「コロナ」と「菜園生活」
はた あきひろ (園芸研究家・樹木医・NHKテレビ講師)
●コロナ下でこそおすすめ 家庭菜園
私は園芸研究家としてテレビやラジオに出演する傍ら、イベントでセミナー講師を務めたり、新聞や情報誌の連載などの執筆をしています。新型コロナウイルスの影響は、私ももちろん受けました。全国的なイベント中止に伴い出張は減り、打ち合せは圧倒的にリモートが増え、当然ですが自宅にいる時間が増えました。ただ私は以前から、園芸研究家としての活動だけが仕事(つとめ)とは考えてなく、家族5人が食べるお米や野菜づくりに加えて自宅の大工仕事、地域ボランティアなども、私にとっては家族が心豊かに暮らしをつむぐ仕事の内に入ると認識しているので、あまり仕事が減ったという実感はありません。お金をもらえる仕事が少し減っただけで、やることって結構あるものです。
さて、ステイホームの時間が圧倒的に増えたなぁと感じている方がほとんどだと思います。それじゃあ家で何しようか?となりますが、私は園芸の専門家ですし、やっぱりおすすめしたいのは野菜づくりですね。もちろん、私と同じように自給自足する必要なんてありません。ただ、病害虫が少なく、暑さ寒さにも強いネギやパセリなどはプランターで十分なので、皆さんに家庭菜園というものに、ぜひこのコロナ禍の下で挑戦してほしいなぁと思っています。
かつて私がサラリーマン時代に自給自足を始めようと思った時も、マンションのベランダで刻みネギを育てるところからスタートしました。そして徐々にプランターを増やしていったのですが、もっとやりたい、まだまだ増やしたいという気持ちは高まる一方だったので、ついに農作業の時間を捻出するために職場まで自転車で10分の所に引越し、職住近接を実現させました。これで1日往復4時間弱の通勤時間を農作業に充てることができるようになったわけです。20年ほど前の私はこんな感じでしたが、コロナ禍の今、在宅勤務やリモート会議が増え、遠距離出張、意外と多いお付き合いの飲み会などが減少傾向にある中では、会社や職種にもよりますが、私が自給自足をスタートさせた時より、はるかに野菜づくりをする時間は生み出しやすくなったのではないかと思っています。
現在私は、300坪の水田と100坪の畑を農家さんから借りていて、水田では家族5人分が1年で食べ切る分のお米と、畑はジャガイモやタマネギ、カボチャ、ラッキョウ、ニンニクなど、植え付けてから比較的放任管理できる野菜のみとし、トマトやキュウリなどの実もの野菜やコマツナやチンゲンサイなどの葉もの野菜は、日常管理の行き届く自宅の庭先で栽培しています。
はた家の庭先菜園
はたさん お子さんと
『コップひとつからはじめる自給自足の野菜づくり百科』
内外出版社 2019年5月 A5版 176ページ 1600円(税別)
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