発酵食文化の伝道者をめざして
酢屋亀本店 長野県長野市:みそ、漬物
信州善光寺さんの鐘の音が心にしみる門前の町で、明治35(1902)年の創業以来、みそ造り116年、昔ながらの製法とみそ職人のたゆまぬ努力と技術を継承し、素材本来の味が息づく、ごまかしのない伝統の味噌を伝え続けることを誇りとして「すや亀」の暖簾を守ってまいりました。
保存料や、着色料、化学調味料は一切使用せず、みその新しい可能性にも挑戦し、現在の食生活、食文化にマッチさせたいとの思いから四季折々の漬物や調味みそ、みその加工品と新しい食の開発にも力を注いでおります。近年では、みそやその加工品だけでなく日本人が古来、食文化として伝え続けてきた発酵食品全般、甘酒や塩糀などにも幅を広げていっております。
日本は発酵食品の宝庫と言われ、代表的なものがみそです。信州みそは大豆、米糀、食塩を原料とする米みその代表です、大豆、米糀とも昔から体に良いと言われ、原料である大豆、米は、良質なたんぱく質、ビタミンを豊富に含み、さらに大豆に含まれるイソフラボン、リノール酸などが、発酵、熟成の過程で抗がん作用を持ついくつかの物質を作り出します。
変わることのない永続性と、時代とともに変化する流動性「不易流行」、毎日食べ続けても飽きのこない味「真味是淡」をすや亀の信条として、今後も日本が誇る発酵食品の伝道者として皆さまのご健康と楽しい食生活の一端をお手伝いできるよう努力してまいります。
(松井由和)
100年以上の味噌づくりの歴史がある酢屋亀本店
安全・安心の食づくり 未来を担う子どもたちのために
印南養鶏農業協同組合 兵庫県加古川市:元気っ子ソーセージ
印南養鶏農業協同組合は養鶏農家が集まり1953年に設立され、以来鶏と共に歩み、鶏卵・鶏肉を糧として地域社会に貢献することを無上の誇りとしてきました。
設立当初は卵の出荷が中心でしたが、徐々に親鶏の食肉加工、食品加工に移行していきました。そして1973年、食肉加工品第1号としてペンシル型チキンソーセージが誕生しました。
このチキンソーセージ、もともとは兵庫県の学校給食から依頼を受けて開発したもので、子どもたちの体を想い、添加物を使用せず、もちろんおいしさも追求してつくられております。
発売以来40年以上経過しますが仕様の変更はほとんどなく、当時のこだわりを維持したまま現在は「元気っ子ソーセージ」として「食にきちんと向き合う」幅広い年代の方々にご愛顧いただいております。
私どもの生活は、豊かな食物に恵まれた暮らしに変わった一方で、食品を長持ちさせたり、色合いを良くして見た目だけを気にした商品があふれている現実もあります。だからこそ、おいしくて安全、本当にカラダに良いものをお届けしたい。
「鶏」にこだわり続けて60余年、これからも「我が子にも食べさせたい。安全・安心の食づくり」を念頭に、食を通じ皆さまの食卓に笑顔を届けてまいります。
(森田健太郎)
学校給食の様子
お茶が望む生き方を尊重したい
葉っピイ向島園 静岡県藤枝市:赤ちゃん番茶・緑茶
当園は1982年より農薬・化学肥料を一切使用しない完全有機栽培にて日本茶の栽培・加工・販売を一貫して続けております。
経済成長時の日本では、お茶も例に漏れず、効率的な大量生産を目的とした過剰な農薬・化学肥料が投入されていました。
そんな畑を目の当たりにした先代園主は「他にやりたいことがあったのに、農家の長男というだけで親の敷いたレールを歩かされている自分、本当はもっとのびのびと生きたいのに、人間の都合で農薬・化学肥料漬けになっているお茶たちはどこか似ている。せめて彼らには望む生き方をさせてあげたい」と思ったそうです。
そこから自然との共存共栄を目指すため農薬・化学肥料は絶ち、お茶の生き方を尊重する栽培方法「一本仕立て」が始まりました。
自家受粉しないお茶は、同じ品種を増やすには挿し木を行うしかありませんが、種で繁殖した実生と比較すると成園になってからの生命力が劣ります。そこで、極力実生に近づけるために葉っぱ1枚を直接畑に挿し、密植によるストレスをなくすために木の間隔を空ける疎植を行いました。
農薬や化学肥料を使用すれば5年で収穫できるところを、紆余曲折を経て15年を要した「一本仕立て」は、特徴的でストーリー性が強く、漫画「美味しんぼ」でもご紹介いただきました。
昨年新工場を稼働し、向島園は新たなステージに立ちました。高まる食の安全性への関心に応えることはもとより、有機の輪をさらに広げ、農業の持続可能なモデルとなるべく、近隣農家と協力した地域活性化事業にも取り組んでおります。皆さまがいつまでも健康で「葉っピイ」でいられますように、ここ静岡の地からhappyをお届けし続けます。
(薗田雅之)
葉っピイ向島園の皆さん
つくる、つたえる、つどう、つながる
アグロス胡麻郷 京都府:摂丹百姓つなぎの会の地場野菜
よつ葉の地場野菜の生産地域、能勢・高槻・別院・胡麻の定例事務会議が毎月あります。8月の会議で目下よつば農産へ出荷されてくる品物がこれでいいのか直接目揃え・検討する機会がありました。
想像通りでしたが、炎熱の結果と見られるきゅうりやなすび、とうがらしが持ち出されました。どの野菜も水不足、高温、カンカン照りの結果、ずんぐり、肥大不十分、奇形、みずみずしさの不足。見事に今年の天候を反映していました。地場の距離でだと、さほど差のない状況のようです。
僕自身手がけている畑も同じで、思わず「僕は毎日こんな野菜ばっかり食べてるでエ」と呟いてしまいました。生産者の皆さんはそんな中でもましなもの、良いものを選んで出荷してくれてるんやと思います。ニュースなどで猛暑、野菜不足の記事が出たりすると「ちょっとでも」と思って、「良くないものも無いよりましか」と出荷してくださっている方も有るかもと想像したりもしました。
今は広域流通はもちろん、海外からも入ってくるので、国内・地域で不作となればよそからさっと入ってきますが、農家は日照りに耐える野菜を食べて生きています。
先輩たちからよく言うてもろた言葉に「どんな時もあるさかいなあ…」というのがありますが、まさにそんな思いの中、日照りで皮の固いみずみずしさの足りない野菜を暑さで鈍った食欲で頂いております。ご一緒しましょう…。
(橋本 昭)
橋本さん
就農40年を迎え、親父の独り言
鶴川農園 奈良県:柿・梨
私の農園は、奈良県吉野郡下市町にあります。
就農した当時、我が家は野菜農家で、スイカや大根、白菜などを栽培していました。ビニールハウス20aを建設してトマト栽培もしていました。現在では梨と柿の果樹専作農家となりました。よつ葉さんとの付き合いも40年近くになり、時間のたつのは早いなと思いつつ、そんななかでいろんな勉強をさせてもらったなと思い出します。
私の農園には大きな問題が生じております。それというのも農業を継いでくれる後継者がいないということです。子どもは男2人、女1人いるのですが、結婚をし好きな道を歩んでいます。子どもたちが後を継いでくれれば言うことはないのですが…。10年くらい前まではそんなことは思わなかったのですが、ここ最近ちょっと寂しい気持ちになることがあります。歳のせいですかね。
そんなことばっかり言っていてもしょうがないので、毎日農作業に妻と2人、パートさんと3人でがんばってはいるのですが…。誰か、よしやってやろうという人がいればありがたいのですが、募集しております。
さて、最近の世界的な異常気象にはほんとに驚かされます。どうなっているのでしょうか?
まあこれも私たち人間が起こしてしまった結果ということになるんでしょうかね。局地的な大雨、異常なほどの高温、何かあらゆる自然界の歪みというものをほんと感じさせられます。しかし、そんな事をいっても今、目の前のことをし、40年間培ってきた経験と知識を今一度見直し、若い世代にいっぱい残せるようにがんばっていきたいと考えています。
そして、安全、安心でおいしい、うまいと言ってくれる果物を皆さんに届けられるよう努力を積み重ねていきたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。
追伸 私はまだまだがんばりますよ。
(鶴川裕昭)
鶴川さん
生活を見直すところから始めよう
藤間農園 藤間惠子
今年も起こってほしくない災害が起こって尊いたくさんの命が失われました。毎年、どこかで次から次へと起きています。今年は特に世界中が災害に見舞われています。
今年の異常な猛暑はどうでしょう。温室効果ガスの増加による地球温暖化の影響としか思えません。化石燃料の使い過ぎと森林の減少により二酸化炭素(温室効果ガス)が増えて異常気象が発生しているといわれています。その影響で農作物はもとより人の暮らしにも大きな被害が出ています。
化石燃料は今では生活に欠かせません。その恩恵で生活は大変便利で快適になりました。でもどこまで快適を追求すればいいのかという疑問に突き当たります。
私は農家です。日本の四季にはそれぞれの作物が収穫されます。その四季がおかしくなっているのではないでしょうか。特に夏が長く、秋が短くなっているように思われます。その土地の気候・風土にあった作物が作られているのに、これだけ気候が変動すると、適地ではなくなってしまいます。特に果物は簡単に転作ができません。樹に頑張ってもらうしかありません。
先日冷蔵庫が壊れました。3日ほど冷蔵庫なしの生活を体験しましたが、いかに無駄な使い方をしていたのかを思い知らされました。私にできることは冷蔵庫に限らず生活を見直すことくらいしかありません。
一人で頑張っても温暖化は止められないかもしれませんが、次の世代のために、もっと真剣に見直す時期が来ているのではないのでしょうか。
藤間さんご夫妻
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