ひこばえ通信
2008年4月号(第261号)

関西よつ葉連絡会第7回総会を開催
「食」から社会のあり方を問う活動を
田中昭彦(連絡会事務局長)


▲選出された役員のみなさん。(3月2日、ホテル阪急エキスポパーク)

 先日NHKが「中国産ぎょうざ」のことで取材に来ました。全国の生協には苦情の電話が20万件以上も殺到している中、よつ葉に入会の問い合わせが増えていることについてニュースで紹介したいとのことでした。真面目に産直活動に取り組んでいる団体として紹介され、よつ葉の惣菜工場「大北食品」もTVに映りました。その翌日からさらに入会の問合せが増え、いまも入会する方が増えています。
 しかし、「よつ葉は自前の農場や工場があるし、地場の野菜や安全な野菜を仕入れているので安心です」などと偉そうにしている場合ではありません。20年から30年前くらいには、全国の大手の生協でも産直運動を大きく謳っていた時期があります。僕自身、20年近く前まで九州の生協で働いていましたが、その当時、業務統合推進派の人が言っていたのは「スケールメリット」という言葉でした。大きくなれば価格的なメリット、商品開発力ができるというものです。この「スケールメリット」だけにこだわって事業の拡張を目指した経営主義の行き着く先が、中国で安全なコープマークの冷凍加工食品を安く作らせるという商品開発につながっていると思います。
 いま世間では「中国産は使わない」とか「もっと検閲を厳しくしろ」とかいう話が広がっています。しかしそんなことで問題が解決するでしょうか。もともと日本の企業が中国でやらせてきた結果として起きたことを中国だけのせいにしているのではないでしょうか。また、いくら検査を厳しくしても同じような問題は続くと思います。

生産・流通・消費の新たな仕組みを足元から

 私たちは、こうした「食」の問題を目先の解決ではなく、問題の本質を見極め根本から変えていく努力をしていきたいと考えています。一般的には「食の安全」だけが個別の問題であるかのように考えられています。しかし、実はいま起きている「食」の問題は何でもかんでも商品化して利潤を追求する社会のあり方と密接につながっていると思います。またそれは、耕作放棄地や離農、高齢化が問題になっている農業の問題とも大きく関係しているのです。輸入食品や食品の国外生産に依存する一方で、国内では「農業の規模拡大によって経営効率を上げ、食べものの価格を市場競争の中で安くし、大量生産・大量流通・大量消費を推し進め、さらに食べものの価値を歪めていく」ということがおこなわれています。こうした経済効率を優先した社会だから食べものの生産が自然の営みに反して行なわれ、そうした食べものが私たちの回りにあふれているのです。
 では、私たちに何ができるのでしょうか。やはり、市場経済のシステムとは異なる生産・流通・消費の新たな仕組みを足元から作り変えていくことでしか現状を変革することはできないと考えています。
 08年の総会は、今年もよつ葉が目指すことを共に考え取り組んでいく出発点として、上記のようなことを基調に多くの具体的な提案や各現場からの報告を中心に進めました。よつ葉の生産現場や配達現場、企画・物流の現場などで働く職員だけでも2百数十名が集まり、今後も一緒に考え勉強し、この総会で話し合われたことを具体的な取り組みに活かしていかなければと思っています。また当日は、全国から日頃お世話になっている生産者のみなさんが百数十名も参加されました。よつ葉がどんなことを考え、何を目指しているのかを知ってもらい、連携・協同して新しい時代を切り開いていくキッカケになればと願っています。