アベ元首相を苦しめている潰瘍性大腸炎は自己免疫疾患のひとつで、本来病原菌やウイルスを退治するための免疫機構が、自分の臓器や組織を攻撃して傷つける、つまり腸壁に潰瘍を作って出血させるという厄介な病気です。伝え聞くところによると、17歳の時から病んでいて、苦労をしたと思いますが、第一次政権を投げ出した時も外遊先で病状が悪化して会議の出席すらままならなかったそうですから、退任もしかたなかったでしょう。
うちの会社のAくんも同じ病気にかかっていて、症状のない時はいたって元気で、人一倍の仕事をこなしていますが、周期的に症状が出てきて、そんな時は苦痛で顔をゆがめ、お腹をおさえています。それでもちゃんと配達をこなしてくれていて頭が下がります。治療といっても免疫抑制剤で大腸への攻撃を抑えるしかありません。その替わり感染症には弱くなりますから、インフルエンザの季節にはあらかじめワクチン接種をしています。コロナの直前にやさい村でインフルエンザがはやって配送員の半数の3人がたおれましたが彼は無事でした。また、吉村知事がうがい薬に言及した時、彼も常用しているのですぐさま薬局へ飛んで行ったのですが、売り切れてしまって困ったと言ってました。
そのAくんが何年か前に、主治医から「アベ首相が元気になったのは、健康な人の便から腸内細菌叢を取り出して培養してそれをアベさんの腸に移植したからや。これは他の対症療法と違って治癒できる。ただしクルマ1台分(400万円)の費用がかかる」という話を聞いてきました。第一次政権を潰瘍性大腸炎で投げ出した後、おそらくこの療法で回復し、みごと復活を果たしたのだと思います。その後の活躍は憎たらしいほどでした。
やさい村の会員さんの皆川容子さんは自己免疫疾患の膠原病を徹底した食事療法で克服されました。『あした葉のように―消えた膠原病・再生した骨頭』という本を書いておられます。皆川さんを救ったのは台湾の楊仙友先生の指導で生野菜と雑穀類の粉末の食事です。便秘もなくなり、宿便まで排出でき、不眠症も花粉症も冷え症も解決したそうです。
『臓器たちは語り合う』(丸山優二、NHKスペシャル「人体」取材班)が指摘するように食物繊維の多い食事が豊かな腸内細菌叢を養い、それがまるでひとつの臓器のように働いて、健康で強い免疫細胞を生み出してくれているようです。
この欄を担当するのは、これが最後になります。来春よつ葉を卒業することになっているからです。「引退」ではなく「卒業」と言うのは、退職後も気候変動・原発などの問題には関わっていきたいと思っているからで、アイドルのまねをしたいからではありません。あしからず。
『ひこばえ通信』(本紙の前身)の頃から約20年。じつに多くの皆さんに原稿を依頼してきました(ときには無理やり)。しかも、お願いしてきたのは、原稿だけではありません。取材同行、情報提供、署名協力、集会参加など頼み事ばかり。にもかかわらず、あからさまに「次は断る」と言われたのは、十数年前の「にんじんクラブ」で、シソの葉むしり(大北食品の梅干し用)が夕方になっても終わらなかった時だけだったような気がします。感謝に堪えません。
春以降は、よつ葉のスタッフとして参加のお願いをすることはなくなりますが、どこかの集会や講演会でお目にかかれることを楽しみにしています。
(編集部・下村俊彦)
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