ごまと共に130年
和田萬商店 大阪府八尾市:ふりかけなど
和田萬は大阪・天満にある創業1883年の、ごま焙煎メーカーです。私たちは日本の食文化を大切にしながら、どの世代の方にも一番おいしいごま商品を食べていただきたいという思いで、主に次の3つにこだわって取り組んでいます。
まずは「ごまを育てる」。和食には欠かせない食材なのにもかかわらず、日本で食べられているごまのほとんどは海外からの輸入品です。そこで、自分たちで育てよう!と、2010年から自分たちでごまの栽培をはじめました。
奈良県にある畑で土を起こし、種をまき、草刈りをして、収穫まで行っています。早朝5時ごろから畑に行って草刈りをしてから出社して日々の業務をする、ということもあります。夏はあまりの暑さに大変さを感じることもありますが、自社で国産ごまを栽培するようになって、日々の仕事に対する考え方はずいぶん変わりました。今は地元の農家さんや、考えに共感してくれる方たちも集まって、参加者が年々増えてきています。
次に「自家焙煎」。焙煎といえば、まずコーヒーが思いつきますが、ごまも同じく焙煎がもっとも重要な仕事です。焙煎とは、収穫されたごまに火を入れて、味や香りを引き出す、いわば命を吹き込む仕事。現会長の4代目・和田悦治は40年以上、朝から晩までごまと向き合い、現在も焙煎し続けております。
最後に「伝える」。ごまは基本的に料理の脇役で、素材を引き立たせる調味料です。だから、どのように調理して食べてもらえるか。そして和食にとって、ごまはどんなに大事な存在か。和田萬に聞けば、なんでもわかる。そんな説明係も担っていきたいと思っています。
これら3つの思いを胸に、おいしいごま商品を皆さまにお届けできるよう、日々の仕事に精進していきます。
(和田武大)

ごま畑で参加者の皆さんと
無塩せきハム 作り続けて
札幌バルナバフーズ 北海道札幌市:北海道産無塩せき生ハムなど
1979年に「本物のハムをつくりたい」という情熱を持った4人から始まり、今年で創業39年目。社名の「バルナバ」はヘブライ語で優しさ、親しみという意味があり、多くの人に親しまれ愛される会社、商品になるようにという思いがこめられています。
かたくなに本物を追求し続けた彼らの志は、「札幌バルナバハム」のこだわりとして深く浸透しています。本場ドイツ式のハム・ソーセージ製造を大切にしているのも、私たちのこだわりの中のひとつ。ドイツ農業協会(DLG)が主催する国際品質競技会では2003年から14年連続金賞を獲得しています。
また、北海道産の豚肉やおいしさを引き立てる香辛料など、素材選びにもこだわっております。
さて、昨今「無塩せき」のハム・ソーセージの需要が高まっています。無塩せきとは何かと言うと、原料肉を漬け込む工程で発色剤(亜硝酸ナトリウム)を使用せずに漬け込むことです。私たちは33年前から学校給食向けにも無塩せきの商品を作り続けています。その中でも「北海道産無塩せき生ハム」は北海道産の豚ロース肉に羅臼の海洋深層水塩を1本1本全て手作業ですり込み、100日間熟成。熟成している間、表面にカビが付着するのを防ぐため、日々の手入れを欠かさず丁寧に作り上げております。
磨かれた技術・惜しまぬ手間・じっくりと時間をかけて作り出される札幌バルナバハム。オリジナル性を持った安全でおいしいハム・ソーセージをぜひお試しください。おいしさとともにまごころもお届けします。
(高野正義)

こだわりの生ハム
京都大原野から旬の幸
京都義の 京都府京都市:朝掘り京筍水煮
100年以上続く筍農園で、皆さまに安全で安心な京都の本物の味を食べていただきたい、その思いひとつで筍を育てています。
筍栽培は一年を通して重労働ですが、少しでも手を抜くとよい筍はできません。成長の早い竹は春の間に一気に大きくなります。なのである程度大きくなった親竹の成長をとめるため、竹を揺らして穂先を1本1本折っていきます。そうすることが筍の質の高さに左右します。そして夏になり、毎日雑草との闘いです。広い竹林を手作業で手入れするのはとても大変な作業ですが、良い筍を作っていくことを思うと、できる限り人の手で行うようにしています。秋はお米の収穫が終わると冬に備えて藁を運び、竹畑全体に広げ藁の絨毯を作ります。そうすることで保湿、保温効果が得られ、筍の栄養にもなります。そこから寒い冬に入り、大原野特有のテンコ(粘土質の土)を竹畑の斜面から削り、一輪車で1杯ずつ藁の上にかぶせます。秋から冬にかけて毎年この作業を行い、新しい土をかけてやわらかい土壌をつくっていきます。このやわらかい粘土質の土壌が、筍にストレスをかけず、真っ白な極上の筍へと育てます。
こうして、年間を通して手入れをした竹畑から育つ「京都大原野産筍」は、朝掘りをその日のうちにゆがくので、「あく」や「えぐみ」が少なく、やわらかい食感で甘みもあります。筍ご飯、若竹煮などいろいろな料理で、京都義のが自信を持ってお届けする旬の幸をお楽しみください。
(能瀬義弘)

鍬を使って筍を掘り出す
島原半島の春野菜 お楽しみに
長崎有機農業研究会 長崎県:じゃが芋・玉ねぎ・トマト・アスパラ
平成も終ろうとしていますが、私が農業を本格的に始めたのも、平成が始まった年からだったと思います。会社勤めを辞め、親父から農業を継いでくれといわれ、やり始めたのが30年前。その頃はジャガイモと玉葱が主体で、父親に言われるがまま化成肥料・化学農薬を使う、いわゆる「慣行栽培」を行っていました。
その頃、すでに長崎有機農業研究会の会員になっていた福田勝幸さんと知り合い、有機栽培農産物と特別栽培農産物のことを教えてもらい、「お前もやってみんか」と誘われ、入会しました。あれから30年。あっという間の30年でした。
当時は今のように、有機肥料が市販されておらず、個人が2~3人共同でボカシ肥料を作っていました。そこで、当研究会では、ボカシセンターを建設し、会員全員が共同作業を行い、手間隙かけてボカシ肥料を作るようにしました。現在は市販の有機肥料が充実して手に入るようになったので、作物に応じた有機肥料を購入し使っています。春から夏は、ジャガイモ・玉葱・南瓜、秋から冬はレタス・キャベツ・ブロッコリー・秋ジャガイモと、年間を通してお届けしています。
この産直活動を通して、「おいしかったよ」とお言葉を頂くことがうれしく、また、頑張ろうという元気のもとにもなります。時には厳しいお言葉もありますが、それは勉強できる機会だと受け止め、今後の栽培改善へとつなげています。
結婚して神奈川に住んでいる娘が小学校低学年のころ、「おうちの玉葱とレタスが一番おいしい」と作文に書いて発表してくれた時は、涙が出ましたね。今では関東の生協会員となり、「(私たちの野菜や果物を)注文しているよ」と言ってくれます。
今年の冬は九州でも暖かいです。島原半島の雲仙普賢岳の雪化粧も数えるくらいしかなく、野菜全品目、10日から半月以上、生育が進んで前倒し出荷となっています。今後、地球温暖化が進み、暖冬の年ばかりになるのでは…と不安になります。やっぱり冬は寒くなくっちゃ、農家も困ります。これから島原半島の段々畑から、春野菜のおいしいものが収穫できそうです。楽しみに待っていてください。
(酒井武信)

ジューシーオレンジが出荷時期
佐伊津有機農法研究会 熊本県:ジューシ―オレンジ・ミニトマト・きゅうり
私たち佐伊津有機農法研究会は、熊本県の天草にあります。天草は、四方を海に囲まれて、温暖な気候のため、柑橘の栽培が盛んな地域です。小さい島のため、化学肥料や農薬の多用は、すぐに海に流れ、海を汚すことになります。少しでも環境に負担をかけないよう心がけています。
今の時期からは、ジューシーオレンジが出荷時期になります。ジューシーオレンジは「木成り完熟で収穫しながらの出荷」になり爽やかな味で、春先から初夏まで収穫・出荷しています。ジューシーオレンジは、収穫時期により果肉の状態が変化するため、ぜひ毎月食べてみてください。
柑橘類については、化学肥料を排除した魚粉・骨粉・油粕などの有機肥料だけを使用しています。近頃、生産者の中でよく話題になるのが天候についてです。数年前には「異常寒波」、南国天草でも20㎝くらいの積雪がありました。今は異常気象ばかりで特に難しいとぼやいている生産者もいますが、こればかりはどうすることもできません。自然(気候)とうまく付き合いながら、「安全でおいしい作物」を作ることに努力していきたいと思います。
もう一つの問題が「生産者の高齢化・後継者不足」。全国的な問題と思いますが、せっかく築き上げた「消費者の方との絆」、地域の農地、農村維持のためにも「近所の後継者」との考え方や、今年1件ありましたが、定年退職後のUターン後継者など、産直が継続していけるようにしたいと思っています。
(明瀬文男)
