カラダは食べたモノ、ココロは聞いたコトバで、できている
おいしふぉん 京都府福知山市:こめ農家の純米シフォン
私が米粉でシフォンケーキを焼くようになったのは、「子どもが小麦粉アレルギーでフワフワのケーキやパンを食べさせてあげられなくてツライ…」というママ友からの相談がきっかけでした。
当時、メーカーさんから、市販されている米粉はインドや中国、アメリカの古米が原料だと聞いていた私は、残留農薬や保存状況にも疑問があったので、安心して製菓材料には使えませんでした。そこで、我が家は代々伝わる減農薬コシヒカリの米農家なので、鮮度抜群の自家米を米粉にできたら安心して原料に使えるのでは?と思い、コンタミネーションの観点から米粉専用ラインを持つ製粉所に製粉委託しました。砂糖は北海道のてんさい糖、オイルは圧縮製法のなたね油、農薬不使用飼料で育った牛さんの牛乳など、少しでも疑問があればメーカーに問い合わせるほど、納得のいくまで厳選した材料を使った、無添加のグルテンフリーシフォンケーキ専門店を営む現在に至っております。
当店のお客さまは授乳中のママや妊婦さん、また、小さいお子さんを育てている方が多く、喜んでいただけると、私自身も3人の子ども(8才・5才・2才)を育てる母として嬉しい気持ちでいっぱいになります。
「カラダは食べたもの、ココロは聞いた言葉で、できているのよ」。かつて母に言われて、子を産み親となった今、改めて心に響いた一言でした。食をつかさどる台所の主として、これからも、子どもに食べさせてあげたいと思えるシフォンケーキを一人でも多くの人に食べていただき、喜んでいただけるならこれ以上に幸せな事は無いと感じています。減農薬コシヒカリ米農家の娘として、少しでも皆さまのお役にたてればと精進する毎日です。
(今川尚子)
国産ごまの近況について
鹿北製油 鹿児島県姶良郡:ごま製品、菜種油
鹿北製油では、34年前から日本で初めてになる国産ごまの契約栽培をしています。その当時から鹿児島県の喜界島では年間200㎏しか生産量がありませんでした。そこからこつこつと圃場を広げていき、4年前には喜界島全体(100ヘクタール)で50トンほどの収量にまでなりました。
しかし、3年前、2年前の台風で喜界島のごまの生産量が激減、昨年は少し良かったものの、今年は34年間で最悪の年です。テレビでニュースに出ていたように、8月末のゲリラ豪雨の時に土石流に襲われて、ごまやサトウキビも大きな被害が出ました。8月の初旬に大きな台風が来ましたが、この時のゲリラ豪雨の方が、作物に大きな打撃を与えました。
それに伴って価格も3倍近くにはねあがり、今年はどこのごま生産者も、加工者も大変だと思います。地球温暖化防止に、世界中で努力していきたいですね! 製油所のある鹿児島県姶良郡湧水町では、今年10月の霧島山・新燃岳の6年ぶりの噴火で、灰が降りました。桜島も、噴火がこの頃多くなったので心配しております。
異常気象などで問題は山積みですが、今後も鹿北製油では、農薬・化学肥料不使用を原則とする自然農法を「理想の農」とし、安定した生産量と高品質を確保できるように、環境にも配慮した原料栽培に取り組んでいきます。
(和田久輝)
ごまの花
簡単に量産できないからこそ大事にしたい島の恵
高田製油所 東京都大島町:椿油
高田製油所は1929年の創業以来、伊豆大島産ヤブ椿のみを使用し、約100年もの間稼働している圧搾機を使って純度100%の天然椿油を生産しています。
ヤブ椿は苗木を植えてから木が育ち、良い実をつけるまで30年ほどかかります。なので、すぐに収穫環境を作れません。今ある環境や収穫に携わる人たちと友好な関係を築き続けているからこそ、島の恵である椿から油を搾油させてもらえていると、いつも感謝の気持ちを持って仕事をしております。
当社の椿油は、製法にもこだわり、江戸時代から続く玉締め圧搾法で搾油しております。玉締め圧搾法の良いところは種皮ごと絞ることです。種皮には椿サポニンがあり、椿サポニンを含む椿油が作れます。
椿サポニンの働きとしてはコラーゲンやヒアルロン酸産生促進や、菌を抑えて髪や肌を守ってくれる作用なども認められております。また、椿油のオレイン酸は、不乾性で酸化が遅く、人の皮膚から分泌する脂肪分に似た性質を持っているので、肌にすばやくなじむ特性があります。
この『玉締め』だからこそ作れる高品質の伊豆大島の椿油。品質を保ち、美しい黄金色の椿油を搾るために100年来続くこの製法をこれからも守っていければと思っています。
(高田義土)
玉搾り圧搾機
半世紀超える有機農業
愛農有機野菜の里 広島県:白かぼちゃ・田舎みそ・餅
「農業と農村を大切にしたい自分の夢は、北欧のように農業で平和な家づくり村づくりを目指したい」。結婚を決意した二人の思いですが、あまりにも遠距離過ぎるので両親をはじめ親戚のみんながこぞって反対でした。そんな中で兄とお見合いの場を用意してくれた姉が、このお見合いは神様のお計らいによるものだ…決心ができるのであれば前向きに受け入れるべきではないか、とのアドバイスをしてくれました。それでも親の意に添わない結婚なので悩みに悩みました。
数カ月後、結婚式をあげるため新潟県十日町市を後に、列車に揺られること24時間。たどり着いた所は広島県北で中国山脈の一番深いところでした。
こちらの家族は夫の両親・兄夫婦と姪っ子二人と新婚の二人を合わせて8人の家族構成でした。何一つ知識も教養もない自分でしたが、唯一あこがれてはるばる遠隔の地に嫁ぐ決心ができたのは、クリスチャンホームに嫁ぎたいとの夢があったからです。
その夢の実現については、嫁いで63年の間、山あり谷ありいまだ道半ばですが「天・地・人」から裏切られたとの思いは何一つありませんでした。ただ一筋有機農業を続けて半世紀。地域に根ざした仕事場を作り…細々ですがこちらも20年近くになりました。長い年月よつ葉の皆さんからのご指導とご支援をいただき、ここまで続けることができました。
遠い昔主人が話してくれた愛農による(よつ葉憲章と同じ志で)地域おこしが次の世代にうまくバトンタッチできるように前を向いて帆を進めたいと願っています。皆さまのご指導を続いてお願いいたします。
(瀬尾千代)
愛農有機野菜の里のみなさん
就農8年 思い新たに
和歌山電子農法研究会 和歌山県:みかん・柑橘類
和歌山県有田地方は日本で最もみかん栽培が盛んな地域の一つで、山の斜面にはみかんの段々畑が広がり、秋は一面オレンジ色に染まります。そこで代々みかん農家だったのですが、私自身が就農してから8年が過ぎ47歳になりました。
就農当初は農薬の使用をより削減しようとして、ミカンサビダニが大量発生して主力の畑のみかんが2年間売り物にならなくなったり、カミキリムシが大量発生してみかんの木が大量に枯れてしまったり、苗木を植えても全く生長せずそのうち台風で段々畑が大崩壊したりと、いろいろと失敗を重ねてきましたが、曲がりなりにもなんとかやってきて、栽培面積を増やし、農薬の削減を進めてきました。
当初は収穫作業もただの農作業の一つとしか感じられなかったのですが、草刈や肥料やりなどきつい作業を重ね、病虫害や台風など自然の怖さを経験すると、収穫できることの喜びと感謝を強く感じるようになりました。
現在、両親は70歳前後となり、和歌山電子農業研究会の他のメンバーも70歳80歳を超え、60歳以下のメンバーは私だけで、現状維持では現状維持できない状況になりつつあります。
先日の産地交流会では「和歌山電子農業研究会のみかんを楽しみに待っている」「子どもがみかん好きで届いても1日でなくなってしまう」などの声を聞かせてもらい、みかん作りへの思いを新たにしました。課題は山積ですが、末永くみかんをお届けできるように知恵を絞って頑張っていきたいと思います。
(池田義行)
新たなステージへ 仲間を募集中!
熊野鼓動 横瀬恒人
熊野鼓動は地域おこしの取り組みを引き継ぎ、代表の私をはじめとしたIターン者と地元の方とが共同で2002年に法人化しました。「赤しそドリンク」や「じゃばらぽん酢」、「熊野本宮・釜餅」など地元の素材を主原料に食品添加物に頼らない食品の製造をしています。おかげさまで今年15周年を迎えることができました。「地域の圃場を守り、地域の就労の場を作りたい」との思いで運営してきましたが、その間地元の人口は若者を中心に減り続け、私が移住したころは2校あった中学校は1校に統合され高校進学を機会に他の地域に転出していきます。
先日農家の方がスダチの収穫量が昨年より少なかったという話をされたので、「気候の影響ですか?」と尋ねると「高齢化のため収穫しきれなかった」とのことでした。また、よつ葉さんでも販売いただいている「熊野番茶」を栽培している素晴らしいロケーションの茶畑も後を継いでくれる人が見つからず、今年の秋、整枝は当社のスタッフが行いました。このような話はそこここに溢れています。
熊野鼓動の創業メンバーもそれぞれ年数を重ね、これから新しい世代に引継ぎしていく局面に差し掛かってきているのですが、現在のところバトンタッチできる若者が見つけられていません。このような問題はきっと他でも起こっているのではないかと思います。多くの労力を費やして築き上げた田畑と同様に、こだわり食品を作る地生産者が人の問題で継続できなくなり、食の多様性が失われていくのが心配です。
「過疎高齢化」は「人口減少」「人手不足」と名前を変えて国の最重要課題となり、私たちの熊野はこの問題に直面している言わば先進地のひとつです。これまでの取り組みを新たなステージへと脱皮させ継続させていくこと。きっと同じ課題を抱える他の生産者でも生かされると思います。熊野鼓動では共に新たなチャレンジをしてくれる仲間を募っています。我こそはという方はぜひともご連絡ください。
有限会社 熊野鼓動
横瀬 恒人(よこせ ひさと)
〒647-1731
和歌山県田辺市本宮町本宮1301-2
Mail:yokose@kumano-kodou.net
Tel:0735-42-8310 Fax:0735-42-8311
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