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町の農業委員に任命されて、4回目の冬。毎年「田んぼをやめたいから買ってくれる人を探してほしい。無理なら借りてくれる人を」という相談を受ける。
後継者がいないから、田んぼは処分しておきたい。子どもは農業をしていないから、借りることはできても、買うことはできない(何年後かは、彼もまた離農者)。同世代の数少ない農家は、もう目一杯作っているから田んぼを増やす気はない(仕事量もされど、米作りには不安定要素が多すぎて、果樹や野菜を頑張ったほうが良いという選択)。集落で離農していく人は増えるばかりだというのに、田んぼを守っていこうと強く言えない現状がある。
加えて、自立した農家が何軒もあったからこそ守られてきた治山治水。集落の機能。企業の参入や法人化が進んでいるけれど、そこに集落を守る気持ちは含まれていないだろう。田んぼはただ田んぼとして守られればいいのではないと、私は思う。
また、残念なことに米価の下落によって、元手をかけずにいかに収量を増やすかが、大方の米農家の生きる道になってしまった。そして、大規模な米農家が増えたことは、農薬の多投や飛散にもつながっているのが実情。主食だからこそ、どのように育てられたのかを理解して食することは、とても大事なことだと思うのだが、今は、うまさより、安全より、収量の米作り。消費者にとっても、この現状は不幸ではないだろうか。
守ることもままならないけれど、守り方こそ重要な田んぼ。少子高齢社会の現実が重い。とはいえ、厳しかった冬を乗り越えて、もうすぐ、毎日田んぼに通う日々がやってくる。どうか満足のできるお米が届けられますように! 本来ならただそれだけを願いたいのだが。
丹波ハピー農園
堀 悦雄
(京都府南丹市八木町)
現在私は60枚ほどの田んぼをお預かりしています。すべて持ち主の農家の方が管理しきれなくなった田んぼです。
これからも隣接する農地が放棄されそうな時はできるだけ引き受けようと思っています。それは、田んぼを増やしたいからではなく、ご近所で田んぼが荒れていくのが何とも忍びないからです。
近頃、百姓希望の若者によく会います。今もうちで実習している若者が2人居ます。ほぼ例外なく彼らは有機農または自然農を目指しています。「おいしくて安全なものを作って、食べる人に喜んでもらいたいんです」と。
しかし、彼らの前途は大変厳しいものです。田んぼから除草剤、農薬、化学肥料を排除すると、それはそれは大変な苦難です。草はいっぱい生えるし収量は普通の稲作の半分以下は当たり前。それでも、「おいしくて安全なものを」の気持ちで頑張っているのですが、農業収入で生活していくのは難しいのが現実です。
田舎で育つお米は水や空気や環境を守り、日本人のふるさとを元気にする素晴らしいものです。これまでは百姓たちが守ってきた田んぼが今、荒れていこうとしています。正直においしくて安全なものを作ろうと思っても経済的に厳しい現実が彼らに襲いかかります。
稲を育てる私たちと、お米を食べてくださるあなたとが、環境とおいしい食と日本人のふるさとを、力を合わせて『田んぼ!』を守って行けたらいいですねぇ! …未来の地球人たちのためにも。
お米が食べられることの幸せ
(よつば農産・横井隆之)
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