〈2022年10月号（No.138) -4〉

• 会員さんのお便りから

  「よつばつうしん」6月号を読んで

  
  

  京滋会員　小西千代

  
  
  

  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  「いりあい知」を読みました。この言葉を初めて知りました。感じることがあってペンを取っています。
  
  ロシアのウクライナへの侵攻も、じきに5ヵ月と長期になります。建物が破壊され、たくさんの人が亡くなっている映像をじっと見ていられなくなりました。
  
  ウクライナの大統領の訴えにロシアに相対（あいたい）する国々は武器を次々に供与しています。私もこれも仕方ないと思っていました。しかし藤原さんのお話から軍需産業が潤うなんて、そこまで気付かなかったです。
  
  戦争になると武器が要る。戦争は大切な生命を奪い、美しい建物を壊し、そして武器を作っては壊す。こんな無駄なことはありません。でも戦争が続く限り、武器は作られます。どれほどの儲けなのか。お話の中の「プーチンを憎めば、憎むほど軍需産業の利益があがる」になるほどと。。。そしてショックを覚えました。
  
  さて、「いりあい知」は入会地から来ているとか。知識や情報を共有できる場であるとのこと、いいですね。そしてふと「地」の方もまた良いなと思いました。皆で利用する、農業できる土地があるのは良いなと。。。
  
  この度の戦争によってグローバル社会の問題点を見てしまった気がしています。
  
  石油やガスなどのエネルギーがストップし、いままでの生活スタイルを脅かす。他の物資が政情不安に左右され、輸出入できなくなることもあります。そうなれば、食糧自給率が低い日本が食糧難となってしまうのではと不安です。飢餓ほど辛いことはありません。
  
  私がほんの身近にできることは〝よつ葉さん〟の農家を大切にしたいことです。農地も大切にしたいです。

  
  

  
  　いつもお便りをありがとうございます。われわれ日本人にとっては遠い国の話と思ってしまいがちですが、日本の軍需産業における資本主義経済の影響があるということが藤原さんの記事で分かりました。先月8･9月号の「いりあい知」でもウクライナ侵攻と日本の関わりについて示唆しています。併（あわ）せて読むと戦争というものが引き起こす多様な側面を見ることができるようになり、編集部としてもありがたい結果になりました。今後ともご感想、ご意見などをいただければと思います。

  　
  

  （編集部　矢板　進）

  　　　　　　　　　　　
  
  
  　
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  
  
  　　　　　　　
  
  

• もっと聞かせて　しゃべらせて

  山下惣一氏の訃報に想う

  
  

  地域･アソシエーション研究所　津田道夫

  
  

  　　　
  

  
  今年は春から、自身の生き方や考え方に大きな影響を受けてきた先人の訃報が続いている。4月1日、真木悠介、本名見田宗介氏が84才で逝去された。彼の名著『自我の起源』は何度も読み直して、励まされてきた。8月8日、中井久夫氏が88才で逝去。臨床精神科医として、現場で患者に向き合ってきた氏の言葉に深く考えさせられてきたものだ。そして、7月10日、佐賀県在住の農民作家山下惣一氏86才の逝去である。
  
  山下氏が中心となって呼びかけられた「小農学会」の集まりには何度か、参加する機会があった。そして、直接、面識を得る機会となったのは6年ほど前、よつ葉の地場野菜の生産農家の集まりで講演をお願いしたことだった。その折、政府が進める「農業特区」に手を挙げ、先行していた兵庫県養父市の現場を見てまわりたいので、紹介してもらえないかと依頼を受けた。養父市の友人に頼んで、現地法人につないでもらい、僕も同行して話を聞かせてもらった。オリックスという会社が農地を取得し農業生産を行っていたが、帰り際、現地スタッフが山下氏に「先生、今日の話は書かないでください」とクギを刺していたのを思い出す。作家・山下惣一の影響力の大きさを改めて知らされたものだった。
  
  翌日、能勢町で行った50名程の農家の集まりで、山下氏に講演をお願いした。印象に残っているのは「私にとって、〝有機農業〟は〝勇気農業〟です」という言葉だった。「自分は村の中で、有機農業を実践する勇気がなかった」という自戒を込めた言葉だった。けれど、僕には村の現実から離れて「有機」という言葉だけが一人歩きしがちな現状への農民・山下惣一らしい批判が込められていたように感じ取れた。
  
  いただいた何通かの手紙を読み返しながら、改めて、山下惣一氏を偲んでいます。
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  
  

• 編集委員からの一言

  　
  
  岸田内閣は、次世代型の原発新設を考えているそうだ。気候変動対策としての「脱炭素」とエネルギー危機への対策であるかのように説明しているが、実は原発ビジネスのため。朝日新聞の世論調査によると「賛成」は３４％で、「反対」は５８％。
  
  次世代型とは出力３０万キロワット以下の小型モジュール炉などの小型原子炉。福島第一原発は非常用電源などを津波で喪失し冷却機能が失われてメルトダウンを起こした。しかし、小型炉は格納容器ごとプールに入れて動かす。出力が小さいため、非常用電源や追加の冷却水がなくても、炉心を冷やして停止させられるというふれこみ。
  
  また、離島やへき地、災害時の電源として開発が進められている超小型原子炉（マイクロ炉）は、炉心サイズが直径１ｍ×長さ２ｍとトラックで運べる大きさで、２０３０年代にも商用化する計画だとか。しかし、小型原子炉も使用済み燃料を長期間冷却しながら貯蔵する必要がある。
  
  ただでさえ課題山積の原発のごみ問題をより複雑にするだけだという指摘もある。全く政治家というのはどうしようもない。
  

  （関西よつ葉連絡会代表　田中昭彦）