オール島根で世界発信
別所蒲鉾店 島根県:出雲のちくわ
わが社は島根県の出雲大社のお膝元、出雲市大社町で、無添加にこだわった練り製品を製造しております。
1934年に先々代が冠婚葬祭の出張料理を手掛けたのが始まりです。のちに蒲鉾店として営業基盤を築き、平成に入ると子どもたちの将来を見据えて、食の安心安全を心に留め、無添加練り製品の研究・開発に取り組みました。原材料も一つひとつ自分の足で出向き、トレーサビリティなどすべてを確認し、納得のいく物だけを仕入れ、合成添加物などは一切工場に持ち込まないのを原則としました。2000年には日本海を一望する海岸沿いに、第2工場を建設し、揚げ物専用の工場としました。これは他の練り物に油の臭いが染み込むのを防ぐためと、規模の拡大をと考えたもので、このことにより両方、解消できました。
2002年には、魚を原料とした「お魚チップス」を開発し発売いたしました。この商品は、日々、試行錯誤を繰り返しながら、現在では6種類を展開しております。
これらのチップスは、昨今アレルギーが問題視されている小麦を使用せず、グルテンフリーで研究開発、試行錯誤を重ね、作り上げた製品です。小麦アレルギーで食べることができるおやつが限られてくるお子さまにも、安心して与えてあげられる栄養価の高いものに仕上がっています。
そしてさらに今夏には、もう一種類、新たな仲間を発売する予定にしております。チップス以外にも、温めると即お召し上がりいただけるレトルト商品「出雲おでん」や、島根県の北に位置する隠岐の島の高校との共同開発による島根県魚のトビウオで作った「魚魚ウインナー」など、新商品の開発や改良を念頭に置き、日々、努力を重ねています。
これからも日本はもとより、オール島根での世界発信をめざし邁進してまいりたいと考えております。
(竹並寛子)
えひめの〝おいしい〟を開発
愛媛うまいもの販売 愛媛県:芋かりんと
愛媛うまいもの販売は、2004年に協同組合として、えひめの〝おいしい〟の開発、販売をスローガンに愛媛を代表するみかん、鯛、銘菓をはじめ、青果、鮮魚から和洋日配、グロサリー、惣菜など愛媛で作られた食品を販売しておりました。しかし、得意先が全国へ広がる中、愛媛県の産物だけではニーズの多様化への対応が難しく、得意先から別の産地の商品要請もあり、2009年度より商品開発や販売力を強化するために株式会社化し、現在では売れる・価値ある〝差別化商品〟の開発、販売をスローガンに日々活動をしております。
現在では四国を中心に、九州から北海道まで直接産地へ訪問し、生産者、製造メーカーの開拓をし、愛媛から全国へ商品を提供しております。
ただ得意先には物産販売的なイメージが強いようです。今後もいろいろな商品をご提案させていただきますが、その中で当社の顔と言える商品として「柑橘」「栗」「里芋」「筍」この4品を特に極めていこうと日々精進をしております。
その中で現在「里芋」の販売が急激に伸びております。里芋の産地としては宮崎や千葉・埼玉が有名で愛媛は生産量全国5位ですが、柑橘のイメージが強く里芋の産地としてはまだまだ知名度は低いのが現状です。
愛媛県の四国中央市では一般的な石川早生の品種ではなく、愛媛県が開発した伊予美人という品種を年間約7000トン生産しております。この品種はモチッとした粘りの強いのが特徴で、最近では徐々においしいと評価をいただくようになりました。当社では愛媛の里芋を青果用、里芋の水煮、冷凍里芋に商品化し販売をしております。
(中田雅博)
高知県唯一の再生紙工場
丸英製紙 高知県:クリーンズファミリー
「県内の事業者から排出される紙ごみなどの減量・リサイクルを推進しながら事業所の廃棄物問題に関する意識の高揚を図ることにより、地域環境の保全に努める」ことを目的に高知クリーン推進会が設立されました。現在、100社を超える会員さまで活動しております。
クリーン推進会の会員事業者から排出された紙ごみを、丸英製紙でトイレットペーパーとして再生し、その製品を事業所が使用することで環境負荷低減に努め、資源を循環させることを事業内容としています。
また毎年、春には100件ほどの障害福祉施設へ、トイレットペーパーを寄贈し、会員事業所の使用も含め、地産地消も兼ねて紙資源の循環の一役を担っています。
また子どもたちが、古新聞を家から少しずつ集めて学校に持ちよって、当社がそれを買い取り、トイレットペーパーへのリサイクルをし、授業の一環で環境問題の勉強をする取り組みをしております。
(濵田英明)
最近のアグロス胡麻郷から
アグロス胡麻郷 京都府:摂丹百姓つなぎの会の地場野菜
どうやら日本全国多かれ少なかれ同じような傾向にあるようですが、我々の位置する「中山間地域」、特に農家は「少子高齢化」に歯止めがかからず、むしろ急速に影響して水田の維持、ひいては地域の生活圏・環境維持が困難になってきています。
最初の兆候が不耕作地の出現です。食料政策と稲作と農地管理についての政治がずさんで、地域の団結の強いところは苦しいながらも円滑に維持ができているようですが、弱いところは水田が荒れ始めているようです。我々胡麻地域は20年来よつ葉の皆さんとのご縁で、生産したモノをよつ葉の「地場」の農産物として食べていただいてきたおかげで、水田やら農業生産が維持されてきました。そのことにより、よそに比べて高齢化、不耕作地の増大は緩慢ではありましたが、近年はご多分に漏れません。
ご縁によって得ているモノを活かして情況を切り開くべしでいろいろ農業への新規参入、組織活動を活性化することなど、試みようとしていますが、時代の流れの強さにくじけそうになっているところです。新規就農の人々にしっかり農業生産をしてもらえるようになり、おばちゃんたちがつながりと気持ちで頑張ってこられた百姓の穴埋めが平行して進んでいるといったところでしょうか。
最近も福井県大野市にシバザクラによる畦畔の維持管理をバスに乗って研修に行ってきました。グループや集落で維持される農地の風景に感心して帰ってきました。農業は水・獣害・雑草・農道などの管理を考えて、個人ではなく、しっかりした個人が協同していくべきものだと改めて感じました。
(橋本 昭)
ラブ&ピースな野菜
やさか共同農場 島根県:ほうれん草・こまつな
やさか共同農場では現在5軒の農家さんと協同で小松菜、ほうれん草などの葉物野菜を作っています。
島根県西部の浜田市弥栄町というところにあり、生産者は海に近い人もいれば標高550mのところに畑を持っている人もいます。標高差を生かして野菜の特性に合わせた時期に作ることにより年間通して安定して出荷しています。また、日本海側なので雨が多く、また、標高の高いところでは冬に積雪が70㎝ほどにもなり、営農するにはかなり厳しい気候です。そのため、丈夫なビニールハウスを建て野菜を育てるのが当産地では一般的です。
野菜は化学肥料や農薬は使わずに栽培しているため、病気や虫には神経を使っています。有機質肥料とはいえ過剰に投入すれば虫が増えます。そのため、毎作土に残っている養分を測り必要な肥料だけを最小限与えています。それでもやはりアブラムシやヨトウムシなどの被害が散発するときもあります。その時は被害の出なかった場所を早めに取り片付けた後、ビニールハウスを締め切り地面にビニールを敷きます。そうすることで地表面の温度は70℃近くなり、虫は死んでしまいます。
この方法では地表面は高温になるのですが、地表から30㎝のところでは35℃ほどの発酵に適した温度になります。このことを利用してすき込んだ有機質肥料を土ごと発酵させ土作りをしています。一般には太陽熱消毒と呼ばれるのですが、消毒ではないので太陽熱発酵と呼んでいます。太陽熱発酵を行った後作の野菜は本当に生き生きと育ちます。
やさかの生産者は、何束売るのではなく、何人のお客さんに食べてもらうのかを大事にしています。この野菜を食べておいしいと思ってもらい、それが家族で食卓を囲むときの一つの話題になればいいなと思っています。そうすると1束のほうれん草で何倍もの人が笑顔になれる。そんなラブ&ピースのような野菜を届けようと頑張っています。
(竹岡篤志)
地域の特色があってこそ
くまもと有機の会 飯星幹治
今、私の住んでいる山都町はご多分に漏れることなく人口減少はとどまることを知りません。毎年300人以上の方が亡くなられ、生まれてくる子どもは50~60人、約250人の人口減少であります。
私の住んでいる御岳地域には御岳小学校という学校があります。7年前の児童は72人いたものが今年の児童は27人と減少し全学年複式学級となりました。再度小学校の統合が話し合われることとなりました。過去を振り返ってみると、学校の統合については児童の減少とともに学校が統合され、効率化が図られてきました。町の経済効率だけで学校が減らされ、地元住民も「しょうがないなー」ということであきらめてきました。
今どこの自治体も人口の減少に歯止めをかけたい、または減少のスピードを落としたいと、定住化の促進をはかり、移住者の受け入れに躍起となっています。しかしなかなかそううまくも行かず、自治体同士での競争状態です。JAも日本全国画一的なものを作り上げ、どこのJAでも同じやり方が普通になりました。また農家にとって一番大事な営農指導はほとんど効率化の波のなかに埋もれてしまい、人は減らされ続けてほとんど指導できる人はいなくなりました。そこで時の総理大臣からJA改革が叫ばれ、グローバルという名のもと、競争の世界に引き込もうとするのか、学校もJAも経済効率だけの世の中、これでいいのでしょうか?
若い移住者が移住先を探すときの条件は仕事、病院、学校、当然と言えば当然ですが、どれが抜けても移住者のメガネにはかないません。もう少し日本中の各地域を信じて任せるような政治はできないのでしょうか。地域の人だけでは当然できないものもあります。そこに政治がお手伝いする、そんな日本などできないのでしょうか? 各地の人が自分の住む地域を良くしよう、自分の地域の特性・気候風土・地域柄、いろいろの特色を出す競争こそが大事ではないのでしょうか。
私も40年間有機農業を実施し、周りの人からは馬鹿にされながらも継続してきました。それは経済効率だけでは測れないものがあったからです。くまもと有機の会があり、それを消費者が支えてくれました。感謝の気持ちだけは持ち続けての今です。
飯星幹治さん(左)と、ご子息
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