
11月12日(日)、都ホテルニューアルカイック
東北ライブ in 関西 白崎映美さん/影法師さん
「東北ライブ」は音楽のちから
怒濤の「東北ライブ」が終わって、誰がなにを間違えたか、当日司会を仰せつかった私は、音楽のちからに鼓舞され、叩きのめされ、いまだに心のどこかが火照ったような、充血したような思いにとまどい、また毎日を励まされているような気がします。
フォークグループの影法師さんは、「白川以北一山百文」と、軽やかな旋律に乗せて首都圏から蔑まれてきた東北の怨念を長井弁で吐き出すように歌い、また「花は咲けども 春を喜ぶ人はなし」と放射能に汚染された故郷を「うらめし、くやしと 花は散る」と訴えかけるように歌いました。
山姥ともなまはげとも鬼女とも見まごう衣装に身を包んだ上々颱風の白崎映美さんは「オラ方の先祖は まづろわぬ民だ」「そごを越えでゆげ 苦難越えでゆげ」と東北の魂を叫び、「東北さいい事来いっ!」と天に願うようでもあり、最後は「丘を越えてゆこうよ」と私たちを忘れていた故郷のほうへ誘うようでもありました。
参加された皆さんは多かれ少なかれ放心したような心の空白を抱えたのではないでしょうか。そこには今も「東北ライブ」の響きが鳴っている、そんな気がします。
(地域・アソシエーション研究所 下前幸一)

白崎映美さん

影法師さん
鎌仲ひとみ監督講演&ミニ上映会
「放射能汚染と向き合う」
~被ばくから子どもを守る母たちの想い~
始めに、映画「カノンだより」から2本の作品を上映しました。〝原発事故後に母子避難をした家族の苦悩と選択〟〝ベラルーシの若者が語る日本での保養体験〟。被ばくから子どもを守ろうとしている母たちの想いに、言葉を失ってしまうばかりです。その想いに、どれだけ心を寄せられるのであろうか。
鎌仲ひとみ監督からは、福島第一原発事故による放射能汚染の状況、内部被ばくによる健康被害について、被ばく対策におけるベラルーシ・ウクライナと日本との違い、保養の取り組みがいかに必要なものかなどのお話がありました。
よつ葉でも「よつば関西保養キャンプ」を実施していますが、国家予算で保養しているベラルーシ・ウクライナと日本とのあまりにも違い過ぎる現状に驚かされます。
私たちは原発事故後、より切実に放射能汚染と向き合って生きていかざるを得なくなりました。地震大国の日本では原発事故は、いつまた起きるか分かりません。被ばくを防ぐために原子力防災の対策も真剣に考えていく必要もあります。
これらのことを他人事としてでなく、私たちにできることを、みんなで考える機会になったと思います。
(奈良産直 松本恭明)
天笠啓祐さん講演会
「食と農で今なにが起きているか」
『ライフ』でもおなじみの天笠さんによる講演は食と農の最新動向について。
農業をめぐっては、日本における農薬の規制緩和と多国籍アグリビジネスの企業合併の動向について。ネオニコチノイド系農薬が昨今、その神経毒性を指摘されているにもかかわらず、残留基準の緩和が決定されたこと。上記の合併の動きの背景にある遺伝子組み換え作物と除草剤(グリホサート)が結びついた世界的な農と食の囲い込みの動きがあること。
食の問題としては加工品の危険性について。加工肉による食中毒、肉・イカもどきのコピー食品、動物実験段階では発がん性が証明されている添加物がむしろ機能性の名のもとに流通していること! 恐ろしいのはこうした事態が国際規模で緩和・承認へと帰着してしまったということです…。
とはいえ、最後に天笠さんは安心安全な食べ方について大事なことをお話しされました。農薬摂取、加工食、外食をできるだけ減らすこと。そのためには素材から調理して食べること。そのような選択こそが翻って地域の農漁業を守ることの端緒ともなると。食と農の最前線はわたしたちの日々の食卓、その選択にも存するということですね。
(ひこばえ 橋本 淳)

懇談会
「豊かな食と暮らしを壊す安倍農政にNO!を」
「食と農で今なにが起きているか」
パネラー/山下惣一さん・淨慶耕造さん・松平尚也さん
農地法と国家戦略特別区域法の改正、種子法の廃止など、安倍農政は小さな農家をふるい落として、特定の農業者や企業に農地を集め、ドローンやロボットで田畑を管理する大規模農業を目指しています。そんな安倍農政に負けるなということで、3人のパネラーを交えて一緒に議論しました。
百姓以外は何もしたことがないと言われる山下さんは、佐賀県の玄海灘に面した田畑で、夫婦で農業をされています。「村中の田んぼを一人でつくっても集落は成り立たない。水路の掃除、水の管理が必要。地域社会が成り立ってこそ、農業が成り立つ。地域社会を支えているかたに頑張ってほしい」という言葉が印象に残っています。国家戦略特区の養父市で醤油をつくる淨慶さん。「スマートアグリをすすめる安倍農政。企業が農地を所有し、その膨大な農地を離れた所で管理する。企業農業がうまくいって農業が栄えたとしても、離農と離村がすすむだろう」という危機感をもっておられます。農家ジャーナリストの松平さんは、京都市京北で伝統野菜をつくりながら、農業や食料の問題を農業者の視点から調査研究されています。今春、国民の主食を守る目的だった種子法がなくなることについて「大きい農業会社が独占する危険がある。農薬とセットで種子が販売されるのが心配」と懸念されていました。
最後に、山下さんが言われた「日本の農業が一番強いところは、生産者と消費者が非常に近いとこにいること。そのことを大事にしていかねば」の言葉を忘れずに、私たちも活動していきたいと思います。
(よつば農産 笹川浩子)