いのちのプロセスを見つめる
日本ホリスティック医学協会関西支部
「ホリスティック」という言葉を聞いたことがありますか?
ホリスティック(holistic)は、ギリシャ語のホロス(holos)を語源としていて、これから[whole](全体)や、[health](健康)、[heal](癒える)などの言葉が生まれました。「全体性」「つながり」「全的」「包括的」などと訳されています。
いのちが芽生え、この世界に生まれ、呼吸し、食べ、笑い、考え、感じ、体を動かし、出会い、愛し合い、また宇宙に帰っていく人生の道中には、病いのときも、健やかなときもあります。老いも病いも、喜びも悲しみも、それら全てを内包した「いのち」のプロセスにまなざしを向け、目に見える物質としての肉体だけではなく、目に見えない精神や思考、感情、霊性など、いのち全体を見つめることが大切です。
わたしたちNPO法人日本ホリスティック医学協会では、人間をまるごと全体としてとらえるという医療の考え方を、わかりやすい言葉で広く知っていただく活動をしています。
ホリスティックな健康観とは、わたしたち自らの中にある治癒のプロセス(自然治癒力)を尊重する健康観でもあり、個々のいのちを尊重することは、持続可能な地球環境を尊重するライフスタイルにもつながります。特定の療法や治療に偏ることなく、さまざまな手段を選択・統合して最も適切な治療を行うことや、さらには病いというネガティブなもののもたらす意味への問いかけなどについても、多様な視点から学んでいます。
関西支部ではホリスティックな健康観、自然治癒力を原点においた生き方を学ぶ場として、主に大阪を中心に隔月でフォーラムを開催しています。また2年に一度、著名な講演者をお招きしてシンポジウムを開いています。どなたでもご参加いただけます。どうぞお気軽に、そして真摯に、足を運んでいただけますことを楽しみにしています。
(大阪会員・林 広子)
関連サイト
*NPO法人日本ホリスティック
医学協会本部ホームページ
http://www.holistic-medicine.or.jp/
*関西支部ホームページ
https://www.holistic-kansai.com/
(大北食品・松本和巳)
大阪湾の魚をさばく 手ほどきする松本さん(奥)
まずは働き方改革?
朝岡 和(兵庫いきいきコープ組合員)
食料自給率が低いのに、TPP参加や種子法の廃止など、農業をすたれさせようとしているのか、この国は? では、どうしたら自分たちの身を守れるのか、そのヒントになればと思い参加しました。何も知らないよりは、知っておいた方が何かの役に立つかと思いました。
岩崎さんのお話は、野菜に対する愛を感じさせてくれるものでした。全てのものに物語がある。そして、いろいろな生物(人間)がいる中でどう生かしていくか、地道な努力のもとにいろいろな種ができるし、面白味も出てくるなと思いました。
何度も言葉にされていた、「生物多様性」「伝統を守る」ということに心をうごかされました。野菜だけでなく、私たち日本人のあり方も考えさせられる講演会だったなと思います。
また、〝種をあやす〟(種の世話をすること。種をもむ作業が、赤ちゃんをあやす様子に似ているところから・編集部注)という岩崎さんの言葉が、子をあやすみたいで、次の世代につないでいく表現のようで好きでした。今、子育て真最中ですが、今回のお話を聴きながら、子どもたちとも自分ともちゃんと向き合いたいと思いました。
(川西会員 M・T)
* * *
(京滋会員 M・O)
岩崎政利さん(日本有機農業研究会、長崎県雲仙市)。
ハービスENTにて。
このたび、青森の産地交流会に参加させていただき、さまざまな体験をし、充実した2日間を過ごすことができました。
1日目はあいにくの雨で、深浦町の長尾さんの畑でのじゃが芋掘りはできませんでしたが、昼食で収穫されたじゃが芋を頂きました。ずっしりとした大きなじゃが芋でホクホクとした味は格別でした。関西の人には、あまりなじみのない手作りのイカの塩辛との相性は抜群でした。
その後、五所川原市の立佞武多の館の見学をさせていただき、青森の風土、気質などを垣間見ることができました。夜には新農研の多くの方々が、ご家族とともに、心のこもったもてなしをしてくださいました。新米で作ったおいしいおにぎり、毛豆という青森の枝豆、トウモロコシ、etc. どの料理も心がこもっていて、とてもおいしく感激しました。
その際、農業に携わっている方々の話を聞いて、いろいろなことを感じました。印象深く残っているのは、「災害を招いているのも私たち人間が原因を作っているのだから、負けずに頑張っていかなければならない」、「笑顔で、おいしいものを作っています!」などの言葉です。
美しい岩木山のもと、誠実に安全な作物を育てている方々と交流し、私たちの手元に届くまで、多くの人たちのお陰があってのことと改めて感謝の気持ちが沸き上がります。
2日目には、りんご園でりんごの収穫をしました。土壌管理もし、農薬の散布回数も基準よりかなり少量とのこと、また、立派な冷蔵設備のある倉庫で大切に管理され、私たちの手元に届くこともわかりました。手間暇をかけ、丁寧に栽培し管理された品物を大切にし、感謝しながら料理をしたいと思っています。
笑顔で作っている人の作物を、私たちは笑顔でいただいて幸せを感じています。これからも生産者の方々にはいろいろご苦労もあろうかとは思いますが、お体に留意され、今後とも安全でおいしい作物を栽培してください。よろしくお願いします。
(川西会員・白方恭子)
りんご園で収穫体験
『子どもたちと話す 天皇ってなに?』
池田浩士【著】
2010年7月 現代企画室 198ページ 本体1200円+税
評者:山口 協(地域・アソシエーション研究所)
一昨年の8月、天皇がビデオメッセージを公表し、高齢で「象徴」としての役目を果たすのが難しいため、遠からず退位したいとの考えを明らかにしました。それを受け、来年の4月末で退位し、翌5月には新たな天皇が即位する段取りが決まりました。前回の代替わりでは、重体の病状が刻々と報じられました。世間では歌舞音曲が自粛され、重苦しいムードが広がりしました。かつての戦争で最高司令官を務めた前天皇の歴史的経緯も含め、何かしら強圧的な雰囲気が感じられ、それゆえに反発や批判も少なくありませんでした。
それに比べれば、今回は極めて淡々と事態が進んでいるように見えます。天皇に対する人々の眼差しも、崇拝にせよ批判にせよ、先代に比べて熱が薄れているのは確かでしょう。
とはいえ、この機会に、「基本的人権」の枠外に位置し、政治的な発言を禁じられた存在が日本国民の統合の象徴とされている不思議について、改めて考えてみるのも無駄ではないと思います。
本書は、祖父と2人の孫の対話を通じて、祝祭日の由来から説き起こし、近現代の日本の歴史を通じて、天皇と天皇制が私たちの日常生活に思いのほか深く浸透していることを浮き彫りにします。その上で、天皇と天皇制の行く末は、私たちが今後「誰と、どのように」生きていくのか、その選択に委ねられていること、多勢におもねらず自分の頭で考えることの大切さが強調されます。
そのとおり思考を促される内容ですが、実際に「子どもたちと話す」には難しいでしょうね。
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