ぼくらがつくる〝弁当〟の日
おきたま興農舎
山形県高畠町:お米、曲がりねぎ、ラ・フランス、青大豆〝秘伝〟など
「有機農業の里」として有名な高畠町もある置賜地方で、11名の農家が集まって設立したグループです。現在では100戸以上の農家が、健全な土づくりにこだわり農薬や化学肥料に頼らない野菜づくり、果実づくりを行っています。
「コロナ禍で苦しむ人たちへの支援」においてはいち早く連絡があり、6tものお米を寄付していただきました。
先日、次男の通う学校で『お弁当の日』があった。小学校最後の『お弁当の日』。直前の朝の読み聞かせでは、考えが深まればと、竹下和男さんの『100年未来の家族へ 僕らが作る弁当の日5・7・5』を抜粋して読んでみた。
「6年間最後のお弁当の日だから、パンを持って行きたい!」息子の言葉に正直ショックを受けた。というのもお弁当の日の提唱者、竹下和男さんが高畠町で講演されたのがきっかけで始まったこの取り組み。そのとき講演を聴いた私はこの取り組みが高畠に根付くことを願い、地産地消や選食を学ぶ機会にと勝手に思い描いていたのだ。とはいえ私の主張を強要することも違う。母のささやかな抵抗として国産小麦でパンから手づくりすることを条件とした。
月曜日当日に向けて、自分の用事と、失敗したときのことを考えて、土曜日から一人レシピ片手に黙々とパンづくりをする息子。当日の月曜日、おかずづくりのバタバタも、宿題のバタバタも乗り越えて、いつもより早く自分でつくったお弁当を手に、生き生きと出かけて行った息子。
学校から帰ってきて、「お弁当どうだった?」と聞くと「パンは固くなるからやっぱりお弁当はごはんがいいね」と一言。「半分くらいはパン持ってきてたよ」とまた一言。子供の答えに一喜一憂。冷めてもおいしいお米を来年も! と心に誓ったのだった。
社会の状況に、気持ちが鬱々としてくるようですが、「お母さん大人でしょ。頑張ってよ。」との次男の言葉に、私ができることを模索し、行動しようと思うところ。息子も息子で、前述の本を卒業式まで学級文庫に置いておくという。近くの山もすっかり下まで雪化粧。もうじき雪に閉ざされる田畑を前に、100年も200年もずっと豊かな大地をと、願う年の暮れです。
(小林和香子)
田植中の小林さん
柔軟に尊重しながら
土佐佐賀産直
高知県黒潮町:鮮魚セット、藁焼きかつおタタキ、きびなごフィーレなど
黒潮町(旧土佐佐賀)や近隣の小さな漁港で水揚げされる魚を使い、実際に家庭でつくる人の目線に立ったモノづくりを行っています。漁業関係者の「これ何とかならんか~?」の声に応え、小さかったり量がまとまらなかったり、また、一般にあまり知られていないため買い手がつかない原料を使い、地元を元気にしようと日々がんばっています。
地域で必要とされる会社を目指し、女性が生き生きと働ける職場にしよう。設立当時の想いは今も変わらず、土佐佐賀産直は元気に明るく奔走しています。
コロナで世界が一変しようが、異常気象が起ころうが、海の魚は何も変わらず恵みを与えてくれます。そこに私たちがひと工夫加えることで皆さんの食卓に笑顔をお届けできるように、日々励んでいきたいと思っています。
「土佐佐賀産直出荷組合」は、地域で必要とされる会社を目指す。女性が生き生きと働ける職場にしよう。設立当時の思いは今も変わらず元気に明るく奔走しています。コロナで世界が一変しようが、異常気象が起ころうが、海の魚は何も変わらず恵みを与えてくれます。これからもこれまでと変わらず、与えてもらった恵みに手を加え、皆さんが笑顔になる製品をつくっていきたいと思っています。
2018年、産直へ新らしい風が吹き込みました。ベトナム人実習生2名がスタッフに加わってくれ、現在は7名となりました。19歳から27歳までの女性たちが一緒に働いています。
ここ数年、農業・漁業・製造業ほか、どの業種においても人手不足は深刻な状況です。地元雇用を目標に取り組んできましたが、求人しても応募が全くない、このまままでは会社の存続も無理かも…。そんなとき同業者の勧めもあり外国人実習生の受け入れに踏み切りました。コミュニケーション問題や文化・習慣の違いで、ときどきトラブルも起こり、泣いたり、叱ったり、笑ったりしていますが、彼女たちの勤労意欲と若い力に助けられています。外国人実習生をただの労働力と見ず仲間と思い、娘と思い柔軟に尊重しつつ共存していかなくてはと思っています。
この先、日本はどこへ向かっていくのだろうか? いやいや、今はそんなこと考えず目の前のことを一つひとつ乗り越えていこう! と言い聞かせる毎日です。コロナ感染症の影響で、帰国できず4年目に入ったアンちゃんに「日本でお嫁さんになりや」と言うと「帰りまーす。ベトナムで結婚しますゥ~」と返されます。アンちゃんの〝土佐弁〟を聞くたびに、日本人、外国人の隔たりのないコミュニティーが近い将来できるのかな、できてほしいなぁと考えています。
(浜町明恵)
土佐佐賀産直の皆さん
食卓の向こう側
自然食ラボ Peace Food Kitchen
明けましておめでとうございます。
「よい食を未来につなぐ」という思いで大阪市内で小さな料理教室を始めて今年で10年目となります。気付けば節目の年となりました。
さまざまなご縁から食べものとカラダのことを学び、学んだことを少しでもお伝えしたいと試行錯誤を繰り返して、あっという間に年月がたちましたが、一昨年からの感染症の世界的流行の波は私の小さな教室も飲み込み、いまだ収束の兆しもはっきりとは見えない状況です。
思わぬ形で目の前に現れた「時間」の中で、暮らしのスピードが変わり、見えなかったことが見えてきた日々でもありました。
どんなことも私たちの暮らしの在り方とつながっていると思っています。文明、発展という名の下に私たちはいつしか「共生」ということを忘れて暮らしてきたのかもしれません。世界では若い世代から「この地球を私たちとその先の世代により良い形で渡してほしい」というメッセージが伝わってきます。
生きる場も暮らし方もバラバラな私たちですが、人はみな等しく「食べて」生きています。何を選んで何を食べるのか…。毎日毎日一日も休まず繰り返されるその営みがそのメッセージへの答えの一つになるかもしれません。食卓の向こう側には人がいて、土・水・空・海・山を通して世界とつながっています。2022年が想像力と思いやりの心で皆がつながっていける始まりの年になることを願います。
感染症がいずれ落ち着いて、また皆さんと共によつ葉さんがつなげてくださる「食卓の向こう側」を共有できることを楽しみに、料理教室や成人病予防健康教室などの再開準備を進めています。今年は中断していた「自炊力」を育てるコースも始める予定です。
新しい年が皆さまにとって良い年でありますように心よりお祈りしております。
(大阪会員 宮谷有希子)
手づくりの看板
旬のお野菜を使った旬菜コース
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