二度とあってほしくない重油流出事故
竹内商店
兵庫県美方郡:香住の干エテカレイ中など
ふるさとで家業に従事して40年余り、両親がともに健在で家族と共に生活できる幸せを感謝しながら暮らしております。竹内商店は、1930年に祖父が創業して、私で三代目になります。
まだ私も若かったある日のことです。妻と1歳になったばかりの長女と3人で近くのスーパーに買い物に出かけた時、食品に使われている添加物が多いことがふと気になりました。合成保存料や着色料など、この子が大人になるまでにどれだけの添加物を摂取することになるのだろう…と思うと急に怖くなってきました。
それから数日後、「…あるリンゴ農家では、出荷用と自家用のリンゴは別々の畑で作っている…」という新聞記事が目に止まりました。これは絶対おかしい! その後の家族会議で、我が家では地元の原材料を使い、昔ながらの食塩だけで加工していくことを決めました。その考えは今も貫いております。
1997年年明けに、島根県隠岐の島沖で、ロシアのナホトカ号が荒天のため沈没、重油が大量に流れ出したと伝えられました。その2日後に、よつ葉の配送センターからかけつけていただき、回収作業のボランティア申し出、義援金のことなども伝えていただきました。感動しました。涙の出そうなほどうれしかったことを今でも思い出します。またその後、風評を気にせずお魚を買い続けてくださった皆さまへの感謝の気持ちは今でも忘れません。
今年7月にインド洋の島国、モーリシャスの沖合で貨物船が座礁して大量の重油などの燃料油が流出した事故が起きました。環境におよぼす影響もしかり、あのころ重油が漂着して、住民総出の回収作業は相当大変なことだったので、このような人為災害はもう二度とあってほしくないです。
(竹内隆弘)
竹内さん一家
酒造りに専念して130余年
山崎本店酒造場
長崎県島原市:野良でお昼寝焼酎
遡ること1669年、当初は、両替商や、下付城米問屋などを営んでいたが、200年ほど前に島原に大地震が起こり、眼前の眉山が崩壊したときの地割れで、町のいたるところから水が湧くようになる。この水を利用して酒造りが始まり、今に至る。2010年から3年連続全国金賞受賞。日本酒、焼酎、リキュールなど100種類を超える酒を仕込んでおります。
造り酒屋の朝は早い。夜明け前に起き、仕事が始まる。米焼酎造りは、日本酒造りに似ている。原料米はながさき南部生産組合からのご紹介でつながったアイガモ農法の無農薬米。何といっても農薬を使用する必要がなく人にやさしい。米としても旨味がありおいしく、焼酎に仕上がった時には深みがある味が出てくる。またフルーティな香りも含まれる。
そして麹造りは最も大切な仕事だ。私たちの蔵では、日本酒造りで使われる黄麹を使用している。これはもろみになったときの酸度を低くするためだ。この黄麹とお米がどれだけうまく交わるかで焼酎の出来が左右されるといっても過言ではない。
そしてもろみ。一般的な焼酎もろみは、酸度が高く、雑菌の繁殖がおさえられ、安全に醸造しやすい。黄麹の焼酎もろみは低温で、清潔に醸造しないと悪くなりやすい。そのため、寒い日の朝、乾燥して空気の綺麗な時に仕込むといいもろみになる。そこから深みのあるお米の味と上品な香りのバランスが絶妙な米焼酎が生まれる。
長らくご愛顧いただいている「野良でお昼寝」は大変評判がよく、造り手冥利につきる。本当にありがたいことと感謝しております。今後ともこだわりの黄麹とアイガモ無農薬米で仕込んだおいしい米焼酎を造り続けていきます。
(山崎倫弘)
蒸米の取出し作業
旧足助(あすけ)町で小麦栽培計画中
日東醸造
愛知県碧南市:足助仕込三河しろたまりなど
古来の麦醤を復興した「三河しろたまり」を中心に、愛知県碧南市で白しょうゆを作っております日東醸造です。
しろたまりの特徴はなんと言っても小麦100%麹で大豆不使用なこと。また、麹と掛水(塩水)がほぼ1対1という、普通の白しょうゆの2倍近い濃い仕込をすることも、淡い色合いと旨味増の両立という相反する課題の解決として選択した独自の製法です。また伊豆大島産海の精の塩を使うことも大きな特徴です。さらに20年ほど前に、しろたまりの仕込蔵を愛知県北東部の山中「足助町大多賀」に移しました。これはおいしい仕込水と仕込に適した冷涼な環境を求めて移転したものです。蔵には廃校になった小学校の校舎を利用させていただいています。
現在、地元の農業委員会にご協力いただいて、山間部の耕作放棄地を利用した小麦栽培を計画中です。中山間地は担い手の高齢化により、恐らくは日本中で耕作放棄農地がどんどん増えています。個人ではなく地域単位で担い手を確保し、需要者と直結した農業の形を模索することで、村の存続を図りながら少しでも小麦自給率の改善につながればと考えます。実現すれば、私たちは愛知県産の枠でしか把握できなかった小麦の育て方、生産者をより正確に皆さまにお伝えできるようになります。
このしろたまり、自信を持ってお勧めしていますが、なにぶんにも普通の濃口しょうゆや淡口しょうゆとは味も香りも大きく異なります。なれない方にもお手軽にお使いいただけるよう、いくつかの配合調味料もご紹介していて、ちょうどこれからのシーズン、国産原料無添加の鍋つゆはいかがでしょうか。どうぞお試しください。
(蜷川洋一)
旧校舎を利用した仕込蔵
自然なお米を作ろう
やさか共同農場
島根県:米・こまつ菜・みそ
私は農家の生まれではありませんでしたが、どうしても農業がしたくて、34歳から故郷で農業を始めました。始めるにあたって「稲作だけはやめとけ」というアドバイスをたくさんもらいつつも外せませんでした。米作りにはそれだけの魅力があります。
稲というのは不思議な植物です。わずか4カ月でこの国をたわわに埋め尽くし、依存度は落ちたとはいえ、日本人の命を保障してくれます。この時期、「ああこれで1年間はこの国は大丈夫だな」と私には思えます。
連作障害がないことも驚きです。小麦文化圏では土地を痩せさせない努力が国の安全保障に直結しているということを思えばなおさらです。私も畑でゴボウや大豆を広く栽培する上で、いつも連作の課題に直面しています。
またどんな野菜でも大量にそればかり食べれば体に害があるのに、お米だけは大丈夫だそうです。我が家の長男は極端な偏食で、ごはんしか食べません。おそらくごはんで95%です。それでも元気に育っています。
そんなお米の栽培を生業にしていることが、なんとも愉快でなりません。そしてそのお米の偉大さを思うとき、食べてくれる皆さんには申し訳ないのですが、「おいしいお米を作ろう!」ではなくて、「自然なお米を作ろう」という気持ちになってきます。どうやったら稲が気持ちいいのか。そんな視点で田んぼに向き合っています。
これを書いている途中で、低空飛行訓練の米軍機がやってきました。すさまじい轟音です。田んぼから飛行機に書いてある字が読めそうなほど近くをすっ飛んでいきます。でもパイロットにはきっと稲は見えていない。それが何とも言えず残念です。
(反田孝之)
【サラリーマン農家】きゅうりづくり頑張ってます
別院協同農場 京都府亀岡市:摂丹百姓つなぎの会の地場野菜
きゅうり栽培を始めて15年。きっかけは、勤めていた会社の九州移転。家族を連れて行くべきか悩んだ末に退職し、生まれ育った環境での生活を選択しました。そもそもは20アールの圃場でお米作りをする兼業農家で、先祖から受け継いだ農地があります。父は食べる分だけ毎年お米栽培を頑張り、私もそのお米を食べて育ちました。
しかし、お米栽培を続けるには、トラクター・田植え機・コンバイン・乾燥機・うすすり機・倉庫の維持管理をしなければならず、非常にコストの掛かる自家米でした。そこで自家米を食べるのを諦め、トラクターを残し、野菜栽培の兼業農家としてスタイルを変えたのが、15年前のことでした。
現在も会社勤めをしながら農業を続けています。平日の早朝と土日は農業と、休みなしのサラリーマン農家は大変です。子どもたちにも手伝ってもらい、季節野菜(きゅうり・チンゲン菜・かぼちゃ)を栽培しています。野菜の収入で、今は農機具・設備の維持管理もできるようになりまた。
私は現在50代前半。この先もサラリーマンを卒業するまではこのスタイルを続ける予定でいます。しかし、近年の異常気象と言われる自然の変化に脅威を感じることも多く、この状況に耐えながらも消費者のみなさんに喜んでもらえる野菜をお届けするために、探究心を持ち、生きがいのある兼業農業を子どもたちと共に持続していきたいと思っています。
(岡本秀和)
さよならマスク
かごしま有機生産組合 大和田 世志人
息苦しいなー、暑いなぁーなんとかならないかなぁ――
なんでみんなこんなに顔隠しているんだい?
右を見ても左を見てもほんにマスクだらけの息苦しい世の中になってしまった。
喜びも、悲しみも、苦しみも、君はいったいどこに置いてきたのか。
マスクからの解放を――マスクからの解放はおいらの願い
幸せはおいらの願い
仕事はとっても苦しいが、流れる汗に未来を込めて、みんなと歌いたい
「さよならマスク」の歌を。
マスクを取って、思いっきり深呼吸して、
さあ―きょうこそ歌おう、語ろう、伝えよう、私の想い、あなたの想い、
かつてのように、あたりまえに、普通に、自然に――。
ソーシャルディスタンスからの自由
われらは集う、語る、歌うのだ―ソーシャルディスタンスからの自由
人は一人では生きられない、人間は一人では生きられない
自粛警察よさようなら
煽情マスコミよさようなら
「そうだ、あんな卑怯な、みっともない、わざと自分をごまかすような、そんなポラーノ広場ではなく、そこへ夜行って歌えば、またそこで風を吸えば、もう元気が出て、明日の仕事中体いっぱい勢いが良くて、面白いような、そういうポラーノ広場を僕らはみんなでこさえよう」(宮沢賢治)
秋の夜、一人静かに飲む酒もよし、友と語らい飲むもなおよし
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