自然のなかで…旬野菜
別院協同農場
前田さん
(前田智弘)
米粉を日本のスタンダードに
iicome
京都府綾部市:かたクッキー(お味見セット)
地域の米農家と連携し、耕作放棄されゆく田園を後世へ残そうと、お米の可能性を最大限に引き出し、お米の新しいカタチをお届けしています。特に米粉にはこだわり、品質と味ともに小麦が不要になるくらいです。
宮園さん
大阪生まれ、大阪育ちの私が綾部市の中山間地に移住して今年で16年。移住のきっかけはさまざまあったのですが、食糧自給率の低い日本において、将来的に食糧確保を国任せではなく、ちゃんと自分自身でやっていこうという想いで、土のある暮らしをスタートさせました。田舎に移り、肌身で感じることは稲作農家の後継者不足と高齢化。「このままいくと、数年後には地域から田園がなくなってしまうのではないか…」と真剣に考えるようになりました。
スーパーには数え切れないくらいの商品が並び、一見「食糧難」という言葉からほど遠い世界に私たちは置かれているように思えますが、本当にこのまま安心していて大丈夫なのでしょうか? 世界の人口は増え続け、海外では干ばつや洪水による農産物の不作、そして紛争による物流の滞り、円安による食糧の買い負け…。今後も同じように食糧を海外に頼れると信じるのは危険だと感じています。
物価は上昇しつづけるも、米価だけは下がるという異常な事態。海外からの安価な小麦に流されてしまった今、もう一度米中心の文化を取り戻したいと考え、事業を立ち上げました。米は粒で食べてほしいけれど、それだけでは消費者はついてこない。ですので、小麦に取って代わる「米粉」で消費者を満足させられるものをつくりたい。
そんな想いで「京都グルテンフリー米粉プロジェクト」として「KOKU」をプロデュースしました。多くの方に新しいカタチでお米のおいしさと楽しさを知っていただき、さらには健康にも自然界にとっても有益となる稲作文化の素晴らしさを、商品とともにこれからもお届けしていきたいと思います。米粉をスタンダードに。未来に田園を。
(宮園ナオミ)
これからの社会を見据えて~「那須まちづくり広場」
ジャパンマシニスト社 松田博美
いわゆる「化学物質過敏症」になり10年がたちました。「卵アレルギーなら口にしない、花粉症なら季節が過ぎるのを待つ」と言えば周囲に理解されます。けれど、「香り」「空気中の微量物質」が症状を引き起こす化学物質過敏症は、感覚を共有できないことが理解されないことから、人と分断され孤立しがちです。3年ほど前に都内から、人里離れた栃木県那須町に転居し、窓を開けて生活できるようになりました。旧知の人が廃校を利用し「那須まちづくり広場」を創生したことから、仕事場をこの地に移すことができたからです。知人の名は近山恵子さん。これまで数々の高齢者住宅をプロデュースした人です。「障害」があってもなくても一緒に生きていく機能が必要。化学物質過敏症の障害は「香り商品」ならば「みんなが使わなければいい」ということであっさり広場は「無香料の宣言」をしました。
旧小学校の校庭には、サービス付き高齢者住宅が49戸。旧室内プールには介護を重視した住まいが26室、旧校舎には多世代多様な人たちの賃貸住宅が13室と簡易宿泊所も。階下には自然食品や日用品を扱うマルシェ、カフェ、コンサートや学習会が頻繁に行われるホール、月毎にテーマが変わるアートギャラリーなどもあります。さらに、高齢者デイや放課後等デイ(注1)、障害者の就労支援の場もあり、9人乗りのミニバスは毎日運行し、病院、役場、金融機関、大型スーパー、温泉にも送迎します。そして隣接するのはナースと住まう看取りの家。個人宅以外は、みな檜の風呂があり、機械浴(注2)はありません。
なにしろ、これからの社会を見据えて、だれもが豊かに暮らすという理想の追求なので、内容がてんこ盛りで紹介に困るのが難点。広場はできるだけ貨幣を介在させない関係づくりの仕掛けもあり、文章で伝えきれない奥深さがあります。ただし、無香料実践も含めて、まだ途上。でも、いずれの地域でも実現は可能です。ぜひ、その目でご見学を。
(注1)支援を必要とする就学児童で障がいのある子どもや発達に特性のある子どもが放課後や長期休暇に利用できる福祉サービス
(注2)チェアー浴などの機械を使用した浴槽
2022年12月竣工間近の「那須まちづくり広場」
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