姜尚中さんのお母さんは在日一世で日本語を書くことができませんでした。「だから何でも胸にため込んで、非常に感情の起伏の激しい人でした。書くことは忘れることですからね」と「ラジオ深夜便」で語っていました。
備忘録という言葉がありますが、これは忘れないように書いておくのではなくて、忘れてもいいように書くのかもしれません。書いて文字に残すという役割は意識しますが、書くことで忘れるという働きがあることを今まで考えたこともありませんでした。身のまわりを見ても、あまり読んだり書いたりしない人はすごく記憶力がよくて、びっくりすることまで憶えています。日記を書いたことはないのですが、アンネ・フランクは毎日の理不尽な仕打ちを書くことで心を何とか保つことができたのかもしれません。
佐藤愛子さんは「わかっていることを書くんじゃないの。わからないから書くのよ」とやはり「ラジオ深夜便」で言っていました。これも名言で、この原稿にしても題材は決めてあるものの、書くことで形がはっきりしてわかってくることがいっぱいあります。これも書くことの効用でしょう。
「ボケ防止の一十百千」というのをやっぱりラジオで聞きました。肝心な一を聞き逃してしまったのですが、あとは「1日に十人のひとに会って話をし、百の字を書き、千の字を読む」というものでした(一は一回大笑い・編集部注)。会話をすることで脳が活性化するのはまちがいありません。うちのカミさんと話していても、話題があっちへ飛び、こっちへひっくり返ってするので、こちらの脳を全開しておかないとついていけません。また、漢字を書くこともいいでしょう。例えば「胸」という字でも、体に関係する字だから月(にくづき)がいるし、音は「きょう」だから右側は世界史で習った(匈奴)の「匈」という具合にして字を作ります。
パソコン、ケータイ、スマホと便利なものが出てきて、今や手書きをすることがなくなってきました。英語はもともと26文字のアルファベットを並べるだけですから、キーをたたいているときは考える脳ではなくて運動の脳が働いているそうです。
トランプさんはツイッターが好きですが考えているとは思えません。でも日本人でもツイッターの好きな人にはトランプさんのような人が多いように思います。
一面でも取り上げている保養キャンプの一環で、子どもたちとピザ作り体験をしました。僕はよつ葉のパン屋さんなのですが、この日だけは能勢農場で石窯を使いピザ職人になります。
夕方、農場に到着すると福島から来た子どもたちは走り回ったり、その日の川遊びで疲れたのかぐったりしている子も。今からピザ生地をこねて、焼き上げるまでできるのだろうか。いきなり不安になり、「失敗すると晩御飯が無くなる」なんてドキドキしていました。
しかし、そこは土壇場に強いよつ葉! 始まれば実行委員長がビシッとまとめ、各班のリーダーは頼もしく、よつ葉の配送・事務局・生産の各所から集ったスタッフが協力し合って作り上げるキャンプはよつ葉のつながりの頼もしさと、そこから生まれる楽しさを感じさせてくれました。
子どもたちも小麦粉からの慣れない生地こねに一生懸命。皆、オリジナルのおいしそうなピザを作り上げました。
モリモリ食べておいしいと言ってくれた笑顔が最高で、僕にとっても元気をもらった保養キャンプでした。福島の子どもたち、スタッフの皆さんと関西から参加の子どもリーダーに感謝したいと思います。また来年会えるといいな。
(パラダイス&ランチ・高木俊太郎)
【署名へのご協力ありがとうございました】
2019年8月 関西よつ葉連絡会
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