神戸大学の大学院医学研究科が去年の8月から10月にかけて、県立5病院とひとつの健康診断施設から、外来患者や健康診断受診者ら(平均62才)計10377人分の血液の提供を受け、新型コロナウイルスが体内に入った際に作られる抗体を調べた。その結果16人から抗体が見つかり、血液を提供した病院がある県内の瀬戸内海沿岸部の人口約450万人あたり6000から7000人が感染経験者ということになるそうだ。10月1日時点での兵庫県内の感染者は累計2738人で、実際はその2~3倍が感染経験者だと推定できる結果になった。
ここまでは12月18日付けの朝日新聞朝刊の社会面(『ののちゃん』のマンガの面)の下の方に、小さな活字で小さく載っていた記事を要約したものです。
「10月1日時点での兵庫県内の感染者」というのは法律に基づきPCR検査を受けて陽性と判定され、各地の保健所によって確認された人の数です。いわば公認の感染者です。毎日新聞やラジオ、テレビで発表される数字です。
ところが、この調査によれば実際には「その2~3倍の感染経験者」がいることがわかりました。つまり、「ウイルスが体内に入った」にもかかわらず難なくやり過ごし、抗体ができたことにも気づかない「感染経験者」が2~3倍もいるということです。もちろん、保健所が減らされて人員不足でてんやわんやで検査が追いつかないために見過ごされた人がいくらかいるでしょうが、大部分は発熱もせず症状もなくすんだ人たちです。
いわゆるカゼの原因となるウイルスは3種類あっていずれもコロナウイルスです。今回「新型」と呼ばれるのはそのためで、私たちはすでに永いこと「ウィズコロナ」(この言い方は嫌いですが)の時間を過ごしてきました。それらのコロナウイルスがいつ人間社会にやってきたかもわかりません。冬になって、空気が乾燥してウイルスが飛びやすくなるとカゼがはびこりますが、「きちんと食べてきちんと暮らす」人たち、つまり免疫力がしっかりしている人たちは「ウイルスが体内に入った」にもかかわらず難なくやり過ごしているわけです。
首都圏や関西などに2回目の緊急事態宣言が出されました。ウイルスが次第に身近に迫ってきているのかもしれません。それでも、自らの免疫力を信じて、心穏やかに過ごしたいものです。
新型コロナウイルスの感染拡大もあって常にそわそわした感じはあったが、実感の少ない静かな年明けだった。そういえば初詣も行っていない。例年に比べると食べる・寝るを軸とした寝正月ではあったが、結果、家族と密に過ごすことができたのはよかった。
そして、爆弾低気圧と呼ばれるほどの寒波。自宅付近では雪がうっすら積もったり、窓が凍って開かなくなったり、ベランダのメダカ鉢の水は全て凍った(メダカは無事)。
この極端すぎる天候の変化、北陸地方の車の行列を見ていると冬が来た!というより何か異質のものを感じる。
変異していく新型コロナウイルスはヨーロッパの型、アフリカの型、ブラジルの型…と不安は増す一方。ワクチン開発も進んでほしいが、政策であったり、企業の儲けの部分が見え隠れして、実際のところ安全性がどうなのかはわからない。また、医療現場は大変なことになっている。
考えれば考えるほど沼にはまっていくような感覚だが、現実に向き合って前に進んでいくしかない。
(ひこばえ・辻田浩司)
2011年3月の東日本大震災から丸10年になろうとしています。3月号では1面で「震災・原発事故から10年」を振り返り、これからの取り組みを考える特集記事をお届けする予定です。福島からは福島原発告訴団団長・武藤類子さんに、関西からは原発設置反対小浜市民の会/明通寺住職・中嶌哲演さんに寄稿をお願いしました。5面「視点論点」では、天笠啓祐さんに新型コロナウイルス・ワクチンについて私たちが知っておくべきことを解説していただきます。
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