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2010年11月号(第292号)

地域循環型農業―畜産 共存への取り組み
タンザニア・ルカニ村からコーヒーの生産者キマロさんがやってきた
くらしからの政治
野良仕事のひとりごと
愛媛から 生産者自己紹介
会員レポート/お店巡り
会員のひとりごと/お弁当に華を!〜よつ葉の食材で一工夫〜
おたより掲示板
ヘンナ講習会(全3回)を終えて『美髪再生』を実感
うまい話まずい話
福祉だより しもつき日記(18)
みんなで考えよう昼ごはん/不要になった車椅子をお譲りください
連載 いのちを育み、つないでいくために
ヒー・コー・バー、編集後記



地域循環型農業―畜産 共存への取り組み
能勢農場の稲ワラ回収

 毎年、お米の収穫が始まる秋にスタートする稲ワラ回収は、「一年一作」の原材料となるお米を生産出荷していただいている近隣の稲作農家さんの田んぼから回収しています。 稲ワラ回収を始めるきっかけになったのは、「うちの田んぼの稲ワラ、農場さんの牛の飼料にできるんちゃうか」という農家さんの一声でした。 それならばと、能勢農場の堆肥を交換するという条件でスタートしました。今年で6年目を迎えた稲ワラ回収は、年々回収圃場が広がり今では30町歩以上。とても農場メンバーだけでは回収しきれません。 そこで、3年前からよつばの配送現場の人たちにも回収の応援を呼びかけ、毎年200人程の職員が稲ワラ回収に参加してくれています。畜産飼料の輸入依存率が90%以上といわれている昨今、こうした取り組みが今の食べものの有様を生産―流通―消費それぞれの立場の人たちが今一度考え、協同し合いながら本来の食べものを生み出していく力にしていけるよう、これからもよつばの職員の人たちと一緒に考え取り組んでいきたいと思います。(能勢農場・寺本陽一郎)


現代版・静かなる一揆
井上陽志(近江産直センター)


思いが詰まった稲ワラはウマイ…はず

ロールべーラー

 秋、収穫の終わった田んぼにエンジン音が響きわたる。「ブロロロロ…」「バリバリバリ」ロールベーラーの爪が稲ワラを絡め取ってゆく。作業が進んだ田んぼはスッキリして稲ワラのロールだけが点々と転がっている。「ピーッ、ピーッ、プスン」エンジン音が止まり、戻ってくる田園風景の中の静寂。9月に行った稲ワラ回収の印象的な情景です。
 いつもは主に会員さん宅への配達業務をしている産直センターのよつ葉職員がこのシーズンはのべ100人、200人も稲ワラ回収のため能勢農場に通ってくる。何故、日頃流通にたずさわる人たちがこんなことをしているのか。一般的にこの人は何をやる人、どんな人というレッテルを貼ってその立場に押し込んでおく社会ではこの「よつ葉職員はなんでもやる」はイメージも沸かないだろうし、奇異に映るのではないかと思います。
 日々慌ただしく過ぎ去ってゆく暮らしの中でお金さえあれば何でも手に入ることの怖さ、おかしさとその本質を今一度考えてほしいのですが、牛など家畜に食べさせる一般的な輸入配合飼料などは人に例えるならさしずめ毎食高カロリーの出来合いコンビニ弁当か缶詰。人もそうなりつつありますが、考えるとちょっと怖いです。よつ葉では、そのエサの調達を流通現場の職員自らも携わる。家族のために晩ご飯の支度をするのと同じように、よつ葉の職員だって一人ひとり何かを思い考えながら稲ワラ回収の援農に出掛けています。勝手な想像ですが思いが詰まった稲ワラはウマイと思います。
 この取り組みはひとつの始まりかもしれませんが、売るため、商品化するための謳い文句ではなく、現状を打破するためにより多くの人とともに足元から自分たちで地道に作りあげています。その様はまさに揆(みち)を一(ひとつ)にする現代版の静かなる市民による一揆。家畜、動物、食べものを生きものと見ない暴走する社会の中で自分たちの暮らし、食べものを調達する現場を足元に引き寄せつなぎ止める、そして抗い続けてゆく取り組みだと僕は考えています。

 

配達も援農も…これこそよつ葉
石原陽一(淀川産直センター)


絡め取られた稲ワラは、ロールとなってお尻からポロリ。これをみんなで運びます。
 9月18日(土)よつ葉の生産現場の一つである能勢農場に、稲ワラ回収の援農に行ってきました。
朝7時から牛の餌やりをして、朝食の後9時から稲わら回収の作業に入りました。稲刈り後の稲ワラを、ロールベーラーという機械でロール状にする作業をしました。初めて乗る機械なのでドキドキしましたが、乗ってみると凄く楽しかったです。
作業をしている最中は服の隙間から細かい稲ワラが入ってきて体中がチクチクしたり、かゆくなったり、なかなか大変な仕事ですが、能勢の牛が育つためには欠かせない作業で、これをしないと会員さんの手元に美味しい能勢の牛肉が届けられなくなります。それは困りますよね〜(笑)。
能勢の牛は地元の農家さんの協力や、よつ葉の職員の共同作業の力で元気に育っています。僕が能勢で一日を通して感じていたのは、普段は配送センターで配達をしているけれど、援農でいろいろな生産現場に行っていろいろな作業ができるって楽しいと感じるとともに、助け合いによって生まれる力は凄いなと感じました。これこそがよつ葉の良いところだと思います。
 毎回行くと勉強になる事が必ずあるので、また時間をみつけて行こうと思っています。そしてこの思いを配達中に会員さんにも伝えていければと思います。