〈2023年1月号（No.141) -4〉

• 訃報　蔵本新一さん

  蔵本さん、大変お世話になりありがとうございました

  
  

  よつば農産　上山美奈

  
  
  

  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  和歌山電子農法研究会の代表、蔵本新一さん（87歳）が昨年12月12日に急逝されました。
  
  蔵本さんとは、関西よつ葉連絡会の設立当初からのお付き合いで、40年以上になります。農薬の毒性に強い嫌悪感を持ち続け、ご自身は独自のみかん栽培を実践しながら、仲間の生産者を育ててきました。ここ数年は自然栽培の夏みかんとキウイフルーツを出荷してもらっていました。週に3回仲間の柑橘を自らトラックに積み込んで片道150キロの道のりを3時間以上かけて運び、時にはトラックで寝てそのまま神戸や大阪まで飛び回っていました。亡くなる2日前まで自家用車で大阪へ柑橘を運んでいたそうです。
  
  みかん狩りの産地交流でオレンジジュースを飲む子どもたちに「みかん狩りに来たんやし、みかんを食べてくださいよ～」と怒る蔵本さん。電子農法の話を始めると熱くなりどんどん声が大きくなり、止まらなくなる蔵本さん。「私は名前の通り、新しいことが好き。人生チャレンジの連続で、それが楽しいんよ」と笑顔で話し、電子農法以外にも、無農薬で紫芋や菊芋、オリーブなどの栽培にもチャレンジしてきた蔵本さん。真っすぐでシャイな人柄が素敵で私たち職員だけではなく会員さんのファンもたくさんいました。蔵本さん、よつ葉とともに歩んでくださりありがとうございました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
  
  
  
  

  
  

  
  和歌山・電子農法研究会の皆さん（左後ろが蔵本さん）

  　　　　　　　　　　
  
  
  　
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  
  
  　　　　　　　
  
  

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  藻場は海の保育園①

  
  

  宮古湾の藻場･干潟を考える会会長

  
  

  山根幸伸

  
  

  　　　
  

  
  私は高校卒業後、4～5年は会社員として勤めましたが、長男ということもあり異動の多い仕事を辞め、地元の岩手県宮古市で漁師となりました。最初は定置網の船で働く“サラリーマン漁師”でしたが、一念発起し親の代で始めたカキの養殖をなりわいとすることに。その頃から、何かが弾けたようにさまざまなことに挑戦するようになりました。そのひとつが、宮古湾内の藻場や干潟の大切さを伝える活動です。
  
  きっかけは、ある大学の学生に研究のための調査を依頼され、ニシンなどの稚魚の採集を行ったことです。対象となっていた魚種だけでなく、想像もしていなかった50種類を超える魚の稚魚がアマモの生い茂る藻場で採れました。陸に近い湾奥の浅瀬にある藻場が産卵場所であり稚魚の育つ場所だったのです。今でこそ、このような事実は広く知られ、水産資源の回復や環境面からさまざまな活動が行われていますが、当時はそのようなことを言う人は少なく、地元では先駆けになったと思います。
  
  普段は外洋で生息している魚でさえ、湾内の藻場や干潟のような浅瀬で稚魚時代を過ごすのです。いろいろな魚の子どもたちが集まり育つ“海の保育園”といったところでしょうか。これは大切にしなければいけないと、水産関係者の集まりで研究発表をしたり、各地でお話をしたりする他、地元の子どもたちに伝える体験見学会なども開催するようになりました。
  
  しかし、その豊かな自然から恵みを受けた人々の営みが、その自然の手によって大きく壊されました。そう、2011年3月11日に発生した大震災と津波です。　　　　　　　　　　　（2月号につづく）
  

  
  
  

  
  牡蠣の水揚げをする山根さん

  
  
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　
  
  

• 編集委員からの一言

  　
  
  　
  今年３月に定年を迎える。まだまだ先のことと思っていたが、とうとうやってきた。よつ葉に勤めてかれこれ30年くらいだろうか。初めは週２回勤務のパートで入社して、事務や配達、店舗を経験した。
  
  いろいろ挫折もあったけど「今日は行きたくないなー」と思った朝は一度もない。それはなぜか？　よつ葉では自分の居場所があったから。
  
  結婚する前、一般企業で働いていた私には簡単な伝票整理や発送業務、書類整理など、大した仕事は与えられず、自分はこの会社で必要なのか？　なんて思っていた。しかし、よつ葉では入社して間もない私に重要な仕事を任せてくれて、やりがいがある毎日だった。自分を必要とされていると感じた。社内で居場所があった。それがあったから、仕事は面白かったし、続けてこられた。
  
  思い出すといろんなことがあり過ぎて走馬灯のようにグルグル頭のなかを駆け巡る。その当時、最悪だったことも良い思い出に変わっている。定年後も引き続き働けるので、体力が続く限りこのよつ葉で思い出を増やしていこうと思う。
  
  

  （よつば農産　笹川浩子）
  

  　
  
  
  
  
  
  

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