【第12回】貨幣の謎を問う(最終回)
①生理的、自然的な欲求は常に限度というものがあります。それは、人も他の生き物も同様です。ところが、人が作り出した貨幣への欲求には限度がありません。
②貨幣は不公正な社会の土台を形成しています。
③モノの交換において貨幣は常に優位にあります。ほとんどの生産物は時間とともに朽ちていきます。それに比して貨幣はいつまでも腐りません。死なない貨幣は有機的な人間社会と相容れないものです。人間社会に進歩があるとすれば、人の創造物である貨幣の根本的な欠陥を正さなければなりません。社会における有機的な関係から生まれる生産物同様に貨幣も有機的な関係の中に位置づけされることが必要です。
④貨幣は作られて以来、その性格を変えていません。貨幣の性格を強く批判した先人は多くいますが、その変革が試みられたのは100年ほど前が初めてです。その頃、社会改革の思想が百花繚乱のごとく生まれました。資本主義社会の大きな欠陥を正そうという動きです。シルビオ・ゲゼルもその一人ですが、欠陥は貨幣の存在にある、という考えは世界的には広まりませんでした。しかし、資本主義の原動力は無限の貨幣への欲求にあります。貨幣の運動に実に都合の良い仕組みが資本主義なのです。
⑤社会改革の運動において、経済改革(貨幣改革)を伴わない政治改革は成功していません。貨幣権力の番人が交替しただけです。今の中国、かつてのソビエト連邦を考えればすぐに了解できることです。
⑥貨幣から貯蓄機能を奪い、単なる交換の道具にすべきです。そうすれば、貨幣への欲求は限定的になります。生き物としての自然的な欲求と同じ類になります。人の活動は自ずと限定的になると考えられます。生態系に対する限度のない破壊活動も抑制され、有機体としての地球の一構成員として、他の生き物と同等に秩序ある行動をとることが可能になるのではないか、と考えます。
上記の事柄が近いうちに実現するとは思いませんが、次の社会の在り方を考える上で欠かせない視点です。今回で私のコラムを終わりにします。ありがとうございました。

何かが起こる農業事業部
高槻生協のある高槻市北部の原地区は昔ながらの里山の雰囲気が残る地域です。入社当時、あまりに新鮮で〝大阪にこんなところがあるんや~〟と感動していたことをふと思い出します。というのも今年から高槻生協農業事業部にたずさわることになったからです。今までは、田園風景を目にするのは朝晩だけの配送業務一筋、しかも入社前は農業のことは頭の片隅にもない大都会で勤めていたことを想うと、私の周囲の大きなうつり変わりに感慨深いものも感じます。
農業事業部の業務は野菜の集出荷から事務…と多方面にわたります。私は今のところボランティアの方々との農作業がメインです。畑に出るようになり、今まで何気なく目にしてきた田畑や、商品として扱ってきた野菜の見方が少し生産者目線に変わってきたようにも感じます。
天候に左右され、獣害・虫害などもあり、計画どおりに進まない農業の難しさを感じているところですが、納品に来られる生産者の方々がとっても元気で生き生きされているのが印象的です。高齢の生産者さんも多いのですが、私もあんな年の取り方をしたいなあ~と憧れてもいます。
先日も地元の生産者さんに協力していただき無事、田植えも終えることができました。初歩的なことから地元のルールについてなど、生産者さんにアドバイスいただきながらの毎日です。通りがかりの農家さんの指摘で作業手順の間違いが発覚することも稀にあります。
とにかく何かが起こる高槻生協農業事業部です。課題はもりだくさん!! ドタバタ続きで経験不足感は否めません。私は不器用で特技なんてありませんが鉄人並みの体力だけが自慢です!! グローバルな農業とかスマート農業とは全く無縁ですが、この地域でボランティアや地元の方々と共にあせらず確実に歩んでいければと思います。
(高槻生協・中村徹也)
「種苗法改定」今国会断念
「種苗法『改定』の中止を求める請願署名」へのご協力ありがとうございました。農家のタネ取りの権利を著しく制限する改定案に、よつ葉からも反対署名を呼びかけさせていただきました。取り組み期間が短かったため、全よつ葉の取り組みにはなりませんでしたが、3月末を締め切りとし、集まった署名を呼びかけ団体の農民連にたくしました。
反対の声はSNSでも大きく広がり、政府・与党は6月11日、今国会での成立を断念しました。しかし与党は、「内容について誤解がある」「説明を尽くす」などとして「改定」をあきらめていません。引き続き反対の声を上げていきましょう。
(編集部・下村俊彦)

「パンデミックを生きる知性」で気持ちが軽く
6月号《視点論点》、藤原辰史さんの「パンデミックを生きる知性」を大変興味深く読ませてもらいました。思わずペンをとりました。
私は呼吸器疾患があり、目下見えないウイルスに恐々としています。あまりに狭い考えに捉われていると自分が嫌になってきます。いろいろ矛盾も感じます。
テレビなどで、コロナ肺炎に関する情報を見ない日はありません。一様に便利な横文字、ソーシャルディスタンスをとってコメンテイターが登場しています。テレワークなども標準になっていくとか―。
しかし、福祉や介護や病院での仕事のようにストップするとみんなの生活が成り立たない仕事をしている人はディスタンスとか言ってられない。つうしんのこの記事を読んで、物事の多面的な見方(歴史も含めて)が大事だと気づきました。気持ちが少し軽くなったような気がします。
学びが大事、免疫力を高めるために食べものが大事と、今更に強く思いました。
(京滋会員・小西千代)
「ぼくは言いたい」を受けて、私も言いたい
5月号のコラム《よつ葉職員のぼくは言いたい》の「ちょっとした感動をお届けに」を読んで、心がほっこりしました。毎週、よつ葉さんのお届けをとっても楽しみにしているからです。
よつ葉さんの宅配を頼むようになってから数年たちます。それまでは醤油はこの店、みりんは取り寄せなど、とても大変な買い方をしていました。それが料理教室の先生から教えていただいたよつ葉さんのチラシを見てみると、今まで難儀していた商品が全部揃っているではありませんか。それからすっかりファンになり、利用させていただいております。
届けてくださる方とのお話も楽しみの一つです。今はコロナでお互いマスクをして、ちょっとしたお喋りもままならず寂しく感じております。必要不可欠の食品、生活用品、それ以上に大切な品物を運んでくださる方たちこそエッセンシャルワーカーです。これからも運転、そしてこのコロナに十分気をつけて、私たちを助けてくださいますようにお願いします。
(大阪会員・堀)