(西京都産直・井川吉光)
詳しくは今週配布する「おともだち紹介キャンペーン」チラシをご覧ください。
2014年5月に関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認めない判決(大飯判決)を下した(その後2018年7月に控訴審において取り消された)福井地裁元裁判長の樋口英明さんが、先日大津にて講演されました。
樋口さん自身も福島第一原発事故までは原発の安全性を信じていたと明かし、原発事故とその後の裁判の過程で「原発の怖さを心底知ってしまった」といい、その判断が覆された今、自分の考えを伝えていくのが使命という強い決意を感じる講演となりました。
実は僕自身、訴訟の内容よりも、強い関心があったのは、なぜこのような「勇気ある判決を下せたのか」という点にあったのですが、「大飯判決は圧力に屈することなく自分の信念に従った勇気ある判決」という評価については、「話としては面白いし、わかりやすい。しかし私自身は圧力は感じなかったし、決断に勇気をふるうことはなかった」とあっさりと否定されました。
確かにこの日の講演を聞けば大飯判決は「道理にかなった判断」であることは明白です(3月9日びわこ集会の講演の模様がネットで観れます、ぜひ!)。しかし、例えば、樋口さんは差止判決のあと家庭裁判所に異動になりました。本人は圧力とは感じていないといっても、他の裁判官(特に未来ある若い裁判官)はこのことをどう受け止めているでしょうか。樋口さんは「どのような出来事を圧力、示唆と受け取るかは各裁判官の姿勢にかかっている」と語られます。しかし、裁判官に限らず、政治家もメディアも、企業も、そして個人さえも、世の中や「権限を持つ者」の「空気」に勝手に怯え、委縮しているように感じます。
「少なくとも権限を持つ者は、何ものにも支配されず、気概を持って行動してほしい。そして、その権限は皆さん一人ひとりにもあるのですよ」と樋口さんは語っているような気がしました。
大飯判決が圧力や勇気といった物語で語られるうちは、原発は止まらない。ぜひ、樋口さんの言葉を聞いてほしい。そして自分自身で考えてほしい。
(本紙編集委員/京滋センター・光久健太郎)
3月9日「びわこ集会」で発言する樋口さん
原発事故を起こさせないために
(京都南産直・中井秀樹)
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