寒天一筋 101年
小笠原商店 長野県伊那市:寒天
私ども小笠原商店は、伝統的製法でつくる天然寒天の製造元です。1916(大正5)年の創業以来、寒天一筋、おかげさまで101年目を迎えます。
長野県諏訪郡富士見町で創業し85年、よりよい環境を求め伊那市に工場を移転し16年目になります。
代々、『お客さまに喜ばれるような寒天=おいしい食感の寒天』を追求しており、老舗和菓子店((株)虎屋、(株)叶匠壽庵)の羊羹の原材料として、長年のご支持を頂いております。私どもの『お客さまに喜ばれるような寒天』とは、寒天本来のつるつるぷりぷりとした食感の寒天です。固さと弾力性となめらかさのバランスがよく、おいしくていくらでも食べたくなるような食感の寒天を目指し、お客さまの笑顔を想い浮かべながら手間ひまをかけて手作りしています。もちろん無添加、無漂白、無着色です。このように、私どもが、長年寒天づくりができるのも、お客さまはもとより、天と地と人のちからのおかげです。つまり天候(晴天、寒暖、乾燥)、自然環境(天草、水、空気)、伝統の職人技のおかげさまなのです。
原材料である、天然の天草(てんぐさ)を選び、南アルプスの伏流水で煮出してできる『ところてん』を凍結と天日干しをくり返し、乾物の寒天にまで仕上げます。これからもおいしい本物の寒天を皆さまにお届けできるように努力を続けていきたいと考えております。
糸寒天のおすすめの食べ方は、煮溶かして寒天ゼリーはもちろん、水で戻すだけでそのまま、サラダ、酢のもの、汁物、鍋、炒め物の具材として(春雨のように)でもおいしくお召し上がりいただけます。
他にはない食感にこだわった希少な糸寒天です。ぜひ味わってみてください。
(小笠原英樹)
▲真冬に天日干しされる糸寒天
昔ながらの手延べ麺
平野製麺所 兵庫県淡路市:そうめん、うどん
当所は淡路島の最南端、南あわじ市福良という地区で、1913(大正2)年創業以来手延べ麺を作り続けています。
産地の歴史としては、江戸時代末期の天保年間の頃に、当地の人が伊勢詣りの帰路に三輪(現在の奈良県桜井市)を通りかかった際、素麺作りを見かけ、数年留まり製法を習得し、福良に帰ってきて広めたといわれています。
産地としての全国シェアは生産量ベースで約0.5%以下の小さな産地ですが、全国的に珍しくなった昔ながらの手仕事「小引作業」「門干し作業」を実施している生産者が多い珍しい産地です。私自身仕事先で「手延べ麺って言っても手作業で作ってないんでしょ?」などといわれることも多々ありますが、やはり手間暇はかかっても、手仕事でしか出せないおいしさがあると思い、今でも「伝統手延べ製法」を守り続けています。
国産原料100%使用シリーズ「そうめんうずしおの華」「淡路島の手延べうどん」は、国産小麦粉の特徴のもっちりとした食感と甘味を最大限引き出すべく、原材料を厳選して使用しています。甘味と食感に優れた北海道産ベースの国産小麦粉、地元鳴門海峡産の海水を煮詰めて作る製法で素材の旨味を引き出す食塩、麺の表面に塗布する油は日本で1社しか製造していない国産の米ぬかを絞って作ったこめ油を使用しています。
業界を取り巻く現状は楽観できない状況ですが、昔から受け継がれた製法は貴重な食文化として、しっかり守り、伝えていくべく、さらにより良い商品をお届けできるよう日々精進してまいります。
(平野拓治)
▲門干し作業
始まりは主婦の手助け
鐘 千 福岡県福岡市:水産品、惣菜
鐘千は、主婦が近所で子育てをしながら安心して働ける場所を作るということが目的の一つでした。子どもたちが、幼稚園や学校に行っている間に、働けるように、主婦の手助けをしたかった、そこから始まりました。
すぐ近くには、全国的にも大きな福岡魚市場があり、地元産はもちろん、壱岐・対馬のような好漁場をはじめ九州全土から毎日新鮮な魚介類が数多く水揚げされます。福岡名物「ゴマサバ」は獲れたての鮮魚を使用し、お酒のつまみやご飯のお供に抜群です。
魚介類だけでなく、野菜などその他の材料もできるだけ九州産にこだわり調理しています。作業によっては少し機械が入ることもありますが、ほとんど全て、添加物などを使用せず家庭で作るものと同じように一つ一つ手作りしているのが鐘千のこだわりです。
魚離れが進んでいる現在、おいしい魚料理をご家庭で簡単にお楽しみいただけるように「シメサバタタキ」「コノシロの酢漬け」など、解凍するだけで簡単に召し上がれるもの、「ブリの照り焼き」「ふっくらイカ焼き」のように解凍してフライパンで焼くだけで食べられる便利な商品もございます。旬のもの、時期のものを大切に。家族が元気になるよう、お母さんたちの助けとなるようなお惣菜をこれからも作っていきます。
(小出瑛梨)
▲鐘千のスタッフ
次世代への継承にトライ!
北摂協同農場 大阪府:摂丹百姓つなぎの会の地場野菜
北摂協同農場は、よつ葉のカタログ『ライフ』の地場野菜のページで紹介いただいている野菜を出荷し、近隣農家の生産野菜を集荷する業務も合わせて行っています。
地場野菜を出荷している摂丹百姓つなぎの会(アグロス胡麻郷、高槻地場農産組合、別院協同農場、北摂協同農場の4地区で構成)で毎月、地場野菜について出荷の企画、規格、出荷時期、技術のレベルアップなどあらゆる事柄を話し合っています。今、共通してある問題は世代交代を少しでもスムーズにどのように進めれば良いか?
今まで地場野菜を中心となり担っていただいていた生産者も70代・80代の方々が増え、作付面積、品目もだんだんと少なくなってきています。
昨年、一昨年においては天候不順で長雨や、日照不足などの異常気象と言われる状態が生産者を悩ませたことも出荷量減の要因ではありますが、作付希望品目(生産者が作りたいと希望する野菜の品目)・数量などの変化もあります。
「大根、キャベツは重と~てカゴに入れて持たれへんようになってきたし、作付量減すわー」などの声が増え、また新規就農者の若者たちは細かな収穫、出荷作業の手間が著しい葉物類や、インゲン・実エンドウなどの豆類の作付を敬遠する傾向があります。一度にドカンと作って一気に収穫出荷したい。生活基盤が農業100%の生産者からすると生産効率を重きに考えるのは当然です。そうなると天候不順や、獣害などで不作になるリスクが大きくなってしまいます。
ひとつの品目をたくさんの生産者で作っていただくことは、出荷を安定的にすることにおいては大切なことだと考えます。また、葉物野菜などを通年出荷いただいている技術を次の世代へどのようにつなげていくか超重要課題です。新人スタッフを迎えた北摂協同農場で、まずはベテラン農家に教えを乞い、その情報を他の生産者の皆さんと少しずつ共有していきたいと思っています。
今期、北摂協同農場は小松菜、ホウレンソウの作付を増やしました。何かやらなくちゃ! 少しずつでもトライ!です。
(安原貴美代)
▲スタッフのみなさん
丹精込めたメロン
新篠津村・黒壁さん 北海道:メロン
暑いハウスの中、作業をしています。雪深い北海道新篠津村の除雪からはじまり、やっとメロンの収穫となります。
メロンづくりを始めて35年ほどになり、夫婦ともども還暦を迎えました。今思えば少しでも収入の上がるもので喜ばれるものとメロンを選んだわけですが、はじめは何もわからない、まったく手の掛けたことのない、ましてや、ネットメロンなんてそれほど食べたことがないと、よくつくったと思います。
どうしたらネットになるのか、つるつるの玉がある時からひび割れしてきて、やがて盛り上がり網目になることすら知らない始末でした。少しでも形が良くおいしいものと、いまだに四苦八苦しています。
最近の天候が異常なのか、作る側として、やっと作ったものをあきらめることもあります。今の農業、天候も異常ですが、国の考えている事のほうがもっと異常だと思います。1番大切な食べものを、あまりにも粗末に扱っていることを腹立たしく感じます。
メロンが大好きなみなさん。先行きのわからない農業ですが、丹精込めてつくりますので待っていてください。
(黒壁忠雄))
▲黒壁さん一家
アニサキスについて
よつば水産 松本和巳
私がアニサキスのことを知ったのは、かれこれ20年以上前になります。栄養士の専門学校を卒業後、よつ葉のお店で働くことになり、魚を販売し始めたのがきっかけでした。その時は知識も技術も全くなく、お店の先代から「この魚は生で食べたらあたるかもしれないから焼き物で勧めてや?」と教わったのが、スルメイカとさばでした。
自分が魚をさばくようになり、スルメイカやさばをよく見ると小さな白いものが点々とありました。「これか?」と。他にも鮮度が落ちたハタハタの内臓などにも入っていました。その当時はまだパソコンやスマホが普及していなかったので、詳しいことはわかりませんでしたが、昔から存在するもの、天然の魚にはいるものでちゃんと処理すれば大丈夫だと認識していました。
先日テレビの放送でアニサキスについて取り上げていました。内容を見た人はご存知の通り、アニサキスに寄生された魚を食べると胃や腸の粘膜に潜り込み、激しい腹痛や嘔吐を起こすといった映像が映し出されていました。今に始まったかのように恐怖を植え付ける映像でした。熱処理や、冷凍処理をすれば死滅すると付け加えていましたが、後の祭り。
予想通り放送後、魚を控える状況にまでなりました。情報を伝えるのは確かに大事ですが、伝え方によっては危険な食べものと判断してしまい、より一層の魚離れが進んでしまいます。私たち消費者は情報をしっかりキャッチした上で、自分で判断できる力を身につけないと、いつか食べるものがなくなっていくだろうと恐怖すら感じています。
また、寄生虫は自然界に普通に存在するものです。そのことを問題視するより、今の海の状況はもっと深刻な問題です。島国に暮らす私たちにとって必要不可欠な海をみんなで考える時期にきていると私は思っています。
▲松本さん。大阪湾にて
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