乳幼児や子どもたちの健康状態が心配です。人災である原発事故の後始末は何世代もあとまで続くことになるし、そもそも本当の意味で「復興」とは何かということをちゃんと考えずに、単に震災や原発事故の前に戻すという発想だけでは何の解決にもならないように思われます。

関係の再生から再出発

 私たちは、本来あるべき「人と自然の関係」「人と人の関係」を取り戻し、社会そのものの再生を目指すところから再出発する必要があります。しかし、社会のあり方や仕組みそのものを変えていくことは、もちろん一人でできることではなく、多くの人と交流し関係を深め、つながっていくことで一歩でも夢を実現していくしかありません。
 「食」や農業をダメにし、人々の生活を破壊し、仕事や土地や家さえも収奪し続ける世界規模の市場経済システム。「利潤への渇望」は止まることを知らず、リーマン・ショック以降の「金融規制」の叫びも「どこ吹く風」とばかりに、あらゆるものや出来事を投機の対象としながら暴走を続ける金融資本主義。そして流動化する政治経済の情勢など、短期的な話だけではなく中長期的展望を視野に入れながら今後の方針を考えていく必要があります。もちろん、簡単に展望が出てくるわけではありませんが、今年はそうしたことも考えながら進めていくつもりです。


「交流の集い」に参加を

 3月17日(日)に、万博公園のホテル阪急エキスポパークで、講演会や懇談会を中心に「生産者・会員・職員交流の集い」を実施します。今回は、2010年?2011年の交流会で中心と位置付けた「生産物を介した交流」に代えて、「『食』の再生、新たな社会を展望する」をメインテーマとして、講演会や懇談会、上映会を中心に大真面目な交流会を実施する予定です。
 「経済成長、競争優先」の世界の行き詰まり、「移行期」としての現在を共に考えながら、生産と消費をより良く結んでいくために、意思疎通をはかる場になればと思っています。どうぞ、みなさまご自身の想い、ご意見を携えてご参加ください。久しぶりに、全国や地場の生産者、よつ葉の生産工場・農場の仲間たち、各産直センター・生協の消費者会員(組合員)のみなさんや職員など、多くの人に集まってもらう計画です。
 概要は別紙のカラーチラシで案内しています。チラシの参加申し込みの〆切りは2月23日(土)までです。よろしくお願いします。

2013春 よつ葉交流会
『食』の再生、
新たな社会を展望する
日時:2013年3月17日(日)午前10時〜午後3時

●講演会「移行期的乱世の思考」
  講師:平川克美さん
●テーマ別分科会
@懇談会「これからの産消提携のあり方を考える」
A懇談会「脱原発社会を構想する」
B懇談会「農的暮しのすすめ」
C交流会「子どもの『食』を考える」
Dドキュメンタリー「よみがえりのレシピ」
  上映会(95分)
 ゲスト:本野一郎さん(たねとりくらぶ)
 渡辺智史監督来場
*参加申し込みは別チラシのキリトリ欄で