「よつばの学校」全職員向け講座 参加者レポート
ご自身のこと、若い農家のこと、
能勢の有機農業のこと
お話・原田富生さん(原田ふぁーむ)
「原田富生さんは能勢町で有機農業を実践している数少ない農家の一人」だと聞いていました。野草園の伊藤エリ子さんを通して、原田さんに初めてお会いしたのは十数年前、そのときの記憶はほとんどありませんが、柔和な笑顔と淡々と話す口調が印象的でした。その後、北摂協同農場の作付け会議でお会いしましたが、それ以来ずっと聞いてみたかったことを直接質問しました。「原田さんは有機農産物を北摂協同農場に出荷されていますが、他の農家の農産物と混ざってしまうことに抵抗はありませんか」。すると「いえ、自分には全く抵抗はありません。よつ葉さんがどう考えるかということだと思います」とのことでした。割と冷静な回答でした。
ずっと前にアグロス胡麻郷の橋本昭さんが「地場野菜では1軒の農家が完全無農薬で栽培するより、地域全体で減農薬栽培をした方が、はるかに多くの農薬が減らせるという考え方だ」と言われていましたが、宇根豊さんも減農薬米運動の中で同様のことを言われていたと思います。
昨年の全職員講座に来ていただいたサイエンスライターの水野玲子さんに農薬の基本的な知識について話してもらったとき、その中で生態系に悪影響を及ぼす新農薬の使用が全国的に広がっている、よつ葉もぜひ取り組んでほしいと言われていました。よつ葉も現時点の「農薬」に対する考え方を整理して、再度、地場農家とともに具体的な取り組みについて考えていく時期にきているのかもしれません。
そこで原田さんに質問しました。「新しいタイプの農薬が全国的に広がってきているようですが、よつ葉はどうするべきだと思いますか」。「それはよつ葉さん自身が決めることだと思います。消費者(会員)の方がどう思うかということもあると思います。確かにいまは植物体に、いつまでも残留する農薬など、昔とは違うものも出てきているようです。自分が買う立場(消費者)なら、そんなものは食べたくない」という回答でした。なかなかいい答えでした。
終わったあと、少し交流する時間がありましたが「お酒はうまいから呑む。いつでもどこでも誰とでも、うまいアテが少しあればそれだけで充分」という僕の「信条?」にすごく共感されていました。それだけでもいい人だと思います。
(事務局・田中昭彦)

職員研修として実施している
「よつばの学校」全職員向け講座。
本年度第1回目は講師に能勢の
有機農家・原田富生さんをお迎えしました。
4月12日(金)、茨木市福祉文化会館

カンパのご協力お願いします
今年も東北の子どもたちを迎え、保養キャンプを7月30日から8月4日の日程で行います。福島をはじめ東北では保養キャンプはもう必要ないという風潮が、より強くなってきています。ですが実際は、保養キャンプを必要としている子どもがたくさんいます。そんな中よつ葉で取り組んでいる保養キャンプは、子どもにとって必要であり、保養は継続していかなければならないと思います。
2年前、研修で福島に行くことがあり、さまざまな場所を訪れ、津波の傷跡を残す当時の現状を視察してきました。地域によっても違いますが、子どもの姿はまったく見かけませんでした。被ばくの影響があるので外で遊べないのは当然です。他には一方的に帰還困難区域の指定や解除が決められ、隣同士で補助金が出る、出ないという状況を作り出すのは、おかしいことです。また、他県に避難をしたくても、経済面をはじめとするさまざまな事情により、避難ができない子どもたちもたくさんいます。
放射能の影響が強く出る子どもたちは、外で思い切り遊べないことにより、たくさんのストレスを抱えてしまいます。能勢に来て自然の中で、思い切り遊び、おいしいものを食べてストレスを発散し、楽しく元気に過ごしてほしいと思います。また、保養や食事でストレスを減らすことにより、被ばくの影響を抑えることができるようです
しかし、保養を継続していくには多くの費用がかかります。つきましては一人でも多くの会員の皆さんにカンパのご協力をお願いし、これからも保養キャンプを継続していきたいと思っています。ご支援ご協力のほどよろしくお願いします。
(2019年度実行委員長/淀川産直・奥村幸一)

2018年保養キャンプで

水―ヨーロッパでの民営化
先日、ヨーロッパの水に関するDVD「最後の一滴まで」を見る機会がありました。先進国における水道民営化問題の話で、内容は民営化推進・反対の意見が紹介されていて、実際に利用する市民にとってどういう事がおこっているのか?という内容のドキュメンタリー映画です。
衝撃的だったことのひとつは、民営化にされると企業側が自治体を訴えてくる事例があるということです。水メジャーと言われる企業と自治体との契約の中身によっては、企業側が見込んでいた給水量に人口減少などのさまざまな問題で達しなかった場合、その損失分が自治体に賠償請求され、その賠償請求額が水道料金に上乗せされて、利用者である市民が支払うことになるという内容でした。知人の元水道業者の方も、「民営化して何かあれば、負担分は間違いなく料金に転嫁される」と言っていたのを思い出します。
そもそも、生きるために必要な、現代社会でも欠かせない生活用水を、営利的なものにする必要が本当にあるのでしょうか。日本でも、規制改革推進会議が主導した、水道法改正法案が昨年可決されました。ヨーロッパの事例のように、水道事業民営化は、海外でも失敗事例が相次いでいるのも事実です。いろいろ調べてみたら、「2000年から2014年までの間で再公営化事例は35か国で180件ほどもあるのに対し、日本の厚生労働省はたったの3例しか調べていなかった」という、昨年末に報道された内容にも不安を覚えたのでした。え? これ大丈夫?
(よつば農産・森 敦志)