2006年3月号(第236号)

年間予約米 生産者とともに支え合おう
「持続可能」な米作り
問題だらけの神戸空港
暮らしからの政治(21)
原発震災が起きたらどうする?
野良仕事のひとりごと 3月の雪
沖縄から 沖縄ちゅらサウンズ
ぐるーぷ自己紹介 FTSN関西
会員のひとりごと いただきます
2/27 釜ヶ崎フィールドワークに参加
「国の世話になりたくない」ワケ
一歩前進 地場4地区が判別可能に
こんなん観ました
共済だより きらら日記(6)
2/18 ふえろう村塾でみそ作り
リレー連載  Non! GMO・産地からの声 
第6回 私たちも栽培する時がくるのか!? 遺伝子組み換え大豆
あかるい食育Z(1)、編集後記
春の会員紹介キャンペーン



年間予約米 生産者とともに支え合おう
「持続可能」な米作り

佐藤隆(やさか共同農場)・小林亮(おきたま興農舎)

 すでに予約登録受付が始まっている「よつ葉の年間予約米」。先日、その打ち合わせと『ライフ』110号の座談会のために佐藤さんと小林さんが来阪されました。そこで本紙でもお二人に、それぞれの地域の近況や農業の現状についてざっくばらんに語っていただきました。お二人は以前から親しい間柄ということもあり、実は深刻な日本の米事情についての話にもかかわらず、終始笑いのたえない話し合いでした。つい口をついて出てくる悲観論に「不安材料を並べることから始める農民的発想でどうする」と、農民の佐藤さんに逆に励まされた(?)インタビューでした。(編集部)



(上)左から津田さん(よつば農産)・佐藤さん(やさか共同農場)・小林さん(おきたま興農舎)。(下)弥栄の稲刈り産地交流
――佐藤さんは島根県、小林さんは山形県ですが、この冬の雪はどうでした。
佐藤:ひどかった。1メートル50くらい。開墾で入った当時を思い出した。
小林:うちの周りを2回掘りました。2回は初めてかなあ。
――佐藤さんのところは、道路は一応通れたんですか。
佐藤:なんとか通れました。83年には完全に孤立したことがありましたけど。
――農作業への影響は?
佐藤:ハウスが3つつぶれました。13棟がちょうど10棟になったので、何かと計算がしやすくなりましたが。それからトラクターの前にローラーをつけて雪をつんでいくんですが、今年は雪がひどすぎて2台が走行不能になりました。
――ローラーですか。佐藤さんは機械がお好きですものね。
佐藤:好きです。機械だらけです。だから、うちは有機だと言ってるじゃないですか。

地域の米作りつぶす政府の米政策

――はい、確かに。で、いきなりですが最近の日本の米作りについてはどうでしょう。
佐藤:05年10月から弥栄村が浜田市に合併して弥栄町に名前が変わりました。それにともない当然、行政との付き合い方も変わってきました。指定管理者制度といって、予算は出すけれども入札みたいな感じで面倒な審査を受なければならないなど、しばりがきつくなってきています。
それで私たちの生産組合の中でも、行政からのお金に頼らずみんなで補償しあってお金を借りるか、それともがまんして何回かに分けて支払うことにするか話をしました。最終的には3回に分けて生産者にわたすことにしました。
――今後の方向性については。
佐藤:米については減農薬が売れなくなっているので、価格を見直すのか、無農薬に近づけるのか相談しなければなりませんでした。減農薬をA米とB米に分けて、B米は農薬が通常栽培の半分、A米は除草剤を1回だけ使い、あとは有機の無農薬米と同じ栽培をすることにしました。そしてよつ葉さん(年間予約米以外のブレンド米)など共同購入むけにはA米だけを出すことにしました。簡単に言えば足切りをすることで、全体の品質を高める動機にしたいということです。――扱っている量は。
佐藤:3000袋くらいです。量についても厳しくなっていて、減農薬や無農薬ならなんとかなるとは言えなくなってきています。そういう意味でも再編の時期なのでしょう。もっと強い組織にしなければと思います。いやでも自立した農民であらざるを得ない厳しい現実には違いありませんが、行政との関係を清算したのはすごく気持がいいです。


(上)置賜の田んぼのかけ干し。(左)能勢の田植え産地交流
(囲み)
「年間予約米」はライフ110〜140号の注文用紙でお申し込みください。

品質に責任もつ生産者による一貫生産

――おきたまの小林さんは、思い切った投資をされて「米工房たかはた」(生籾の受け入れから袋詰まで生産者が責任を持つ最新式の精米工場)をつくらましたが。
小林:子どもと同じで単に欲しかったのです。まず納得のいく品質にしたいということがありました。消費者からクレームがくると頭にきていたのです。なぜクレームがくるようなものを出したのかと。それで自分たちが籾摺りから精米から全部やろうと。そうすると問題が発生しても全部自分たちのせいですから、あきらめて、いさぎよく、「すみませんでした」と言えます。
――見せていただきましたが、既存の機械ではなくて、まず考え方があって、それを機械屋さんに伝えて組み立てたというすごい施設ですね。そのすごさをどこまで消費者にわかってもらえるかは、よつ葉の仕事でもありますが。
小林:一般栽培米は入れないことを前提にして、しかも無農薬と減農薬のラインを分けてつくっているから、きわめて稼働率が悪いわけですよ。でも専従にも米の生産者にも気合が入ってきたことは間違いないですね。消費者の反応が直接わかるから。莫大な負債の対価はそれかな。

言ったことを実現する事業と運動へ

――米の関税引き下げが迫られるなど、グローバリズム化のもとでの農民運動についてはどうお考えですか。昨年12月のWTO香港閣僚会議抗議行動にはよつ葉からも参加しましたが、韓国農民運動の活躍が目立っていました。
小林:日本の運動は結局、運動することと実現することとが一致しなかったから民衆に離反されてしまった。この人たちはあてにならない人たちだと思われてしまった。私も昔はそう思われる側だったから、今は自分でやれないことは言わないようにしています。
――たくさん人が参加すればするほど、それがうまくいかなかった結果は、その人たちの人生にキズとなって残ります。そのあたりを噛みしめつつ日本の農業をともに支えていきましょうということで。(1/15 まとめ・編集部)


農を変えたい! 3月全国集会
−自給を高め、環境を守り育てる日本農業の再構築を−

●日時:2006年3月25日(土)受付開始10:30
 (翌 3月26日(日)9:30〜12:30 日本青年館501会議室で実行委員会を開催)
●場所:日本青年館大ホール(JR中央・総武線各駅停車 千駄ヶ谷駅徒歩9分 信濃町駅徒歩9分)
●参加費:集会 1,000円 懇親会 5,000円
●主催:3月全国集会実行委員会(http://3gatu.net
●参加申し込み・問い合わせ:3月全国集会事務局(吉野)
 TEL&FAX052-782-2847 uketuke@3gatu.net

 農は食を支え、いのちを支え、社会を作り、自然を育てます。農業が時代に潰されようとしているいまだからこそ、そういう農を育てたい。全国各地のそんな思いを、そんな取り組みを持ち寄って「農を変えたい! 3月全国集会」が3月25日東京で行われます。
 私たち(よつ葉連絡会事務局)も参加します。皆さんもよろしければぜひご参加を!
(連絡会事務局長・中川)