〈2022年4月号(No.131) -4〉
3.11反原発集会報告
「原発は自国に対する核兵器」
京滋産直 光久健太郎
原発事故から11年目の3月「原発のない社会へ2022びわこ集会」に足を運びました。世間では「カーボンニュートラル」がうたわれ、環境問題への関心も高まり、その言葉を借りて電力会社のCMでは堂々と原発推進がうたわれるようになっています。原発事故から月日がたち、原発問題への意識や関心は薄れているのでしょうか。
あれから10基の原発が再稼働、一方で24基の原発が廃炉に。この現状をどう捉えるかはそれぞれですが、「国や電力会社が思うように再稼働を推進できないのは間違いなく住民の力だ」という基調報告の井戸謙一弁護士の言葉に少し勇気をもらいます。
この夏から秋にかけ関西電力美浜原発3号機運転差し止め裁判があります。この国内初の40年超え老朽原発の再稼働を「市民の反対で阻止できるか」は今後の原発政策の大きな分岐点といえます。福島で増加している小児甲状腺がん、原発汚染水の海洋放出の実態、避難者の故郷や避難先での苦悩。
このような集会の場でメディアでは報じられることのない現地の人の声を聴き、裁判や原発情勢の経過を聴くことで原発(核)とその産業構造が私たちの暮らしの深いところに根差していることを改めて確かめることができます。折しもロシアのウクライナ侵攻、原発への攻撃が報じられ世界的な緊張が高まっているなかでの集会でした。そんななか、核の保有や武装が一部でささやかれています。しかし武力とは兵器だけではなくそこに「人」が含まれます。そしてそれはわれわれの家族であり友人です。不安定な世界情勢ですが、武力による抑止ではなく武力を行使できない世界のあり方を目指すべきではないでしょうか。
何をなし、何を拒否するか、その選択が自分たちの未来を形づくります。井戸弁護士の「原発は自国に対する核兵器に他ならない」という言葉が響きます。この当たり前の現実から目を背けることはできません。

手づくりの垂れ幕をもって行進
食育勉強会
食の経験が乏しい子どもたちにも食の自立を
ひこばえ 松尾章子
大阪ガス、茨木市、関西よつ葉連絡会の共催で、食育勉強会を開きました。茨木市ユースプラザで働く相談員さんを対象とした「だし」講座です。
ユースプラザは、引きこもりや不登校など、生きづらさを感じる子どもたちの居場所として、茨木市が市内5ヶ所で実施しています。活動内容は多岐にわたりますが、集まる子どもたちに食事を提供するのも相談員さんたちの仕事のひとつ。そこで今回の勉強会に至りました。
座学の後は調理実習。昆布とかつおでだしを引き、出しがらは佃煮にします。だしの香りとご飯が炊ける香りが会場中に漂い「おなか減った~」と感じながら見学していたスタッフは私だけではないと思います。
茨木高校家庭科教諭・茨木市市民活動センター長の入交先生は「こうやってごはんをつくっていると、今までは寄ってこなかった子どもたちが、香りや音につられて、何してるの? と台所に近づいてくるの。そのうち、食べたいもののリクエストをくれたり、一緒につくったり。家庭でまともに食事ができなかったり、いつもコンビニ弁当だったりしてユースプラザに集まる子は、食の経験が乏しく選択肢がない子も多い。だから、少しでも一緒につくって一緒に食べる機会をつくって、将来、食の自立ができるようにしてあげてたい」と話されました。
「<ミートハウス能勢>(よつ葉ビル1F)は知っていたけれどよつ葉は知らなかった」という相談員さんが大半(全員かも)でしたが、試食で用意した地場野菜やよつ葉の食材は好評でした。私たちにできることは限られていますが、地域の人と関わりながら、「きちんと食べる、きちんと暮らす」を一緒に考えていけたらいいなと思いました。
*茨木市ユースプラザは子どもや若者を対象に、不登校・ひきこもり・発達障害・貧困など、しんどいときや辛くなったときに安心して過ごすことができる居場所。茨木市内に5カ所ある。「茨木市ユースプラザ」でweb検索。

手づくりの布の昆布でだしの説明
編集委員からの一言
昨春、コロナの感染拡大で「よつばの保養キャンプ」の実施を断念。今年こそはと準備に取りかかり、募集をかけた直後にオミクロン株の感染が一気に拡大し急遽中止に。子どもたちの楽しみをまたまた奪ってしまった…。
こんな状況のなか、実は「コロナなんて怖くない!」と言わんばかりに申し込みがあり、「感染者が増えても、子どもが楽しみにしているから参加させようと思っていたのに」と、残念がる保護者の方々の思いがけない反応に驚きでした。そうだよなぁ…。
「放射能」という目に見えない恐怖に比べたら、コロナは感染したら「コロナ感染」と直ちに判断されるけど、いずれ死滅していくもの。同じ「目に見えないもの」ではあるけれど、全く違うもの。
のびのびと過ごせない規制だらけのなかで、マスク生活のキャンプが果たして「保養」になるのか? 「もし子どもたちを大阪で感染させてしまったらどうしよう…」と、こちら側の判断だけではなく、中止にするにしろ「もっと子どもたちや保護者の方とお話した上で決定できたらよかったな」という想いが残ってしまった。おばちゃん誰やったっけ? とリピーターの子どもたちに言われないためにも次こそは実施したいな。
(事務局 荒岩美也子)
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