無農薬有機栽培のお茶で産地を守りたい
童仙房茶舗 京都府相楽郡: ギフト・童仙房茶鋪の有機宇治茶セット
京都府の東南端に位置する京都府唯一の村、南山城村はお茶の品評会で何度も賞をいただいている宇治茶の名産地。村でもとりわけ高い山の上(標高500m)に明治時代に開拓された集落「童仙房」という地域があり、そこで私は代々お茶づくりをしています。茶園は標高があるため寒暖の差が大きく、おいしいお茶が摘めるといわれており、全て無農薬有機栽培です。
現在のお茶づくりに変えたのは今から39年前になります。農薬散布の際に誤って吸い込んでしまったことで体調を崩した父が「消費者に無農薬のお茶を届けたい」という強い思いで始めたのがきっかけです。当初は害虫や病気が原因で収穫量も激減しましたが、天敵の復活・茶の樹の免疫力が上がったことにより、おいしいお茶が収穫できるようになり、現在に至っております。2019年の新茶も雨が多く、肥料もよく効いたのでおいしいお茶が期待できると思います。
また数年前からは煎茶・番茶に加え、抹茶・和紅茶・烏龍茶づくりもはじめました。抹茶は茶葉を丸ごといただくものなので、無農薬のものがより安全ですし、希少なので好評です。和紅茶・烏龍茶は香りを楽しめ、おしゃれ感もあるので女性の方のニーズが高まってきています。無農薬だと一部は虫に食われますが、それに茶葉が反応し酵素を出すため、より香り高い紅茶ができ上がります。
地域一帯は古くからの高級煎茶の産地です。先祖代々取り組んできた煎茶作りが生産の柱であることに変わりはありません。伝統は守りつつ多様なニーズをくみ取り、それが童仙房のお茶の知名度をあげて産地を継続させていくことにつながればいいと願っています。
(布施田雅浩)
茶葉の収穫風景
島で農業を始めて30年
真南風 沖縄県石垣市:パイナップル、ゴーヤ
はいさい(こんにちは)! 石垣島の平安名貞市です。青果用パイナップルをメインに、冬から春にかけてはカボチャや施設野菜(ゴーヤ、ピーマン)を栽培しています。長男と従業員4名、外国人技能実習生4名(ベトナム人)と一緒に毎日バタバタ、わいわいがやがや仕事に励んでいます。
はてさて、思い返せばこの島で農業を始めてから30年。小学生の時からキビ刈りやパイン収穫などの力仕事から馬や水牛の世話などをやらされていたので、「将来、絶対に農業なんかやらん!」と思っていました。鎌を振ったり、キビやパインを担いだりで、中学生の頃には筋肉隆々、高校生の頃には見知らぬ大人から「ほんとに高校生ば?」なんて言われたりもしました。
高校卒業後、夢だった東京に行き、運送業などの仕事を経験しましたが、いろいろ考えた結果、石垣島に戻り農業をやろうと決心しました。その頃の親父はまだまだ働き盛りで畑を分けてくれませんでしたから、私は小さな区画に牛小屋を建て畜産からスタート。並行して親父の畑を手伝う日々から始まり、30年が経ちました。あれだけ嫌で仕方なかった農業ですが、今こうして考えると、頑丈な身体を作ってくれ、農業という職を与えてくれた親父に感謝しています。
昨年4月、私が代表を務めるパイン組合でAsiaGapを取得しました。これからも安心・安全でおいしい作物をつくり続けるために、息子や従業員が働きやすい環境づくりを日々模索中です。親父とは違うやり方で次世代に想いを託していきたいと思っています。
(八重山フルーツクラブ 平安名貞市)
平安名さんのへんなパイン
こだわりの無添加煮干し
長崎県漁連 長崎県長崎市:無添加煮干し、無着色ミニたらこなど
全国第2位の海岸線の長さを誇る長崎県は、多くの島々、半島を有しており、この恵まれた漁場環境を生かし、豊富な海の幸を皆さまの食卓へお届けしております。その中でも煮干生産量は全国1位、全国生産量の約27%を占めております。100ほどの団体が煮干しを製造しており、港から加工場までの距離が近く、鮮度がいい状態のまま加工できることが特長です。
煮干しの原料でありますカタクチイワシは、煮る際に真水ではなく海水を使用しております。海水を使うことにより、塩の効果でタンパク質が固まり、旨み成分をとじ込めおいしい出汁をとることができます。また、そのまま食べてもほど良い塩加減でおいしい煮干しができあがります。一般的に魚は、脂がのった方がおいしくいただけますが、煮干しにおいては、脂が多い場合酸化するため、なるべく脂が少ないものを選び煮干しへ加工しております。
調理の簡便化が進み、煮干しから出汁を取ることが少なくなってきている昨今ですが、私たちは酸化防止剤不使用の、生産者のこだわりが詰まった煮干しを一人でも多くの方々へ味わっていただけるよう努力を重ねていきたいと思います。
現在、水産業は国際的な漁業規制の強化、漁師の高齢化、水産資源の減少および漁場環境の悪化など、漁業を取り巻く環境は依然厳しい状況にあります。これを補う沿岸漁業においては、今後ますますその役割が重要になると認識しております。この青く美しく豊かな長崎の海を次世代へ引き継ぎ、安心で安全な海の幸をみなさまの食卓へお届けできるよう努めていきたいと思いますので、今後とも長崎県の水産物をよろしくお願い致します。
(大塚 徹)
鮮度良し! 味よし! 煮干し作ってます!
無農薬にこだわる
くまもと有機の会 熊本県:春ごぼう、人参
早いもので農業を始めて25年の月日を過ごしてまいりました。当時は、無農薬栽培の米作りと言えばほとんどの方が合鴨農法で、私の住むこの地域でも20名近くの方が環境保全のための農業に取り組まれていました。
もともと農家の長男でもあり、しばらくの間会社勤めをしていましたが27歳の時、就農することにしました。どのような農業をしたいか、どんな野菜を作りたいかと本屋で農業誌を探しているうちに、化学肥料では野菜本来の味は望めず、「おいしい野菜は有機質を発酵させたぼかし肥料で味が決まる」ことを知り、一つの田んぼを自由に使わせてくれということで、始めることになりました。また、近所の先輩が無農薬栽培をされており、その先輩の影響を受けて、こだわった農業へ興味が湧いていき合鴨稲作から始めました。
それと同時期に、父の友人からくまもと有機の会へごぼうを出荷できないかという誘いもあり、それからです、徐々に無農薬栽培の面積を増やしていき現在に至っています。
くまもと有機の会では一定の期間、生産者が自分たちの育てた野菜を直接消費者へ宅配する仕組みで運営されていました。野菜を出荷し始めて正組合員となり私も宅配を半年間週2回、消費者へ手渡ししてまいりました。
雨が降ろうが、台風の時であろうが、しんどいと思いながらも朝早くから仕分け作業をし、箱に入った野菜たちを会員さん宅へ届けに行きました。直接手渡すことで、温かい言葉をかけていただき、元気をもらったり、体質的に通常の食べものでは、不都合を生じる方やいろいろな人とふれあい、強く無農薬農産物の必要性を感じることができた経験でした。このことは、20数年たった今でも無農薬にこだわる原動力になっております。
先日、よつ葉さんの交流会に参加させていただきました。帰郷して数日後、くまもと有機の会へ1通のメールが届いていました。同席の方でした。いつも食べている野菜の生産者と会えて、野菜や果物がより一層身近に感じられるようになられたそうです。もちろん、私の方こそ本物のおいしい野菜づくりにこれまで以上に頑張ろうと元気づけられた交流会でした。おいしい野菜づくりに励みます。
(村上活芳)
ごぼう畑
村上さん
「沖縄カカオプロジェクト」で沖縄を応援したい
ネパリ・バザーロ 土屋春代
■ 沖縄産カカオの夢
私は昔から沖縄の苦難に心を痛めつつ、何もできないことが申し訳なく、いつか仕事でつながれたらと思っていました。そんな折、ネパールから長年輸入していたチリの通関手続きが困難を極め、限界を感じて国内産に切り替えることになり、沖縄でチリの生産者を探すことに。本島北部で地域の障がい者の就労場所の一つとして、農産物加工会社を経営する女性と出会い、2017年2月に現地を訪問し、お付き合いがはじまりました。そこからさらに長期的な取り組みとして沖縄で新たな産業を興したい、カカオはどうだろう?と思い立ちました。熱帯植物で日本での栽培は厳しいと言われましたが、少しでも可能性があると思うと諦めきれませんでした。そこで、ネパールや東北で仕事を必要とする人々と農産物を加工し仕事づくりをしてきた経験を活かし、いつか栽培を成功させ、そこから国産チョコレートを作る「沖縄カカオプロジェクト」を2017年5月に立ち上げました。
■ 沖縄での仕事づくりと福島の子どもたちの保養支援
3.11東日本大震災以降、支援している東北の被災地で、ますます問題の深刻化が危惧される福島。福島県や周辺地域に住み、放射能の影響を大人以上に強く受ける子どもたちの健康被害を少しでも減らそうと民間で運営されている保養施設の一つ、沖縄・久米島の「球美の里」の支援も合わせて取り組みたいと思いました。子どもたちにとって保養はとても重要です。少し離れた地域で生活し、安心な食事をとり、思いっきり外遊びをしたり、動植物と触れ合うことでストレスからも解放され、免疫機能も改善すると言われています。チェルノブイリ原発事故では30年以上経った現在も保養は続けられています。通年で保養を受け入れている「球美の里」は貴重な存在ですが、主な収入源は寄付で、今後運営が厳しくなることが予想されます。カカオプロジェクトの売上の一部を寄付したいと思います。
カカオの苗は名護市と久米島で育てていますが、直ぐには実がなりません。沖縄産カカオでのチョコレートづくりにはまだまだ時間がかかります。今、仕事を必要としている人のために。支援を必要としている人のために、待っているだけではなく、南インドのカカオを取り寄せて商品づくりをすることにしました。
■ つなぐ、つながる、これまでも、これからも
ネパリ・バザーロは長年、ネパールの人々とオーガニックの紅茶やコーヒー、スパイスなどの農産物を通して仕事をしてきました。その時にお世話になった国際有機認証機関の検査官に相談し、オーガニックカカオを栽培する南インドの農家の方たちをご紹介いただきました。2018年11月の初入荷以来、チョコレートなどの試作を重ね、まず、カカオニブを活かした商品を発売できるところまでに至りました。
つながる人、みんなが笑顔になる、それを目指してこれからも長い道のりを歩んでいきます。ともに歩んでいただけたら、仲間になっていただけたら、とても有難く、これほどうれしいことはありません。
*沖縄カカオプロジェクトの仲間、「カカオフレンズ」を募集しています!
詳しくはhttp://topics.verda.bz/feature/2019/03/04/post-26/をご覧ください。
カカオロースト作業
カカオの苗
カカオ豆を選別する作業所の仲間
Copyright © 関西よつ葉連絡会 2005 All Rights Reserved.