「よつばの学校」全職員向け講座 参加者感想文から
有機農業を通じた持続可能な地域づくり
お話・山口貴義さん(山口農園)
山口さんは、有機農業をしていた義父に「農業の法人化を一緒にやらないか」と誘われたのがきっかけで有機農業や法人化と向き合うことになったとか。
今の農業では、家族で夜明け前から日没まで働いてもそれに見合った対価が得られず、地元奈良の宇陀市でも1軒、2軒と農家が減り、耕作放棄地が増え続けるのが現状です。資料として頂いた『奈良食べる通信』の特集「山口農園の有機野菜」によると、一時は貴義さんの家庭も崩壊寸前に陥りいったん農業を諦めるなど、かなりの苦労を経ながら、また復帰して野菜を育て、農業生産法人の組織を運営してこられたようです。
そんななか、なんとか若い人たちがおもしろいと感じ、頑張って続けられる農業に改革できないか、と工夫した一つが生産、収穫、教育等々の「システマティックな分業」だったとか。アグリスクールを開いてその土地を循環させることでJAS有機圃場も生み出せるように工夫したり、卒業後の希望者に土地を提供したりなどで有機農業全体のつながりを広げていく運営にも感心しました。
農業ビジネスというと、携わる人同士の関係や想いなどが希薄・無機質で、金銭勘定優先的になりがちなイメージを持ちますが、そんな感じと山口農園がほど遠いのは、無農薬農業を始めたのも、いったん退いたのも、復帰したのも、農業を広げていくのも、みんな、自分たちの地域の持続と有機無農薬農業の生き残りをかけているから。また、さまざまな智慧や工夫を積み重ねた結果の組織的運営と、家族や仲間の支えあいを大切に活動される貴義さんの真面目で明るい人柄からきているのかもしれないとも感じました。「食べることは生きること」を独自のやり方とリアリティで実践されているのであって単なるビジネスではないのだと。
最後に、有機無農薬栽培だと野菜が栄養を吸収しやすい理由や、なぜケミカルな物質が土を砂漠の砂のようにダメにして行くのか? また、このまま化学物質の使用を続けると80年先の日本では食べものが生み出せなくなってしまう。だから有機農業をもっと普及させたい…など切実で、自分たちの食べる野菜を少しでもつくりたいと望む私は、今回お話を伺って本当によかったと思いました。
この社会で先長く生きる若い人たちほど「環境問題」を自分ごととリアルに捉える人が多く、〝未来をつくること〟〝地域を守ること〟にこだわる山口農園に人が集まるのも納得でき応援していきたいなと思います。
(本紙編集委員/ひこばえ・下村純子)

職員研修として実施している「よつばの学校」全職員向け講座。
9月の講師は山口貴義さんにお願いしました。
9月14日(土)、よつ葉ビル。

【第5回】バケツ稲 試してみませんか
今年も稲が実をつけました。といって、農家ではありません。素人の稲づくりです。庭先でのバケツ栽培です。稲の力のすごさに感動して続けているものです。よく実っても茶碗一杯程度の米にしかなりません。最初は、食べましたが、脱殻するのが、手作業では結構大変です。2年目からは、食べるためではなく、種の力を実感するためだけのものです。収穫した種もみを保管し、翌年またその種を蒔きます。4月ごろ播種し、10月には収穫できます。もう7年目となります。
横着極まるやり方で、農家の方からは叱られるでしょうが、バケツに土を入れ水で掻き混ぜ、そこに前の年に収穫した種もみを適当に蒔くだけです。あとは気温次第で、時間がかかることもありますが、一週間以内には大抵芽が出ます。芽が多く出すぎますが、元気そうなものをいくつか残し、後は収穫時まで水の管理をするだけです。肥料もやりません。バケツですから、暑い夏には一日で水は涸れてしまいます。朝、仕事に出かける前に、水の確認をするのが日課となります。そうすれば、ちゃんと育ちます。本当にすごい、さすが何千年と続いてきた米作りだと実感できます。
収穫時はスズメが教えてくれます。全部食べられては翌年の種が確保できないので困りますが、必ず食べ残しがありますので、心配はいりません。
ところで、今、人為的な操作で種をもてあそぶゲノム編集などが勢いを増す時代となっています。種は人為的な操作を加えるほどに弱いものになっていきます。自身でいのちを更新する力を失えばそれこそ大変な事態となります。
食は他の生き物のいのちを戴くことです。いのちのないものは食べものにはなりません。
いのちある種は人々の共有財産です。儲けのために人為的な操作を加えるなど悪意ある行為でしかありません。そんな風潮に対するささやかな抵抗のバケツ稲というと、大袈裟ですかね!?
なお、バケツ稲を試みてみようという方がおられましたら、わずかですが種もみをお分けします。

料理と楽しむパンライフ
先日、高槻生協の組合員さんが工場見学に来てくれました。パンの仕込みから焼き上げと出荷までを見学し、最近は外国産小麦製品から残留農薬が検出され、再度見直してほしい国産小麦の事などについて意見交換しました。特にハプニングもなく、お昼のサンドイッチを楽しむなど和気あいあいとした雰囲気で進みました。
そんななか、「もっと晩ご飯にハード系のパンを食べてほしい。食事パンセットを企画しているのはそういう想いがあるんです。パンが数種類あると晩ご飯が彩りよく楽しくなりますよ」という話をしました。すると「え、晩ご飯にパンを食べるんですか?」と。よくよく聞いてみると晩ご飯用に企画したつもりでいた食事パンセットも朝に食べたり、そもそもご飯(白米)のない晩ご飯なんてしたことがないというではありませんか。パンの消費量が増えているなか、お米に負けず晩ご飯の主食としての地位も得ていると僕自身は思い込んでいました。
これから寒くなっていく時期です。大人気のアップルパイやクリームパンなどを買っていただくのはすごくうれしく思います。でも「よつ葉小麦のカンパーニュ」や「クッペ」「セーグルフリュイ」などを丸ごと軽くトーストしてからスライスして、シチューやポトフなどのメニューに添えてみてください。「白パン」もおすすめです。小皿によつ葉のおいしいオリーブオイルとお塩を軽く混ぜたものを用意して、パンにつけて食べるとよりパンが進みます。
宣伝みたいになりましたが、これからはお料理と楽しむパンライフもぜひお楽しみください。
(本紙編集委員/パラダイス&ランチ・高木俊太郎)