「よつばの学校」全職員向け講座 参加者感想文から
「よつ葉有機」基準と農薬に
ついてのよつ葉の考え方
お話・津田道夫さん(「よつば有機」基準 起草者)起草者
「よつ葉有機」基準ができるまでの流れ、全国の生産者と一緒に話し合いを進めていったこと。有機JAS認定に疑問を持ち、よつ葉としての考え方を示したこと。また、よつ葉が地場の取り組みの中で地域の農薬使用を減らすことに貢献してきたことなど、改めて理解できました。
今回クローズアップされているネオニコチノイド系農薬のことをきっかけに、農薬に対する理解を深め、食の安全、生態系や地域の環境、農家の生産性などあらゆる観点から農薬使用について、生産者とともに活発な議論を深めて、再度、共通理解を確認していく。そのスタートになるような講座であったと思います。
私自身は知識不足、認識不足のためネオニコについてや農薬使用そのものについて確固たる意見を持っていませんが、会員さんと直接対面する現場にいるものとして、ネオニコやその他の農薬使用に関する活発な議論があるなかで、〝私たちはこう考える〟ということを語れるようになりたいと感じました。
(阪和産直・志智裕司)
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津田道夫さんから「昔の能勢農場の様子」や「『よつ葉有機』基準の成立過程」、「農薬についての自身の考え」について話してもらいました。各社に新しい職員が増えてきた中で、「よつ葉有機」について、改めて話を聞く機会になったと思います。
また、今回の議論のきっかけになった、植物体や環境への残留性が強い農薬「ネオニコチノイド(殺虫剤)」や「グリホサート(除草剤)」についてどう考えていくかという問題についてですが、「ミツバチがいなくなった」とか「パンやピザから検出された」ということから、全世界的な反対運動が広がってきています。また「発ガン性による健康被害のため、カリフォルニアで有罪判決が出された」という報道もあります。
当日、会場で質疑応答のときに、4月の全職員講座の講師・原田富生さん(地場の有機農家)は「そんなもの自分は食べたいとは思わない」と言われていましたが、僕も食べたいとは思わないこと、「よつ葉有機」基準の考え方からしても生産者自身やその家族が食べたいとは思わないということになるのではないか、という意見を出しました。
そういう問題をよく知らない農家も多いと思われるので、地場の各地区と連携して、農薬に関する新たな情報を知らせていくこと、一緒に考えていくことなど、よつば農産が持ち帰って検討してもらうことになりました。
(事務局・田中昭彦)

職員研修として実施している「よつばの学校」全職員向け講座。
6月の講師は津田道夫さんにお願いしました。
6月14日(金)、茨木市福祉文化会館。
*「よつ葉有機」基準、よつ葉生産者憲章はよつ葉のHP
「よつ葉の野菜」のページでお読みいただけます。

【第2回】循環・持続の社会を願う
私たちが仕事を始めた1970年代から今に至る時代はどんな歴史的な時代なのか? 今をよりよく理解し、これからを考えるには歴史観・時代認識を磨くことが欠かせません。歴史はできるだけ長い歴史時間、人の一生を超える時間、の中で考えることが必要です。想像力、考える力を養うには本を読むのが、私にとっての一番の方法です。
江戸から明治になった時が、今の時代が作られた始まりでしょうが、社会の土台的な変化は急速に進んでも、そのうえで暮らす人々の生活の変化はゆるやかなもののようです。社会のさまざまな側面、隅々まで変わったと実感するには相当な時間、世代が交替する程度の時間が必要です。
仕事柄、食べものの歴史上の変化が、大きな関心事となりますが、食べものの変化を決定づける一番の出来事は何かを考えると、自然とのかかわりの変化ということになります。それをもたらした社会的な要因はなにか?を考えることが重要になります。
そのような観点からみると、人々の暮らしがすっかり変わったと、実感するのが1970年代です。戦後アメリカ的な価値観がじわじわと入り込み、高度経済成長期を経て、多くの人が農村を離れ、大都市を形成します。これまでとは全く異質な社会が現れました。工業の進展が人々に一時的な「幸福感」を抱かせたこともあって、工業で稼いで、食べものは輸入すればよい、農業は二の次だと言われるようになります。自然破壊・農業基盤の破壊を伴って、工業発展がもくろまれました。
しかし、人々の意識がどう変わろうと、食・人々の生活と自然は切り離すことのできない関係にあります。それゆえ、今までにはなかったさまざまな問題を発生させることになります。その課題を食の現場から問い続けることが私たちの仕事でした。
仕事を始めてから半世紀が経過しました。工業発展は頭を打ち、成長幻想に勢いはありません。今はまた、次の時代へ変わる節目の時期にあるのでしょう。願わくば、循環・持続がキーワードとなる社会に方向転換してほしいものです。

契約栽培大豆で豆腐づくり
僕が別院食品に入社して、もう3年半が経ちました。特に、ここで働きたい!という気持ちもなく、なんとな~く働き始めたのが正直なところです。なので最初は、教えられた通りの方法で豆腐を作ることしかできませんでした。ですが今では、自分の経験を活かし、その日の大豆の状態に合わせて、ベストな「にがり」の量、また、豆乳との合わせ方を考え、おいしい豆腐を製造しようと日々励んでいます。
別院食品の魅力はなんといっても、契約栽培の大豆を使用していることだと思います。頻繁にとはいきませんが、生産者さんとの交流もさせてもらっており、無農薬、省農薬で大豆を作ることはとても大変だという話を聞きます。そうしたご苦労をされながら、別院食品に安全でおいしい大豆を届けてくれる生産者さんたちには本当に感謝し、その大豆をよりおいしい状態で会員さんに届けるのが僕たちの役割だと思っています。
この仕事をし始めてから「食」についての勉強を若干ではあるけれどもしていくうちに、添加物、化学調味料、農薬などの怖さを知り、また、それらを含む食品、飲料が当たり前のように僕たちの生活の中に存在していることに驚き、不安を覚えました。そんな中でよつ葉の取り組みは、本当に大切なことだと思い、よつ葉の会員さんたちの意識、考えはすごいものだと改めて実感しました。
他社の商品と比べて、決して安くはありませんが、それだけの価値がよつ葉にはあると思います。これからも安心して食べることができる、おいしい豆腐づくりを心がけて頑張っていきます。
(別院食品・大津智洋)