新品種小麦麺 試作中
望月製麺所 北海道登別市:ゆめちからの醤油らーめんなど
自然豊かな環境に位置し、登別温泉が有名な地域に私たちの製麺所はあります。おかげさまで今年、創業から62年目を迎え、「地産地消の推進・食の安心安全の提供・生産者の顔が見える商品開発」を合言葉に取り組んできました。
私たちの麺づくりにかかせない北海道産小麦の魅力はスベリが良くコリコリとした食感と小麦の味が口いっぱいに広がること。さらにポストハーベスト農薬(収穫後農薬)を使用していないことです。私たちはこの北海道産小麦の魅力を最大限に生かすために、添加物は必要最低限に抑え、もしくは使用せず製麺しております。
例えば私たちの北海道味噌ラーメン。無添加味噌スープに使う大豆は北海道十勝産の「光黒大豆」、麺は北海道十勝産の超強力小麦と言われる「ゆめちから」、卵を使用していません。来年、新たに北海道産新品種の小麦「みのりのちから」が出るのですが、ゆめちからよりは麺になったときの堅さが抑えられ、モチモチとした食感が特徴の、よりラーメンに適した品種です。この新品種100%のラーメンをいち早くお届けできればと試行錯誤しております。
新型コロナウイルスの影響で、地元の登別温泉には年間140万人もの観光客が訪れていたところが、今年の3月から6月はほぼ0人。飲食店、お土産店、ホテル、テーマパークは全て営業を停止という状況に陥りました。7月になり徐々に営業を再開するようになりましたが、現状以前のような活気は戻っていません。
このような時こそ皆さまに喜んでいただけるような商品開発と、「コロナに負けない!」強い気持ちで立ち向かっていきたいと思います。
(望月一延)
他にない食感を生む北海道小麦の麺
知床のファンを増やしたい
知床吉野 北海道斜里郡:知床のさくらます一夜干しなど
知床吉野は創業1933年、入植の後期に兵庫県淡路島の沼島より移住、斜里町で起業致しました。町内でも古株になります。はじめは醤油・味噌を作っておりましたが、現在は水産加工、地酒の販売、関連企業で地場料理店もしております。
斜里町がどこか?というと、北海道の道東、知床半島の付け根あたりに位置します。
流氷の訪れるオホーツク海に面しており、海から陸へとつながる生態系がわかりやすい希少動植物の生息地です。2005年には世界自然遺産に登録されました。オホーツク海の流氷はロシアのアムール川の水(淡水)が凍ったものと言われております。鉄分を多く含んだ流氷は溶けて海中のプランクトンの餌となります。またそのプランクトンを魚などの中小生物が、それを大型魚が、それを鳥が、または熊が、人間が、と食物連鎖が生まれます。近年の研究では流氷により爆発的に増えたプランクトンがダイナミックな食物連鎖のきっかけになっていると言われており、その生態系の縮図が知床ではご覧いただけます。
さて、私たちはそんな大自然の中で斜里町産の水産物を使った、素材の良さを伝えるものづくりをしています。魚種は主に桜鱒。陰干しといって屋内で微風を当て長時間をかけて干す製法で干し魚を作っています。陰干しは天日干しと比べて気候条件をコントロールできるのと、自分の目で確かめながら取り組めるのが良い点です。甘塩でおいしく干すため陰干しのほうが良いです。また年中通して冷涼な斜里町だからこそできる製法です。これからも私たちの商品を通して、前浜で揚がった魚のおいしさ、知床の良さを伝えていきたいです。
(吉野壮亮)
スタッフの皆さん
シンプルな原料を手作業で
札幌第一製菓 北海道札幌市:緑茶きなこねじりなど
札幌第一製菓は、1942年創業からシンプルな原料、シンプルな製法で造られる「きなこねじり」を専門に日々励んでおります。
「きなこねじり」の発祥は江戸時代初期の京都と言われ、ねじりの部分は神社のしめ縄を表現しており、元々は結婚式などのお祝いの席で出されたお菓子です。そこから庶民に広がったきなこねじりは、保存性の高いことから北前船(大阪~松前(北海道)を往復)の船員たちのおやつとして携帯され、寄港地に広がりました。
私たちのきなこねじりの魅力、特長を生み出しているのは、きな粉・水飴・砂糖と非常にシンプルな原料。そして職人たちがひとつひとつ手作業でねじっていく「ねじり加工」です。機械では出せない柔らかさと口溶けのよさ、歯に付きにくく、どこか懐かしく優しい味わい…自然と1本また1本と手が出てしまうのではないでしょうか。
お茶や珈琲との相性が大変よく、最近では牛乳やお酒(ワイン、ブランデー)と一緒に食する方が増えております。そして、きな粉の原料となる大豆は畑のお肉、大地の黄金と呼ばれるほど栄養価の高い(特にタンパク質が豊富)穀物です。ですのでスポーツ中、登山中、小腹がすいた時のおやつとして携帯している方が多く、また腹持ちも良いため、受験生のおやつにとさまざまなシーンで楽しんでいただいております。
私たちの「おいしく食べて身体にやさしい」自慢のきなこねじりを幅広い世代で、より多くの皆さまに食べていただければ幸いです。
(浅尾和規)
こだわりのねじり加工
地域の協同で森づくり
温海町森林組合
山形県鶴岡市:焼畑あつみかぶ
今年も「焼畑あつみかぶ」の収穫シーズンが到来しました。生産者の温海町森林組合は林業の団体で組合員が所有する温海地域内の森林整備に取り組み、木材生産や森林づくりを行っています。かぶと森林づくりの関係について担当の忠鉢春香さんに改めてお話を伺いました。
「よく間違われますが、かぶ栽培の専用畑があるわけではなく、春ごろスギを伐採した跡地の山を畑として活用します。その年にかぶを栽培して、収穫が終わる降雪前にスギの苗木を植林するので、かぶ畑は毎年違う場所になるんです。組合がこの資源の循環利用を始めて5年になりますが、初年度に植林した小さな苗木は私の身長を超えるほどに成長しているんですよ」
健全なスギを育てるためには、植林から10年間は毎年下草刈りを行い、その後40年頃まで除間伐を繰り返します。そして60年くらいで皆伐をし、またかぶを栽培してスギを植えます。こうして人の手を加え循環させ更新することで、森林はより多くの二酸化炭素を吸収して酸素を供給できるだけでなく、洪水の緩和や水質の浄化といった機能を維持できます。つまり、私たちの生活は森によって守られているのです。そしてまた、山からもたらされる養分豊富な水は農作物や魚介類なども育んでいます。そのため温海地域では、森林組合・漁業組合・地域住民などが協同して「魚の森」を造成し、植林や育林活動を行っています。
森林づくりは、都市での暮らしにもつながっています。山育ちの焼畑あつみかぶを食べて、身近な山や森に関心を持っていただけたら嬉しいです。
(まんまーる・松本典子)
杉の伐採地でかぶを栽培
生き物共生を掲げて
田んぼの天使 福井県丹生郡越前町:米
今年もようやく新米をお届けできることを、とても嬉しく感じている今日この頃です。
今年は、北陸地方で例年になく長い梅雨、そして遅い梅雨明けとなりました。長梅雨の影響がお米の品質にどう影響するか心配でしたが、水の入排水のタイミングなどを予測し水管理を徹底、カメムシの発生に備え草刈などに努めたこともあり、例年通り豊かな実りとなりました。生き物共生をスローガンに今年も自家製のボカシ肥料やたい肥を活用。安全安心なお米を皆さまにお届けできるよう、一年間手塩に掛けて育ててまいりました。
ここ数年、私の地区でも農家を辞める方が増え、耕作放棄地やイノシシ、鹿による獣害が深刻さを増しております。今年も山間部の田んぼを中心に鹿の被害が多発し、防護柵の設置や夜間の巡回など田植えから収穫まで気の抜けない状況が続きました。私どものお米を食べていただけることは、ただ単にお米を消費するだけではなく、皆さまと一緒にこの美しい里山の景観を保全していることに他ならないと実感し、感謝しております。
個人的な事ではございますが、収穫の最中に長女が予定日よりも一か月早く、無事元気に生まれました。新米をお届けできる喜びに加え出産の喜びを感じております。
これからも皆さまとともに中山間での持続可能な農業の発展に貢献していきたいです。どうか今後ともご支援賜りますようよろしくお願い致します。
(井上高宏)
実りの秋を迎えて
水俣の農産物を愛している皆さまへ
企業組合エコネットみなまた 永野隆文
水俣市に大規模な風力発電計画があります。水俣市を中心とした山地(石飛、湯の鶴など)の稜線に、26万kW64基という途方もない計画です。事業者は12月末までにその手続きを終わらせようとしています。来年になると、発電の引き取り価格が大幅に減るため、駆け込み申請が全国的に行われています。
8月、住民や農業者を中心とした市民グループ「ちょっと待った!水俣風力発電」が発足し、影響を受ける地域へのチラシ配布など行動を始めました。11年前、別の業者による1万4千kW7基の計画は市民の力で撤退させました。「土砂崩れなど周辺集落への影響が懸念された」からです。今回の計画は、全く同じところに、当時の建設範囲や発電規模をはるかに上回るものとなり、まさに稜線に林立ということになります。
反対理由は、健康被害、環境被害、そして土砂災害の危険性、使用後の廃棄物処理のことなど、あげれば次々に出てきます。健康被害については、因果関係がないということで各地で退けられていますが、低周波音、超低周波音被害の問題は存在します。水俣病事件を経験している私たちは、健康被害の疑義と聞けば、到底受け入れることはできません。
ブルーベリーを無農薬で栽培している森山さんは言います。「騒音や低周波の中で仕事はできない。廃園にせざるを得ない。ヨーロッパでは、風力発電は撤退の方向なのに、なぜ、駆け込み的に大量に設置しようとするのか。利権構造があるのは明らか」。石飛の高原は、計35ヘクタールの茶園がありますが、涼しい気候ということもあり無農薬のお茶栽培が盛んなところ。Kさんは、「すぐ近くだけん、仕事が出けんごと、なっとじゃ、なかっか」と怒っています。
敗戦後の高度経済成長の裏で、原因企業チッソの有害排水垂れ流しによって起きた水俣病事件は、過疎地の住民が経済の犠牲になった典型例です。今回の風力発電計画に、その水俣病事件と同じ構図を見る思いです。
私たちは、危険な原発に反対し、自然エネルギーの普及に希望を持っています。しかし、今回の風力発電計画から見えることは、自然エネルギーならどんなことをしてもいいわけではなく、ルールや歯止めが必要ということです。稼働期間20年が終了した発電設備の廃棄物をどうするのかも未解決です。
水俣から訴えます。苦悩しているブルーベリーやお茶の生産者に連帯をお願いします! エネルギー問題に関心を持ち意思表示を! 誰かの犠牲の上に成り立つ「豊かな暮らし」の見直しを! 電気は当たり前に存在しているという暮らしの見直しを!
ブルーベリー園近くの山に風力発電
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