研修部会 2020年の取り組みを振り返って
社会の課題から問う よつ葉の活動
よつ葉の研修部会は、各社から参加する職員自身によって運営され、職員自身が希望する内容で研修に取り組んでいます。今年はコロナの影響で現地に赴く体験交流はほとんど実施できませんでしたが、読書や上映会学習を通じて、「ウィズ・コロナ」の時代によつ葉が社会の中で果たすべき役割をあらためて考え直してみる年となりました。部会長の田野さんに今年の研修部会について、部会世話人の橋本さんに部会として運営に協力している「よつばの学校」全職員講座について振り返っていただきました。
(編集部・下村俊彦)
研修部会
自分の言葉で伝える力を
研修部会長/淀川産直・田野浩幸
研修部会は、年初に実施する「やりたいことアンケート」をもとに、本読み勉強会・DVD上映学習と体験交流を中心に、反原発の取り組みや、「よつばの学校」と連携しながら職員の学びの場として活動しています。
今年は新型コロナの影響で、多くの研修が中止になるなか、時事問題を含めさまざまなことに取り組みました。例えば、プラスチックごみ問題。深刻な海洋汚染の実態を知り、配達時の袋に対する声などもあり、削減や仕様変更を含め取り組むべき課題を再確認しました。新型コロナウイルスに関する学習会では、さまざまな立場の有識者たちの寄稿をまとめた本を参考に、今後の対応や展望について各職場と情報共有することで、スムーズな会員対応につながりました。また、気候変動について、異常気象が常態化する中、グレタ・トゥーンベリさんのように権力者を動かす活動と同時に、自分たちにできる取り組みの重要性を学びました。
また、今年から研修部会でもリモートでの参加を取り入れました。会議は茨木市にあるよつ葉ビルでおこなっているので、遠方地の職員からは好評です。他には、現地研修ができない代わりに、リモートでの「せっけんの勉強会」を太陽油脂の石垣さんを講師に行いました。なぜよつ葉がせっけんを勧めるのかという基本的なところからの理解が深まりました。新型コロナの現状を考えると、今後もリモートでの研修にシフトしていくと思いますが、顔の見える関係は変わらず大切にしていきます。
日々の業務につながることはもちろんのこと、よつ葉の活動自体がさまざまな分野と関係がある強みを活かし、単に本を読み映像を見て満足するのではなく、討論の場で自分の考えを伝える経験を積み重ね、発信していく力を身に付けていけるよう取り組みます。
よつ葉の活動は商品の配送だけでなく、反原発の取り組みなど社会に対して自分たちの想いを発信していくことでもあります。そのためにも自ら学ぶ姿勢を大切に、これからもさまざまなことに取り組んでいきます。


(上)リモートでの「せっけんの勉強会」。
司会は大阪産直・真鍋さん。
(下)コロナのため今年唯一の体験交流となった
お米の等級検査のお手伝い。左端が田野さん。よつば農産で。
よつばの学校
学びから実践への道筋を探る
研修部会世話人/ひこばえ・橋本 淳
新型コロナウイルス禍のなかでも、よつ葉としては社会的な問題意識を共有するために、ウェブ会議のツールなどを利用しながら、全職員講座を行っています。以下、簡単にご報告させてください。
7月は、能勢農場の寺本陽一郎さんの「日本の畜産の現状と安心・安全な食べものとは」と題した講義。内容は、戦後に大量生産と効率を追求した畜産についての概要と制度上の矛盾。そのなかで作る人と食べる人の結びつきをもう一度取り戻そうとする能勢農場の畜産の考え方と実践を詳らかにしました。
9月には、本紙「うまい話・まずい話」の執筆者のやさい村・河合左千夫さんによる「免疫と食べもの~コロナウイルスなんてこわくない~」というお話を。煽動的なタイトルと思われるかもしれませんが、話の内容は至って実践的。新型コロナウイルス感染拡大はグローバリゼーションの当然の帰結であるとし、私たち自身の免疫力を高めることからも、ウイルスの対処はできうるとして、食事や生活についての知恵を教えていただきました。
11月。「気候危機にどう立ち向かうのか~食と農からの取り組みを考えるために~」として、大阪市立大学大学院准教授の斎藤幸平さんのお話を伺いました。気候危機、とりわけ地球温暖化を止めるためには、経済成長を最優先させるシステムそのものを見直さなくてはならないこと。そのためには、共有財たるコモンの領域を広げる社会運動によって社会を変えていかなくてはならないという内容でした。
食肉とコロナウイルスと気候変動。三者三様に論点は諸々ながら、通底していることもあります。グローバリゼーションと加速化した経済活動が、この世界に不可逆的な負の遺産を残し、私たちの目の前に顕現しているということ。しかし一方で、それを解決するための道筋は確かに存在しているということ。簡単な答えはありません。しかし日々、考え、できうることを実践していきたいと思います。

「よつばの学校」斎藤幸平さん講演会。
11月13日、茨木市福祉文化会館。