沖縄の伝統食を守る
琉球うりずん物産 沖縄県宜野湾市:とうふよう、じーまーみ豆腐など
琉球うりずん物産は、1973年に創業しました。当時は一部の方の嗜好品として食されていた「とうふよう」を、古来の口伝や古文書を元に私の祖父が復元。そこからレシピを確立し、商品化に結びついたことで販売を開始します。しかし、そんな歴史あるお総菜でも、当時はまだ各家庭の食卓にあがるには大変珍しく、味と名前を知ってもらうだけでも大変な苦労がありました。現在も少しずつ知名度はあがってきましたが、まだまだ普及したとは言い切れないのが現状です。
もう一つ、私たちが創業当時から作り続けている「じーまーみ豆腐」は生の落花生をすりつぶして絞り、豆乳をタピオカでんぷんで練り固めたシンプルなお惣菜。沖縄でも好評で、甘いタレは和のスイーツとしてもお惣菜としても食べられる定番の人気があります。原料は千葉・八街産の落花生。国産落花生は今では価格の高さ以上に入手そのものが難しく、40年以上おつきあいのある農家の方から協力いただいております。
昨年7月にも落花生を集める問屋さんと近隣の落花生畑を訪ね、生育が順調な様子や農家さん問屋さんの安心した顔が印象的でした。こうした関係も日本の農家を応援してくださる皆さまの支えがあって実現できております。今後も食に対する安心安全を念頭に、沖縄の食文化の発展を願い、皆さまの信頼に応えられる食品メーカーとして社員一同、努力してまいります。
(久高直也)
後方中央が久高さん
平安の昔から京都の誇るみすや針
京都本みすや針本舗みすや忠兵衛 京都府京都市:ほつれのんなど
1819年、京都松原の地に、京都本みすや針本舗「三栖屋忠兵衛」として創業以来、針屋一筋に営んできました。その昔、平安時代に公家などの御殿の大奥に「御簾」を張りめぐらした中で謹製した針が「みすや針」の発祥と伝えられています。
みすや針の特徴は、針の中程から自然と細く仕上げており、正宗の名刀を生んだ独特の製法「焼入焼戻法」で針の堅さとねばりを出すよう鋼鉄を鍛え上げます。市販の針はローラーで横磨きをされていますが、みすや針は手間のかかる縦磨きをしており、大変スムーズに運針が得られるのが特徴です。また針穴は、丸い穴の丸穴と楕円の穴の溝穴とも針の太さに合わせてあけており、穴の内側も糸切れを起こさないようにきれいに磨き上げております。
ファッションは和装から洋装へ移り変わり、パッチワークや刺繍など針の用途も変わってきました。これに合わせて、みすや忠兵衛では伝統を代々受け継ぎながら、時代にあったみすや針の考案や改良を行ってまいりました。いかなる針仕事であれ、用途にあわせた針をご用意させていただき、楽しみながら思いを紡いでほしいと考え、縫い人の想いに応える針を作り上げております。
現在、みすや針の屋号を掲げる針屋はたいへん少なくなりました。そんな中でも、忠兵衛印のみすや針は今もかわらず職人から一般の方々まで幅広くご愛用いただいております。
(山口忠洋)
針の穴開け工程を手作業で行っていた時の様子
本場の薬膳カレーをお届け
ハティインドレストラン 三重県名張市:わくわく定期便ハティの本格インドカレーコースなど
2005年に大阪府八尾市で始まったハティインドレストランは、多くのお客さまに惜しんでいただきながらも去年の暮れにその歩みを終えました。次は三重県名張市の自然豊かな環境の中で、新たなハティをオープンします。そこは赤目四十八滝や香落渓、曽爾高原が近くにあり、インドには無い景色を身近に感じることができることを楽しみにしています。
思い返せば21年前に単身日本に渡り、下積みをして独立し、オープンさせた念願の小さな店が八尾のハティでした。人情味あふれる多くの素敵なお客さまに愛され、楽しい思い出が詰まった店でした。日本の皆さまに本場の薬膳カレーを味わっていただきたい!という思いで、体に優しく、舌においしいカレーを探求してきました。そしてお子さんから年配のお客さまに至るまで「わぁー! おいしい!」と目を輝かせてくださるその様子をただ励みに頑張ってまいりました。次は名張のおいしい水とおいしい地野菜を使った、カレーとナンを皆さまに楽しんでいただけるよう努力していきます。
さて、今年の「わくわく定期便春夏号」では名張の新しくなったハティインドレストランから、皆さまの食卓にカレーとナンをお届けできることをうれしく思います。寒さが厳しいこの季節、内臓から温める生姜やにんにく、そしてスパイスを上手に取り入れて、寒さに負けないお身体で元気にお過ごしくださいませ。
(シャルマ・サンジェイ)
名張の新店舗は3月頃にオープン予定!
初心忘れず…
熊本・松村さんグループ 熊本県:いちご、白菜かぶら
私が住んでいる地域は熊本県の中央、江戸時代後期の干拓でできた地域です。南に八代平野が広がり広大な農地が広がっています。昔はイ草栽培が盛んでしたが、今は施設栽培のトマト類、露地栽培のレタス、キャベツ、ブロッコリーが盛んに作られています。
我が家では祖父、父の代はノリ養殖をしながら、田畑を作っていました。その後ノリ養殖はやめて、施設園芸(メロン)を取り入れながら、有機農業に取り組み始めました。そんな父の姿を見ていく中で農業の楽しさ、生協とのつながりの中で、消費者の「おいしい」の言葉や、手紙など直接声が聞ける喜び、そのことが農業をやろう、後を継ごうとの思いとなりました。
今、国の政策でもある大規模農業への転換が盛んに行われています。私たちの地域でも農業法人や組合などが増えています。研修制度を使い多くの外国人が働いています。企業化されることにより、大量に生産されます。そのことで価格、労働といろんな問題が出てきそうです。一方、中山間地域では家族経営を中心とした有機農業が盛んに行われている地域もあります。農業を目指す若い人たちも数多くいるようです。
現在、我が家の経営は米、ブドウ、ニンニク、レンコン、大根、カブは有機栽培、イチゴ、ミニトマトは省農薬栽培で作っています。労働力はベトナムの研修生二人と私たち夫婦です。雇用を増やし規模拡大とも考えました。規模拡大すると私は、農業者と言うよりも経営者になる気がしました。【初心忘れず】です。高校生の時見た消費者の「こんなおいしいブドウは初めて食べました。また食べたいです。頑張って作ってください」の手紙、農業を始めるきっかけとなった、直接声が聞ける喜びを大切に、家族経営でより良い作物を作り、よつ葉の会員の皆さんと共に生きていきたいです。
(松村和則)
松村さんご夫妻
目の前の景色を全てオーガニックに
高生連・四万十オーガニック 高知県:いんげん、菜の花
私たちは、「清流四万十川流域の自然や、食べる人の健康をずっと守っていこう。そんな農業をやっていこう」という想いで有機農業に取り組む農家グループです。 新規就農者への農業機械(トラクター・管理機・マルチャーなど)のシェア・農家のためのシェアハウス・冷蔵庫や出荷場のシェア・土地の紹介など就農する方へのサポートもしており、地域に有機農家を増やす取り組みをしています。
基本的に農薬・化学肥料不使用で全ての品目を栽培しており、四万十川流域の刈草で堆肥を作っています。刈草には良質な微生物がたくさん! これを土に入れ有用微生物を増やすと、土がふかふかになり、作物が病気にならず、しかも栄養豊富な野菜をつくることができます。作物は、生姜・菜花・豆類・カボチャ・サツマイモ・ジャガイモ・玉ねぎ・オクラ・ししとう・柚子などをグループで育てています。
今後の展開としましては、「目の前の景色を全てオーガニックに変えていく!」そんな想いをもって、土地を借り受け、有機農家を増やしていきます。よりおいしく、よりたくさんの種類の作物をつくって、皆さまに年中おいしいオーガニックの野菜が届けられるように取り組んでいきます。
どうぞ、これからも四万十オーガニックをよろしくお願いします。
(鳥谷恵生)
「無農薬栽培」は「農薬」をかけないということではない
納豆工房 豆むすめ 佐藤あい子 佐川 和也
「この大豆は無農薬ですか」
「無農薬って薬を使わないで、人が手で虫をとったりするのですか、大変でしょうねぇ」とか言われます。
農業は自然界のバランスの中で
当社の栽培面積は全部で13ha。一枚の農地にすると、幅が100mの農地が約1.3kmつづくことになります。その農地に大量の虫が発生したら、人手では取り切れません。虫は卵、幼虫、成虫と育っていきます。成虫(青虫など)をいくらとっても、卵までは取り切れません。
私たちは、虫を大量に発生させないことに心を配っています。少しであれば天敵がいます。害虫を食べてくれる、てんとう虫やかまきり、蛙や蛇などもいます。鳥などもおおむね私たちの味方です。
その要の要件が化学肥料を絶対にいれないことだと私たちは信じています。「化学肥料」という名の肥料は、工場で生産したれっきとした化学物質です。これは、虫やみみず、鳥の食べものにはなりません。なぜなら自然界のミネラルがゼロだからです。これを肥料として蒔きつづければ、土はミネラルを失って、生き物の住めない死の土になるのです。
最大の難関は雑草との戦い
どんなに作物が元気に育っても、雑草はもっと元気に育ちます。なぜなら、その土や気候に最も適応したものが生えて育っているからです。少しでも早く背を伸ばし、葉を広げて太陽を独占しようとします。つまり、太陽光線の奪い合いです。この戦いに人が植えた作物はとてもかなわないのです。この奪い合いに負けた植物はひょろひょろとして、花をつけても実を育て完熟させることができません。私たち人間は、植えた作物をこの戦いに勝たせるために必死になります。
つまり、除草との戦いです。早期除草(草の芽が出たらすぐに土をかぶせ、草を枯らす)などの作業をしますが、最後は人手による除草しかありません。
年々、天候が厳しくなってきました。真夏の炎天下の除草は本当に大変で病人が出るほどです。
農薬も除草剤も全く無縁なのでした。「納豆 豆むすめ」の大豆そのもののおいしさは、その結果なのです。
前列右から2人目が佐藤さん
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