共済だより 霜月日記(7)
かけがえのない同年代の共感
「上野デイハウスしもつき」に、先日ご家族から、デイでの過ごし方についてお尋ねがありました。その方は家にいるとどうしても寝ていることが多くなるので、デイに来られることになった方です。できるだけ自分のことは自分でというご家族の希望です。
上野デイハウスでも、ご家族と同じく、できるだけ自立していただけるよう見守ることが基本です。生活の基本の清潔、たとえば入浴は、お一人ずつの個浴です。手のまわらない人には背中を流しますし、手の上がりにくい人には洗髪しますが、洗ったり、ふいたり、衣服の着脱など、できるだけご自分でしてもらいます。ただあまり長時間になると湯あたりされるので、最低限のお手伝いはします。食後の歯ブラシも、皆さんに声かけしておすすめします。トイレへの誘導や中へ一緒に入ることも、転倒などの事故にならないよう、またパッドなどの確認のための見守りで、できるだけ介助はせずに、ご自分でしていただいています。
ここは規模も小さいデイですので、できるだけ個人個人の方にあった対応をしたいと思っています。食前の体操も、20〜30分かけて、手や足、指、発声、嚥下体操と、無理のない範囲でしています。最初はついていけなかった方も回を重ねるごとに動きが滑らかになり、効果を実感しています。体の機能の維持・向上も大切で、楽しんでできるようゲームをかねた体操もしています。
けれども、デイで何より大切なのは同年代の方たちが集われることです。自分たちが生きてきた時代を共感できる方同士で、おしゃべりしたり、なつかしい歌を歌ったり、思い出がよみがえります。この同時代感はほんとに貴重です。この部分はスタッフもたちうちできません。そして食事です。何といっても皆でおしゃべりしながらの食事は食が進みます。その二つのためだけでもデイに通う値打ちはあると思っています。たとえ、いつも昼寝が必要で、寝に行ってるみたいという方も、少し昼寝をされることで、また元気に皆さんの輪に入って楽しめます。お元気な方はもちろん、認知症の方にはなおいっそう、日々のかかわり、その積み重ねがほんとに大切です。
この4月からの介護保険制度の見直し(!)によって保険料が上がったり、介護給付減らしが明らかで、従来使えていたサービスが使えなくなったり、またサービスを受ける単位になる介護認定そのものがやたら厳しく、首を傾げざるを得ないケースが増えました。不合理なことが山積みで、負担ばかりが重くなって、何のための保険なのか。けれども使えることはもっとどんどん権利として制度を使いましょう。その時々の必要に応じたヘルプがあれば、まだまだ高齢者の皆さんが在宅で暮らし続けることができます。地域の支えあいを、自分たちの周りからつくっていきたいと願っています。(津林民子) |