(編集部 矢板進) (関西よつ葉連絡会事務局長 松原竜生)
2021年の活動と課題
大きな分岐点を迎えて
あけましておめでとうございます。昨年一年を振り返ると、いまだ終息のめどの立たないコロナ禍や気候変動、経済格差による貧困など、挙げれば切りがないほど次々と問題が出てくるような状況です。関西よつ葉連絡会はそのような社会の状況にも目を向けてさまざまな発信をしてきました。そんな中で「よつばつうしん」も新たにリニューアルしました。情報発信は紙のものよりもSNSが主流になるなか、私たちも多面的な発信を探っていきます。世代交代が進み、今後、社会との関わりをどうしていくか、ということが大きな課題になっています。
学びから在り方を見直す
関西よつ葉連絡会事務局長・松原竜生
新型コロナウイルスの影は2年たった現在も社会全体を覆い、私たちはある種の閉塞感の中にいます。関西よつ葉連絡会でも、需要増のため事業的には好調といえる一方、全ての活動の基盤となる「人と人とのつながり」においては大幅な制限を余儀なくされ、「もうひとつ面白くないなぁ…」という雰囲気は拭えません。
昨年の8月にはその大部分が北極圏にあるグリーンランドを覆う氷床の最高地点(標高3216ⅿ)で、観測史上初めて降雨が確認されました。IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の報告書ではグリーンランドの氷床が大量融解することはほぼ確実で、海面水位の上昇が加速することが指摘されています。
そのような事態を受け、地球過熱化はすでに後戻りできない「臨界点」に達してしまったという説も出てきており、「まだ間に合う」と信じたい気持ちを大きく揺さぶります。新型コロナウイルスによるパンデミックは先行事例のひとつに過ぎず、エゴイスティックな人間活動の帰結がブーメランのように自分たちに継続的に降りかかってくるかもしれません。
〝食べもの〟を基盤として
子どもたちやこれから生まれてくる子どもたち、そして自分たち自身のためにこの差し迫った問題に対処していかなければなりません。〝よつ葉〟としてもできるだけ多くの人や団体と手をつなぎ有効な取り組みができるよう考えていきます。「きちんと〝食べる〟きちんと〝暮らす〟」などは安定した生存環境がなければ、実現不可能なフレーズでしかありません。
また、そのような問題意識ともつながりますが、昨年は「よつばつうしん」でプラスチック問題や化学物質過敏症について取り上げたり、登録会員情報から性別の欄をなくしたりするなど社会に深く浸透し、自分たち自身がどっぷり浸かっている構造や問題についても、考え取り組んでいく一歩を踏み出しました。もちろん原発や遺伝子組み換え技術をはじめ、これまで取り組んできた社会問題は相変わらず私たちに重くのしかかっています。
しかしさまざまな問題は別々に見えるようで、複雑に絡み合いながら根っこの部分でつながっています。「それはおかしい」、「絶対に間違っている」と素直に声を上げられるものだけでなく、自分たちが依存し受け入れてしまっている事柄についても、学び、気付き、積極的に在り方を変えていく…。それが目の前に横たわる大きな何か、その具体的現象として現れる無数の問題を解決していく力になると信じます。
もうひとつ大きな一歩としてコロナ禍で困窮している人たちへの支援を生産者・会員の皆さんや関係諸団体・個人のご協力のもとに行うことができました。この度の世界的混乱において最も悪影響を受けているのはそれ以前から構造的な困窮にさらされていた人たちです。その一方で、ライフスタイルの変化などをテコに関連する企業のCEOや役員の個人資産がとんでもない割合で上昇している事実がこの問題が「構造的」であることを明白に物語っています。決して「自己責任」などに帰結できるものではありません。
私たちは微力ですが、命の源である〝食べ物〟を基盤として活動してきた立場からこの窮状に対しできることがあると考え動き出しました。具体的にはシングルマザーや外国人労働者を支援する団体などを窓口に食品を届けています。今はまだ物質的な支援の域を出ませんが、「する側、される側」の関係を超え一緒になってその「構造」に挑戦できるような取り組みができないか模索していきたいと思います。
日々、できることは小さくても
未来の世界から振り返ったとき、今はひとつの大きな転換期と言えるでしょう。歴史において大抵の場合、それを当事者は自覚することなく日々過ごしていた事実からすれば、今をまさに生きている私たちがそう感じているということはこれから数十年で起こる変化が相当なものだと予想させます。見方を変えればそれくらい大きな変化を起こさなければ、私たちの存在そのものが危ういところまで来ているという現実があります。あまり使いたくない言葉ですが、〝コロナ後の社会〟をどう展望し実現に移せるか? それが大きな分岐点になるでしょう。どう生きたいのか? どういう社会を望むのか? 真剣に考えなければいけません。
大きく考えても日々できることは本当に小さい…。ジレンマはいつだって付きまといますが、それでも〝関西よつ葉連絡会〟は形式的ではなく、大きな問題に本気でぶつかっていく存在であり続けたいと思います。
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