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「種子の独占」に対抗するために
大切にしたい種のこと
関西よつ葉連絡会・田中昭彦 ▼7面に関連記事
始まりは種
よつば農産・深谷真己
種が危ない!
「種が危ない!」と随分前から指摘されていました。食べものの一番おおもとになるのが種ですから、その種をすべて押さえられてしまうと、押さえたところの言いなりになるしかなくなります。利潤追求が目的の多国籍企業が種を独占すれば、当然、効率重視で単一品種大量栽培の野菜ばかりとなり、私たちの食べものの選択肢も狭められてしまいますし、栽培方法まで指定される(農薬と化成肥料のセットでないと種を販売しない)ことも十分あり得ます。種が限られてしまえば、予期せぬ状況変化(病気や天変地異)に対する生命の対応力の選択肢も限定され、壊滅的な状況になる可能性も高くなります。
種を守る仕組みづくりを
TPPに対応するためのような突然の種子法廃止と種苗法の改定が行われ、農家の権利としての種採りが原則禁止という状況になりました。食糧難に対応できるのは「持続可能な家族農業」なのだという世界的な潮流に逆行しているとしか言いようのない国の政策です。それに対抗していくためには、まず自分たちの身近な所で「種を守る」「種を採る」こと、それが循環していく仕組みを考えることから始めようと思います。
昨年9月の「よつばの学校」公開講座で、長崎県の有機種採り農家の岩崎政利さん(写真)は、在来種・固定種だけでなくF1と呼ばれる一代交雑種も含めて種採りの楽しさと大切さを語ってくれたのですが、手間暇かかる種採りの大変さも、何よりもその種採り野菜だけでは農家の経営は成り立たない現状も伝えてくれました。在来種や固定種野菜は収穫時期も形質も不揃いになりやすく、なかなか継続して購入してくれる人は少ないことも。
地場旬菜の取り組み
よつ葉の地場野菜の取り組みの一つに「旬菜会員」があります。地場農家がこだわって育て続けてきた野菜や珍しい野菜を、旬菜会員に事前登録してもらった会員の皆さんに、一番おいしい時期に届ける仕組みです。
実はこの「旬菜」の中には種採りを続けてきたものもあります。旬菜は農家から事前に登録申請してもらって検討する形なので、申請されていないだけで種採りしている野菜がまだまだあるのでは? 今、地場農家に呼び掛けて種採り状況を集約中です。
よつば農産が知らないだけで意外と多いのか? 少ないのか? 多ければ、それを活かして会員の皆さんへ種採り野菜として届ける仕組みを、少なければ、農家の皆さんへ種採りを呼び掛けて増やすことからまず始めます。
順調に種採り野菜と種採り農家が増えていけば、将来的には地場の種採り野菜の種を集めて保管し、農家に種を貸し出して育ててもらい、種取りして増やした種の中から貸し出した量を戻してもらう、そんな循環する仕組みが作れたらと思います。
種採りできる野菜苗
会員の皆さんには、毎年5月の定番「地場の野菜苗」に加えて、種採りのできる固定種の「ミニトマト」と「きゅうり」を限定300くらいずつ案内する準備を始めています。地場の育苗農家の霜さんが固定種の育苗にも挑戦してくれます。野菜の姿を種になるまで見届け、種が採れたらまたその種を播き、野菜を育てる。種を始まりとした命の循環を実感できる取り組みが成功すれば嬉しく思います。ぜひ会員の皆さんもご一緒に、この種採りの取り組みにご協力ください。
2018年9月9日「よつばの学校」公開講座で
種の話をしてくださった
岩崎政利さんの畑(長崎県雲仙市)
期 日:2019年2月23日(土) ~ 24日(日)
会 場:都ホテルニューアルカイック(阪神尼崎)
①講演会「3.11から8年 放射能汚染の現状を考える」
・講師:今中 哲二さん(京都大学)
②パネルディスカッション「憲法と平和と私たちの暮らし」
・パネラー:弘川 欣絵弁護士ほか
③ライブ「世界に届け! 琉球の唄」
・出演:南ぬ風人 まーちゃんバンド
④懇談会「種子を巡る世界の情勢と国内の動き」
・基調提起:内田 聖子さん(PARC共同代表)
※詳しくは、こちら
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