2016年のアメリカ大統領予備選挙で民主党のサンダースさんが若い人たちから熱烈な支持を集め、あわや本命のヒラリー・クリントンさんを追い落とす勢いでした。サンダースさんは今回も「国民皆保険制度」や「大学の授業料無料化」などを掲げて民主党大統領予備選に出馬しています。
このサンダースさんの政策顧問を前回の予備選から務めているのがニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトンさん。2014年にサンダースさんの肝煎りで上院予算委員会の首席エコノミストに登用されています。「財政赤字は問題ではない。格差と貧困の解決のために財政出動を」と訴える「現代金融理論(MMT)」の論客です。
去年の7月、このステファニー・ケルトンさんが来日しました。招いたのが立命館大学教授の松尾匡さんなど、反緊縮派の経済学者たち。松尾さんは先の参議院選挙では「薔薇マークキャンペーン」を行い、反緊縮政策を掲げる候補者を応援し、れいわ新選組の2人をはじめ、認定候補者10人が当選しています。
そして山本太郎さん。「消費税の廃止」を掲げ「法人税への累進制導入」と「国債の増発」を替わりの財源にあてるように主張しています。山本太郎さんとれいわ新選組の理論的支柱となっているのが松尾さんで、山本太郎さんは自分の党の選挙だけでなく「薔薇マークキャンペーン」の認定候補者の応援にもかけつけ、山形の野党統一候補の当選に一役買っています。
もう100年近く前、アメリカ発の世界大恐慌の時代に、イギリスの経済学者ケインズが「不況克服には積極的な財政出動を」と提言しました。そしてアメリカのルーズベルト大統領がその提言をとり入れ、テネシー川総合開発を行い不況を克服しました。
ところがケインズが「ただ穴を掘って埋めるだけでもいい」と言ったことはあまり伝わっていません。つまり、財政出動は人間のために使えということです。公共事業のためにお金を使っても今では機械化が進んでいてあまり人の手に渡りません。
れいわ新選組は「公務員を増やす」、しかも保育や介護の人々にもっと金を使うように主張しています。こういう人たちを公務員として抱えれば賃金の下支えにもなります。「死にたくなる社会から生きていたい社会へ」。本当にそう思います。
「おはようございます〇〇さん」、「今日はご機嫌よろしいですか」。
「さあどうかな」。こんな利用者さんとの挨拶からデイの1日が始まります。
今日の受け入れは6人。今日も皆さん元気で無事に過ごせますようにと。
奈良市の北に位置する佐保台西町の、よつ葉の配送センターの1階にある「平城山デイハウスよつば」(地域密着型通所介護事業所)は2019年10月で開設10周年を迎えることになりました。今のスタッフは3人(施設長と介護職員2人)、それに週2日2時間入ってくださる機能訓練の人。私は午前中は利用者さんとお話をしたり、ゲームをしたり歌を歌ったりなどして過ごしています。
2000年に介護保険制度ができて20年、奈良でもよつ葉の福祉の一環として定員10名の小さな「デイサービス」を始めて10年続いています。細々とした小さな取り組みですが、それでも少しは地域の福祉(介護)の役に立っているのかなとも思えるような気がしてきました。
今後この小さなデイをどうしていくのかが課題となります。スタッフをはじめとして役員も含めて皆でよく話し合い、このままの規模で続けられるところまでやるのか、それとも規模を大きくしたり、他の介護事業も取り入れて多角的に進めるのか。人はどうするのか、資金はどうするのか。考えれば頭の痛い問題です。
いずれにしてもこの間の介護の仕事を通して見ていると、私たちのような小さなデイでも「需要」があるのは間違いないので、当面の間は今の体制でできるところまで頑張りたいと思います。これから先をどのように進むかを決めるのは人とのつながり、人との関係が大切なのであって、これまで〝よつ葉〟で作ってきた人とのつながりを大きく広げるように努力したいと思います。そのことのうえに今後の進め方も大きく決まることだと思っています。
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スウェーデンの環境活動家グレタさんがメディアに大きく取り上げられる中、若い人たちを中心に気候変動対策を政府や大国に訴える活動が世界中で広がってきています。
国内では、2018年の西日本豪雨、2019年の巨大化した台風・豪雨など、年々ひどくなっていく災害が、単なる自然災害ではなく、明らかに地球温暖化・気候変動によるものだという報道が列島をかけめぐりました。しかし、一方で農業や漁業への深刻な影響は、数十年も前から叫ばれていたことなのに、状況は何も変わっていません。悪化するばかりです。
よつ葉の「2019年秋の災害支援カンパ」は被災地(生産者)へのお見舞金という形でお届けしましたが、私もそのうちの数件を訪ねました。「去年より収量は減っているけど毎年のことだから」とか「うちより他のところを優先してください」という声が多く聞かれ、「異常気象」が常態化していることを強く感じました。これからも被災地への支援を続けながら、2020年は生産者・消費者会員・よつ葉職員の連携した力で現状を変えるための努力をさらに重ねていくつもりです。みなさん、今年もよろしくお願いします。
(事務局・田中昭彦)
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